13_森の主 後編 ジーン:7歳
「主に会いに行く?」
ジーンは体が強張るを意識した。
あの一件は主が悪い訳ではない。
主を怒らせた側が悪いのだと言うのは理解している。
だからと言ってあの時感じた恐怖が和らぐ訳ではない。
そういうジーンの様子にゼンは手を横に振って頭をポンと叩く。
「あー、あいつじゃない。ヤーレの森の主は何体もいる。別の奴だ。」
クレクションマークを浮かべたジーンにゼンは言葉を続けた。
「俺達と仲の良い主が奥に居るんだよ。」
それに続けてガイが言う。
「この場所もその主に教えて貰った。」
「僕が行っても良いんですか?」
「ああ、お前の話をしたら主の方が会いたがっている。」
そうしてジーンはゼンとガイに連れられて翌日の早朝から森の奥に向かうことになった。
ムードやレノンは同行したがったがガイに力不足を指摘されて留守番となった。
装甲車で移動中、その部分について聞くと
「あいつらも前に連れて行っているんだよ。」
「完全に力負けしてな。まともに口も聞けなかった。」
「あの二人はもう少し修行が必要だ。あと数年鍛えれば連れて行っても大丈夫になるだろうさ。」
二人の言葉にジーンは首を捻る。
彼等より年下で能力の劣る自分は問題ないのか?と問うと多分問題ないだろと返ってきた。
「あの二人よりお前の方が強い祝福を受けているからな。」
「どういうことですか?」
「お前の両親はアナ・ハルナの民だ。
街の連中は辺境民なんて言っているが彼らの方が強い。圧倒的にな。」
そうで無ければモンスターやらなにやらがうじゃうじゃいるところで普通に暮らしていける訳が無いだろうと笑う。
「その子供であるお前は神々より俺達よりも強い祝福がある。
何の神かは名乗りの儀で分かるだろうけど。」
「ま、間違いなくシルの祝福は受けているな。」
ある程度進んだところで車を降りて徒歩での移動になった。
元々両親と旅暮らしをしていたのでジーンは一般的な子供よりも強靭な体力を持っている。
シル・ヤーレに来てから半年、食生活も良くなってさらに体力が付いた。
お陰で何とか夕方前には主の住処に辿りつくことが出来た。
『連れてきたか。』
突然、頭に声が響く。
ジーンは周囲を見渡して・・・気になる場所を凝視する。
変なところはないのだが何か気になるとその場所に近付くと岩が動き出した。
「お、流石。気が付いたか。」
ゼンが感心したように言った。
「えっと主様?」
『そうだ。』
姿を見せたモドラにゼンとガイが食事を並べる。
揚げ物や塩っ気のきついものなどどう見ても動物に与えては不味そうなものが多い。
ジーンは困ったように二人の顔を見た。
「良いの?人が食べるもの、主様が食べて問題ないの?」
『問題ない。』
モドラの言葉にガイが聞く。
「向こうでは駄目なのか。」
「うん、基本的に味付けしたものは与えてはいけないって言われている。」
「そうなのか?」
「野生動物を餌付けしていけないというのもあるみたいだけど、人の食べ物は体に良くないって。」
「人間は平気なのか。」
「うん。・・・何でだろ?」
夢でペットの飼い方や動物園で聞いた話を思い出す。
家で飼われている猫や犬は体の大きさが問題みたいなことを聞いたような・・・
『気にするな。我は大丈夫だ。後、我はモドラだ。』
そう言って舌を伸ばして唐揚げを口に運ぶ。
「モドラ様が大丈夫と言っているのだ気にするな。」
暫く料理に舌鼓を打ってから聞いた。
「モドラ様、僕に会いたいという話でしたが。」
『ああ、礼を言いたかった。
お前のお陰で料理が一層美味しくなったからな。』
どういうことってゼンやガイの顔を見る。
「とんかつ、硬かったんだよ。」
ああっと言って納得した。
シル・ヤーレの肉類はゼンやガイが狩ってくることもあるが大半は一緒に暮らすヘルドッグやヘルバードが持ってくる。
彼らは獲物の血抜きや解体などをしないので時間が経ってから村で解体をすることになる。
その為、どうしても硬くて臭いがきつくなる。
そういう肉を柔らかくしたり臭みを取ったりという情報をジーンは夢で聞いてきた。
ひき肉を作るための道具など、様々な調理器具類の構造も調べて貰い、結果シル・ヤーレの食環境は大いに向上した。
その恩恵をモドラも受けている。
『向こうは美味いものがたくさんあるようだな。』
それを作って持って来いということかとジーンは理解した。
『頼むぞ。』
とモドラは笑っている。
蜥蜴も笑うんだとジーンは思った。
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後にムードがティム能力を使って狩った獲物を直ぐに収納して持ってくるように頼み、肉の鮮度は上がることになります。




