06_ヤーレのTV
「向こうにもTVがあるんだ。」
今日見た夢の内容を見た寛が声を上げた。
「うん、そうみたい。」
今日の夢でジーンは助けてくれた人達のホームであるヤーレの拠点に行った。
そこではこちらと変わらない、ある部分では遥かに進んだ暮らしが営まれている。
「そう言えばシル・ストアの人達、装甲車に乗っていたね。」
「うん、今まで歩きか馬車みたいなのしか無かったからびっくりだよ。」
夢の会話で分かったのはジーンの両親は主に辺境の村を巡っていて都市には近付いていなかったから見ることが無かったようだ。
そして装甲車だが、70年程前に起こった大災害の後、大半は壊されしまったとのこと。
最近になって都市を中心に使えるようになってきたらしい。
もっともこっちにあるような規格の整った大衆車ではなくオーダーメイドのカスタム車しかない。
こっちで言う大衆車らしきものは別の大陸にはあるという話だった。
「で、ホームドラマを観ていたと。」
「うん、20年程前に発行された小説を元に作られたって。」
風の通り道というドラマは田舎の村?町?を舞台にしている。
主人公らしき3人組の三角関係がメインの様だが家族や友人の会話が面白く7歳の子供の佳澄でも十分楽しめた。
ヒーローらしき少年のポンコツぶりがなかなかツボにはまっている。
見たエピソードを語ると兄は言った。
「それって普通なら出来ることじゃないと思うけど。彼、凄くない?」
「うん、やっていることは中々格好いいし素敵だと思うんだけど・・・」
思いっきり空回りしているヒーローの様子を周囲は温かいというより生暖かく見守っている。
物語の中ではポンコツに描かれているがヒーローの顔は滅茶苦茶良いし性格も良く頭も良い。
3拍子揃った好男子で、実際ホームドラマの中のヒーローはモテる。
そんな優秀な美男子の筈が何故?と思うがドラマの中の役回りは狂言回し。
なんでと思うがこの話のヒロインが凄すぎるのだ。
「格が違うって感じで、下手するとヒロインが悪役に見えてもおかしくないのにそうじゃないんだよね。」
暫くノートを読んでいた寛は首を横に振った。
「うーん、気にはなるけど。」
「ごめん、私の語彙力じゃこれが精一杯。」
「仕方ないよ。多分盲目の人が象を触るようなもんだろうし。」
「面白かったから兄さんにも見て欲しんだけどね。」
佳澄の一所懸命に面白さを伝えようとした文章が綴られたノートを閉じ、
「確かに、自分で観れないのが残念だ。」
と寛は笑った。
閲覧、有難うございます。
寛はTVは無理ですが原作小説は読めるようになります。
なお、この時点でTVがあるのは城塞都市とアレストリア、神聖帝国位です。
その内、トライオッドやシル・ヤーレでも観れるようになる予定。




