12_森の主 中編
あの後、サンドイッチにスープを堪能した主はまた来いと言って姿を消した。
『ふむふむ、あれは元々月に供えるものだと』
「ああ、私の故郷を作った人達から聞いた話だ。
彼らの故郷では月見団子と言ってそれを供えて宴を開き、家族団欒を過ごすんだそうだ。
そして団子は宴の最後にはしっかり食べるらしい。」
『月神に捧げた訳でなく?』
「そういう話だ。」
それから何度目かの食事を経て、今はすっかり食事会となっている。
今は父親と弟の3人と主で今後トライオッドで出す予定の料理の試食をしていた。
『これは美味いな。気に入った。』
唐揚げをパクパクと食べる主。
雑食の様で肉・魚・野菜どれも美味しいそうに食べる。
「主様は普段何を食べているのです?」
『何も?生きるのに食事は特に必要ない。』
森から直接力を貰っているので特に食べる必要は無いらしい。
『昔は周囲の虫や草木を食べていたようだがな。』
「覚えていない?」
『ああ、意識がはっきりするような頃には食べる必要も無くなっていた。』
「なるほど、そう言えば大鹿の主の居るところも緑豊かで食い荒らされた気配はありませんな。」
かなりの巨体を誇る大鹿である。
あれが草木を食べていたら周辺は禿山になりそうだがそうではない。
「主が居て強い力を感じる場所だからと思っていたけど主になると食べる必要が無くなるのか。」
成程とゼンは頷いた。
『うむ、森の一部になってそこから力を与えられるからな。』
そう言って主は海老の天ぷらを口に運んだ。
「これは日本酒と言って団子と同じ米から作った酒です。」
幸い酒造をしていた村は破壊を免れ、今も日本酒を作り続けている。
普通に作るとドブロク、濁り酒になるがトライオッドの3人組の努力で清酒だ。
『ふむ、なかなか良いな。ワインよりも好きかもしれん。』
モドラは料理だけでなく酒も好む。
「それは良かった。日本酒は料理にもよくつかうものでして・・・」
そうして主を交えた宴は和やかに続いていった。
「しかし、名前が無いのは不便だな。」
「そうだな。ヤーレの主は他にもいるし。」
『そうか。では何か良い名は無いか。』
3人は顔をあわせて、考える。
「モドラ、守護神モドラはどうだろう?」
『モドラ?知らんな。』
「トライオッドを作った人達の故郷で蜥蜴に似た守り神だったそうだ。」
色々伝え聴いた話を一通り聞いた主は言った。
『分かった、今日から我はモドラ、モドラと名乗ろう。』
後日、この話を知った佳澄は首を捻ることになる。
「兄さん、モドラなんて居たっけ?」
「いや、僕は知らないな。父さん、母さんは知っている?」
「私は知らないな。」
「記憶にないわね。」
5人は朝食の席で首を傾げた。
「もしかしたら伝言ゲームでゴジラとか何かがモドラになったのかな。」
「あり得るわね。」
食卓は昭和の怪獣映画の話題で盛り上がり、遅刻だと大慌てすることになった・・・
閲覧、有難うございます。
モドラの名前の元ネタはゴジラ、モスラ、キングキドラ。
元々、3匹の子豚亭の常連との雑談がベースで言った当人も聞いた客も100年以上前に亡くなってます。
伝言ゲームの末、気が付いたらトライオッドにはモドラと言うゴジラに似た守護神が生まれました。
・・・大魔神も混ざっている?
途中で出てきた大鹿はジーンの両親の敵です・・・
ただし、ジーンも悪いのは主を怒らせた側と分かっているので恨んではいません。




