17_現状
この知人は旧作第2章でジーンや佳澄達が世話になった相手です。
ギルド本部を出ると知人の拠点に向かう。
世代で言えば父親であるゼンより上の何でも屋ギルド立上げ時の初期メンバーの一人でもある。
ここでは老人どころではない年齢なのだがまだまだ現役の何でも屋である。
「土産です。」
そう言って先程街で買った菓子類にハーレンやデ・カサルで用意した様々な食材を渡す。
「まあ、有難う助かるわ。」
料理好きの夫人は次々と自身の収納に仕舞っていった。
「今夜はご馳走ね。」
「泊まっていくか?」
知人の言葉に首を横に振る。
「お誘いは非常に嬉しいし、奥方の料理には心惹かれますが・・・
流石に引き継いだばかりで長期の不在は気が引ける。
夜の便を手配しているのでそれで帰ります。」
「そうか。残念だが夕飯位は食っていけ。」
「有難く頂戴します。」
「そう言えば、息子さん達にデ・カサルで会いました。」
「元気にしているか?」
「ああ、元気だ。向こうに拠点を移してクランを立ち上げたと聞いましたが。」
「ああ、こっちに未来があるとは思えん。孫には元気に育って欲しい。」
「・・・そこまで酷いですか・・・」
「ああ、仕事で村々を訪ねるが年々目が死んでいくよ。」
持ってきた酒をステファンのグラスに注ぐ。
「ギルド立上げ時に当時のメンバーとゼ・ドナやデ・カサル周辺を調べたことがある。」
「古代マーデの遺構の話ですか?」
「カミラさんに聞いたか。」
「ええ。」
「サイデン先輩が力の流れがおかしいと言うんでな。
幾つもの遺構を見つけて停止させた。
お陰でマーデから南側、特にゼ・ドナ周辺は荒廃の進みが遅い。」
「そうですか。」
飛行船で見た光景もそれを裏付けている。
「止めたのはアモンさんとサイデン先輩だが・・・サイデン先輩は知っているか?」
「前にお会いしたことがあります。
父がファンなので彼の書籍は全て拠点に置いてありますよ。」
「私も読むよ。ここにもある。」
「亡くなった原因はご存じですか?」
「いや何かの調査に行ってそこで何かに巻き込まれたとしか。
詳しい話はカミラさんとかしか知らないんじゃないかな。」
「そうですか。墓参りをしたいのですがお墓の場所はご存じですか?」
「いや、故郷に戻すから墓は作ってないと聞いている。」
「そうですか。」
「さっきの遺構だが見つけ次第、停止させる処置をしている。」
「そうですか。」
「それをすると荒廃の進みは遅くなるのだが・・・」
「邪魔されているのですが。」
「ああ、教会とマーデの連中にな。」
「・・・マーデは分かりますが教会もですか・・・」
「現場の神父達は止めたいらしいが上層部というかマーデの教会の大司教が阻んでいる。」
「名目は?」
「偉大なる教祖の遺産を傷付けることはまかりならんってな。単に自分達が困るからだろうに。」
「時期を考えるとマーデの遺構が出来たのはトリスタンがこちらにくるかなり前だと思うのですが・・・」
「ああ、多分だが教祖はマーデの遺構に気付いてそれを利用して教会を作ったと思うぞ。」
「ここで言う教祖はトリムの方ですか?」
「ああ、先輩が色々調べていたがそもそもトリスタンは農業支援はしても宗教活動は一切していない。」
「ええ、ハーレンでも彼は大地の眷属神ですし。
彼を尊敬し崇める人は多いですがトリスタン教徒は殆ど居ませんね。」
「巡回神父や地元の神父さんは尊敬できる人達なんだがどうにもトリスタン教会自体はな・・・」
「腐っているのはマーデの教会上層部だと思いますよ。」
「法王国はそうでもない?」
「巡礼者の話なので当てにはなりませんがこっちではそういう話はあまり聞かないですね。
まあ、トリスタン教徒は法王国と巡礼宿以外では殆ど見掛けないので何とも言えませんが。」
「そうだよなあ。」
その後、戻ってきた他のメンバーたちと豪勢な夕食を共にし、ガイは帰路の飛行船に乗った。
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