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シル・ストア~第0部 風の生まれるところ  作者:


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15/16

15_難民問題

前回の続きです。


「お久しぶりです。こうして直接顔を合わすのは初めてですね。」

「そうだね。ゼンとは何度か顔を合わせていたが。」

何でも屋ギルドのギルド長室でカミラと握手を交わす。

とうの昔に成人した3人の子供がいるというのに非常に若い。

大災害時点で既に結婚していて子供がいた筈なのだが・・・

それを思うとゼンにしろ自分の祖父母にしろ皆若々しい。

アナ・ハルナの人達は平均寿命が200歳越えだったが彼等も同じくらい生きそうだ。


続けて隣に居るベンジーに頭を下げる。

「お久しぶりです。先日はお世話になりました。」

ベンジーは気にするなと手を横に振る。

「それはそうと済まんな。わざわざ呼び出して。

引き継いだ直後忙しいだろうに。」

「向こうではギルド長に引継ぎの挨拶をすると言って出てきたので。」

それにゼン他の立ち上げメンバーは健在なのでガイが居なくても問題はない。


来たついでに色々と書類を確認したりサインをしたりする。

「で、ここまでどう思った。」

書類仕事が一段落したところでカミラはガイの顔をじっと見据えた。

「話には聞いていましたがここまでとは思いませんでした。」

デ・カサルには弟がいることもあって、そこまでは何度も来ている。

10年以上前だが依頼でデ・カサルから廃都が見えるあたりまで行ったことがあるった。

その時に見た光景より明らかに荒廃が進んでいる。

「マーデのコアが原因ですか。」

「ああ、あれらは周囲の力を食い潰すだけだ。」

カミラの言葉にベンジーが言葉を足してきた。

「神々もそれを嫌って近づかない。」

アナ・ハルナの生まれのベンジーはガイが微かに感じる神々の存在が見える。

「そのせいでここの大地は弱る一方だ。」

「ゼ・ドナ周辺はそうでも無いようですが。」

「ここには私の様なアナ・ハルナの人間が何人もいるし、少ないが神々の祝福を受ける村もある。」

それでもレナ・カサルの荒廃を抑えるには足りないと辛うじてこの周辺だけ進行を抑えているような状態だと言う。

「その話は伝えているのですか。」

「ああ、聞く耳を持たないがな。」

「見たと思うがレナ・カサルの城塞都市周辺は緑が少ない。」

「その話だとコアの産地であり一大消費地であるマーデ周辺に緑があるのはおかしいと思うのですが。」

「大昔、神聖帝国がこの地にあった頃の遺構が機能しているのだよ。」

初代マーデの子供達がマーデを拠点にレナ・カサルを繁栄させるために作った遺構。

本来はマーデの力を各地に届ける為に作られたものだがそれを悪用して逆にマーデに力を集める為に使われている。

「今のマーデの連中はそれを知らん。

自分達の周りが問題ないから気が付いてもおらん。」

カミラは苦々しく言い切った。

昔、レナ・カサルの荒廃が表に出る前に調べて分かったことだ。

このままでは不味いと各地に伝えた結果、デ・カサルはマーデ産のコアの使用を辞め、エマルドも導入に慎重になった。

が、肝心のマーデとそれに従う都市はコアの使用を続け荒廃に拍車を掛けている。

一呼吸置いてガイは二人に尋ねた。

「で、私をわざわざここに呼んだ理由はなんですか。」

これを伝えるだけが理由ではないのでしょうと暗に問えばカミラは苦し気に言葉を口にする。

「レナ・カサルの民を助けて欲しい。」


「荒廃が始まると皆マーデの方に逃げてくる。」

「本来ならデ・カサルの方に向かわせたいのだが、君も見ただろう。廃都周辺を。」

荒廃は廃都を起点にマーデの方向に向かって広がっている。

「あそこを抜けられないのですが。」

「ああ、車でもあれば抜けられないことも無いが歩きは無理だ。体力が奪われる。」

土地の力が無さすぎて生きる者には猛毒となり、大地に力を吸われると言う。

「マーデの遺構が原因でもあるのだがな。」

とベンジーは苦笑いを浮かべた。

「で、レナ・カサルの車だと荒野を抜けたらモンスター達に襲撃されると。」

「ああ、そこで頼みたいのはアナ・ハルナの車を何台かこちらに回して欲しいのだ。」

難民をデ・カサルに送る移動手段が欲しいという。

ガイは渋い表情を浮かべる。

そもそもゼンが引退を決意したのはこの車を求めて依頼が殺到したからだった。

「技術者を何人か送るので指導して欲しい。」

「分かりました・・・ヤーレ支部でも既に何人か指導していますが・・・」

既にヤーレの工房には各地から技術者が送られてきている。

「それでも全く足りんのだよ。」

「便利さに慣れたものに昔の暮らしの戻れと言っても聞き入れないからな。」

それが自分の首を絞める行為だとしても。


ひとしきり打ち合わせを済ませるとカミラが言う。

「今、巡礼の旅に出られるのはレナ・カサルでもある程度裕福なものだけだ。」

ハーレンでの巡礼では資金稼ぎや体力作りで働くものが多いのでそういう気はしないとガイが言うとベンジーが首を横に振った。

「そもそも船や飛行船に乗るには金が掛かる。

一番救いを求めているものは参加出来ないんだよ。」

「せめてデ・カサルまで行ければ何とか出来るのだが。」

悪徳業者が不正な斡旋をしてその対応に苦慮しているとカミラはボヤいていた。

閲覧、有難うございます。


旧作登場のベンジー、ここで登場。

彼はアモンと前後してレナ・カサルに渡り、カミラの協力者でした。

一時期ヤーレに居て何でも屋ギルド支部の立ち上げ他で協力しています。

それでシル・ストアの面々とは何かと付き合いがあり、その関係もあって第一部でナレカサル一家の後見も引き受けました。


おまけ

ここで出てきたマーデの遺構は第三部 星祭の唄で絡みます。


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