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第1話 鋼鉄の使者


星環歴772年 惑星コルト


天を仰ぐと、そこには限りなく澄んだ青空が広がっていた。人々の心を癒やすはずのその空に、不釣り合いな影が浮かび上がる。一つ、そして二つ目。

空からの侵入者たちは、その数を刻一刻と増やしていく。最初はぼんやりとした影でしかなかったそれらは、高度を下げるにつれてその不気味な姿を地上の人々に見せつけ始めた。そして――

――ガギン、ガギン!

冷たい金属音が街中に響き渡る。空の彼方から飛来した"訪問者"たちは、不快な音を立てながら次々と着地していく。威圧的な存在感を放つ無人兵器群ラーゼン・シュタール。普通なら、このような異形の集団を目の当たりにすれば、誰もが恐怖に駆られ、右往左往するはずだ。

だが――ここにいる市民たちの表情は違った。驚きも動揺も、そこにはない。むしろ彼らの目には、自分たちの街に土足で踏み込んできた不届き者への怒りと、それを討ち取ろうとする決意が宿っていた。武器を握りしめ、闘志を燃やす住民たちの姿が、そこにはあった。

しかも戦うのは、若い青年や経験豊富な大人たちだけではない。一見すると戦いとは無縁に思える女性や子供たちまでもが、この街の守護者として立ち上がっているのだ。

たどたどしくも着実に敵を倒していく少女、買い物帰りの主婦が籠を片手に持ちながら長剣を振るう姿、さらには十歳にも満たない子供が親と呼吸を合わせて敵を翻弄する光景――。部外者から見れば、老若男女問わず全員が戦場に立つこの光景は、まさに異様としか言いようがないだろう。

「またかよ、鉄クズ野郎!」

「みんな、やっちまおうぜ!木っ端微塵にしてやる!」

「各隊、持ち場に付け!」指揮を執るクラウス・マッケンジーの声が響く。

彼らは誰かに命令されて戦っているわけじゃない。ただ、自分たちの街を守りたいという純粋な想いだけを胸に、今日も戦い続けるのだ。

もちろん、これだけの人々が闘志を燃やせる理由が、ちゃんとあるのだが――。

「アルヴァス、向こうを頼んだ!奴らに一太刀浴びせてやれ!」

「――了解!」

灰色のジャケットに身を包み、剣を握った茶髪の青年、アルヴァス・ストラットは、敵の降り立った地点へと勇猛果敢に向かっていく。彼もまた、この街を守るため、侵略者たちを討伐せんとするのだ。

「まずはアイツからだ!」

物言わぬ鉄の怪物たちと対峙するアルヴァス。その存在を認識した怪物たちも、重苦しい足音を響かせながら一歩ずつ接近してくる。


ガゴン、ガゴン!


アルヴァスは躊躇なく真正面から突っ込み、先制攻撃を仕掛けた。

――ザン!剣が閃光を放つ。

――ズン!敵が両断される。

あれだけ居たラーゼン・シュタールの群れは、たった一人の青年によって次々と撃破されていく。一切の抵抗も示さずに。

「よし、この辺は片付いたな」

アルヴァスは小さく息を吐き、周囲の安全を確認する。この一帯は制圧できたが、遠くからはまだ金属音が響いてくる。戦いはまだ続いているのだ。

アルヴァス一人じゃない。市民たちは皆が勇敢に戦える。味方の戦力は十分だ。それでも彼は油断するつもりはなかった。

一呼吸置いて、アルヴァスは音のする方角へと駆け出した。残る敵の討伐と、仲間たちの救援のために。



ガゴン、ガゴン!

 鉄の四脚が地を踏みしめる音が響き渡る。カリストの街は、今日も戦場と化していた。

アルヴァスが戦っていた場所から離れた地点で、別の部隊が敵と対峙していた。部隊といっても、彼らは武装した一般市民の寄せ集めだ。

 ここヴェルテイル公国は、本国から遠くで勃発している戦争に加担しているのが現状。その戦争に兵力の大半を取られ、公国は自国民すら十分に守れない状況に陥っていたのだ。

 本来なら軍が対処すべき非常事態。だが「市民を守る」という国の最優先事項さえ、今や十分には果たせていない。

 ならば、自分たちの手で――。その想いだけを胸に、カリスト市民は今日も鋼鉄の軍勢と戦い続けるのだ。

「敵は強くない。でも油断は禁物だ。気を引き締めろよ!」

「分かってますって、クラウスさん!」

「公国軍なんかいなくたって、俺たちは戦えるさ!」

 カリスト市街のリーダー格であるクラウス・マッケンジーは冷静に指示を出す。その声に応えるように、仲間たちの闘志も燃え上がっていく。

「来たぞ!一斉に仕掛けるぞ!」

クラウスの号令が響く。

「行くぞ!」

「おうっ!」

「くらえっ!」

 一人一人が武器を振りかざし、まるで百戦錬磨の猛者のように敵を薙ぎ払っていく。

 何十体もの兵器は、市民たちの怒涛の攻撃の前に次々と撃破され、わずか十分とかからずに数体まで減少した。

 だが――その中に、周囲の勢いについていけない者が一人だけいた。

「よく見てろ、ロバート。そんなに速くは動かないんだ」

「は、はい……」

 白髪の少年、ロバート・レグルス。

「世界中の戦争に比べれば、こんなの大したことじゃないんだ……」

 必死に自分に言い聞かせるロバート。しかし、その震える声は恐怖を隠しきれない。傍目にも頼りない彼は、剣を両手で握りしめながら、おずおずとラーゼン・シュタールに向かって一歩を踏み出す。だが――

「うわぁぁっ!」

 目の前の兵器から放たれる無言の殺意と圧迫感に耐えきれず、ロバートは悲鳴を上げる。後ずさろうとして体勢を崩し、尻餅をついてしまった。

「ロバート!」

「まずいぞ!」

 十人ほどの市民たちと共に戦線に加わろうとしていたロバート。だが――

 恐れ慄くロバートに攻撃を仕掛けようとするラーゼン・シュタール。味方の一人がロバートを助け、彼の安全を確保する。

「やっぱりお前は下がってろ」

「そうだ!俺たちの士気まで下げる気か?」

 ロバートの存在がかえって戦いの妨げになると判断した市民たちは、彼を冷たく突き放す。ロバートは勇気を振り絞ったものの、実際にラーゼン・シュタールと向き合うことすらできず、仲間の足を引っ張ってしまったのだ。臆病者のレッテルを貼られても仕方がない。

 戦力にならない彼を安全な場所へ避難させ、市民たちは再び戦いを開始した。



――ガシャン!

 最後の一機が完全に破壊され、地に崩れ落ちる。無残な鉄の塊となった中から、もはや立ち上がる気配はない。市民たちは、ようやく安堵の表情を浮かべた。

「よしっ、終わりだ!今日は予想以上に早く片付いたな!」

 クラウスは戦いの終結を宣言する。周囲を見渡せば、さっきまで暴れ回っていた機械どもは、今や一つ残らず静かな鉄くずと化していた。

 各地区で防衛に当たっていた小隊も続々と帰還し、クラウスに報告を上げる。今回の戦闘でも負傷者は出たものの、犠牲者は出なかったとの知らせに、彼は胸を撫で下ろした。

「負傷者のことは心配いりませんよ、クラウスさん!衛生班をもう手配済みですから!」

「ああ、ありがとう。みんなにはしっかり休んで、回復に専念するように伝えてくれ」

 戦いを終えた者や負傷したものへのフォローも欠かさないクラウス。

 そして、無事に戦いを済ませた市民たちは、

「楽勝楽勝!」

「もう俺たち、下手したら公国軍並みに戦えるんじゃないか?」

「調子に乗りすぎよ!」

「皆、今日も良い戦いぶりじゃったのう。じゃが、ワシもまだ若いもんには負けとらんわいーーグギッ、ギャアアア!あばらがぁ…」

「おじいちゃんたら。もう、無理するからっ!」

 カリスト市街に散らばった敵機を殲滅し終えた市民たちは、集いの場として親しまれている噴水の広場に集結していた。戦いを終え、互いの無事を確かめ合う者もいれば、今日の自分たちの武功や戦果を報告し合う者も。

 平和な街の象徴である噴水広場で、武器を手にした市民たちが集まる光景は、この街が直面している現実を物語っていた。

「皆さん、お疲れ様でした!」

 茶髪の青年が、皆に労いの言葉を送る。討伐を終えて広場に屯していた市民たちは、一斉に声の主に注目する。

「おおっ来たな、大将!」

「今日も大活躍だったな、アルヴァス」

 噴水の広場にやって来たアルヴァスは、見知った顔の仲間たちに囲まれながら雑談を交わすのだった。   アルヴァスの周りにはいつも人が集まり、皆の中心にはアルヴァスがいる。彼を忌み嫌う者など、誰ひとり見当たらない。

「今日は何機倒せたんだ?」

「ざっと三十九ってとこだな!」

 アルヴァスはドヤ顔で、撃破したラーゼン・シュタールの数を得意げに答える。

「三十九だと!」

「この前は二十三だったよな。記録更新じゃないか!」

「さすがアルヴァスだよな。物怖じせずラーゼン・シュタールの奴らを倒しちまうんだから」

 多くの者がアルヴァスの戦果を称賛する中、ある者が声を上げた。

「ロバートとは大違いだな」

 その言葉に、皆の視線が広場の端に立つ一人の若者へと向けられた。臆病者と呼ばれるロバートの姿があった。アルヴァスたちがラーゼン・シュタールを掃討している間、すっかり戦意を失った彼は建物の隅っこに避難していたようだ。

「お前も進んで参加するようになったんだな、ロバート」

 ロバートの存在に気付いたアルヴァスは、すぐさま彼のもとへ歩み寄る。

「や、やあ。アルヴァス」

 ロバートは七年前に、このカリストに引っ越してきた。周囲の物たちとなかなか馴染めない彼だが、引っ越してきて間もなくアルヴァスと出会い、今日まで親友として付き合い続けている。

「あんなの進んで参加したとはいえねぇよ。ロバートの奴、なんとか敵に向かったと思いきや、すぐに尻込みするんだから」

 取り巻きの一人が、ロバートの無様っぷりをアルヴァスに告げる。

 やはり、今回もロバートは立ち向かうことが出来なかったようだ。気弱な性格のせいか、街の仲間たちのように戦う勇気が持てず、先ほども隅に隠れて傍観していたということになる。

「ロバート。恐怖に駆られて何も出来ないんじゃ、そこに居ないのとなんら変わらん」

 クラウスもその場に現れ、ロバートに説教を始める。

「いや寧ろ、お前の存在が俺たちのペースを乱し、隙だらけにしている。相手が雑魚とはいえ、下手すりゃ俺たちまで大怪我するところだったんだぞ。分かってるのか?」

「すみません…」

 弁解の余地もない指摘をされたロバートは、大人しくただ謝罪するしかなかった。ラーゼン・シュタールのいる手前でロバートがまともに動けなくなれば、周囲の者が彼をかばいながら戦わなければならない。足を引っ張られるのだから、いつ敵に不意打ちされても可笑しくない。

「まあ、いいじゃないですか」

 ロバートのフォローに徹するアルヴァス。

「一瞬とはいえロバートは、こうやってみんなと一緒に戦いに参加してくれた。それだけでも十分じゃないですか。少しずつだけど着実に進歩してますよ」

「だけどなぁアルヴァス」

「ロバートはみんなと違って能力が不十分だけど、それでも評価できる点はちゃんと認めてやるのが大人ってもんでしょ。違います?」

「うっ…」

「クラウスさん、俺はあなたのことを尊敬してます。カリストを守るために勇敢に戦えて、しかもこれだけ多くの人をまとめ上げることが出来るリーダーなんですから。だけど、もっと弱者の気持ちも気にするべきではないでしょうか」

 クラウスの言うことも間違いではない。悪い点を指摘された本人が素直になり、直そうと努力し出せば、きっと良い方向に事が進むだろう。しかし、ただ無闇に正論を叩きつけるだけでは、人を萎縮させ、自己嫌悪感を助長させることにもなりかねない。指摘された者の受け取り方によっては、むしろ逆効果にもなる。ロバートのような性格なら尚更だろう。

「誰もが最初から勇敢に戦えるわけじゃないんですし」

 アルヴァスの言い分に対し、ぐうの音も出ないクラウス。

「上から物を言うようで申し訳ないですけど、クラウスさんも弱い者の心が分かれば、もう鬼に金棒じゃないですかね」

 アルヴァスが言うように、クラウスはカリスト市民をまとめ上げ、長年続くラーゼン・シュタールの進撃に抗ってきた。街のリーダーであるクラウス無くして、今日のカリストは無かっただろう。

 それだけの歳月をかけて闘ってきたクラウスだ。リーダーとしてのあり方であったり、如何に連携して効率的に敵を倒すか等といった、彼自身が今日までに培ってきた技術やノウハウもあるはずだ。

 自分より倍以上生きているクラウスを尊重している一方、そんな彼にも欠けている点には躊躇なく、アルヴァスは物申せる。

 クラウスのような人生の先輩であっても見落とすものはあるし、逆にアルヴァスのような青二才だからこそ見抜ける本質もあるのだ。

「…そうだな、アルヴァスの言う通りかもしれん。すまなかった、ロバート」

 クラウスは自身の否を認め、素直にロバートに謝罪した。

「…俺たちも悪かった。帰れは言い過ぎたよ」

「だけど次回こそは、奴らにダメージを与えてくれよな」

 先程までロバートを非難していた者たちも、彼に詫び始めるのだった。

 アルヴァスの言葉はクラウスだけでなく、周りの者の態度さえも変えてしまう。どんなに心が荒んでも、捻くれても、彼が言葉を発すれば、それを聞いた者は鼓舞され、感化される。この青年アルヴァス・ストラットには、天性ともいえる、そんな統率力があるのだ。

 ラーゼン・シュタールの手前で踏みとどまってしまうものの、ロバートがこうしてラーゼン・シュタールとの交戦に参加する勇気が持てたのも、そんなアルヴァスのカリスマ性あってこそかもしれない。

「ありがとう、アルヴァス」

「気にすんなって!」

 ロバートが前向きな気持ちを取り戻す傍らで、クラウスは自分の頑なな態度で説教してしまったことを反省しながら、静かにタバコの煙を漂わせていた。



「しかし、減らないもんだよなぁ。先の無人戦争が終わってもう二百年だっていうのに、ラーゼン・シュタールはどこからでも沸いてくる…」

「こんな辺境の星にまで兵器を送って、俺たちを粛正しようとするんだから」

ラーゼン・シュタールの鈍音が静まり切った噴水の広場。

 市民の大半とは解散したが、アルヴァス、ロバート、クラウス他、十人程度はその場に残った。ここ近年の情勢に関する話題となり、またそれらに要因する不満を募らせていた。


 無人戦争。今から二百年ほど前に、この惑星コルトを含む五つの星の間で繰り広げられた宇宙規模の戦争だ。先程までアルヴァスたちが戦っていたラーゼン・シュタールも、二百年前に作られた技術の産物なのである。

「えっと、なんて言ったっけ、ラーゼン・シュタールをつくった人物の名前。…なんとかマンっていう」

「ヘンリー・フォン・アイヒマンだよ。ベイル帝国の科学者の」

 ロバートは即答する。


「おい、アルヴァス。そんなのロバートじゃなくても、皆知ってるぞ。宇宙史の授業、ちゃんと受けてたのか?」


 クラウスが間に入り、呆れ顔でアルヴァスを指摘する。アルヴァスは、学生時代の自身の怠慢さを思い出し、「体育以外、成績は良くはなかったなぁ」と笑い飛ばして見せた。ロバートもクスッと笑って見せた。


 それからもアルヴァスは復習がてら、今日に至る世界の情勢についてロバートに尋ねてみた。対するロバートも、アルヴァスに足りない知識を補完するように丁寧に説明してくれた。


 二百年前、ベイル帝国の科学者ヘンリー・フォン・アイヒマンは、人工知能による兵器ラーゼン・シュタールを開発した。ラーゼン・シュタールは敵味方を自動で識別し、敵と判断した者のみを能動的に攻撃していくという、脅威の無人兵器であった。ラーゼン・シュタールと称されたそれらの兵器は、当時行われていた隣国との戦争に実践投入されることになった。


「ロバート。アイツらって人工知能だけじゃなくて、なんかセンサーとかも色々付いてるんだっけか」


「うん、人間の脳波を離れたところから読み取る事が出来るみたいだよ」


 テクノロジーに興味津々のアルヴァスだが、それらに関連する原理やメカニズムには疎い。学生時代、熱心に授業を受けていたわけでもないのだから。


 博識なロバートは説明を続ける。


 ラーゼン・シュタールは戦闘における機動性が優れているだけでなく、搭載されたセンサーの精度も非常に優秀なのである。そのセンサーでは何人もの脳波を検知し、心理状態を瞬時に把握することが可能。これによって人々は心を読まれることになり、潜伏している敵国のスパイや偽装兵は瞬時に特定されることになる。また自国や組織を裏切ろうとする者も、ことを起こす前に排除される。

 自分たちが殺されないためには、己の言動だけでなく心の動きにすら気を付けなければならない。一瞬でも良からぬことを思った途端、不満分子と判断されるのだから。自国の者だろうと敵国の者だろうと例外なく。

「マジか。俺たちの脳みそを覗かれてるってことだろ。いい気分じゃないよなぁ」

「ホント怖くなるよね。人間の心を読み取るんだから。しかも、それを戦争に応用するなんて」

 説明するロバートも、ラーゼン・シュタールに対する正直な気持ちを口にする。

 開発に携わった者でさえ恐れを抱いたラーゼン・シュタールだが、戦場では大きな戦果を上げた。このままベイル帝国側の勝利を持って終結するように思われたのだが、

「ここで終わってくれれば良かったんだがなぁ。余計なことをしてくれた奴のおかげで、今の俺たちは先人の尻拭いをさせられてるわけだ」

 クラウスは煙草に火をつけ、ため息交じりに言う。

 ラーゼン・シュタールはある時を境に、敵側への攻撃の一才を止め、敵味方を問わず人間を襲うようになったのだ。彼らが暴走し出した原因については、二百年を過ぎた現在でも解明されていない。

 ラーゼン・シュタールに限らず宇宙を取り巻くあらゆる問題が、今後さらに身近なものになっていくのではないかと、 アルヴァスが危惧していると、

「さて。まぁ堅苦しい話はもう終わろう。俺はそろそろ帰るよ。このあと、娘の授業参観があるんでな」

 クラウスは武器を手に取り、帰り支度を始めた。

「また奴らが来たら頼むぞ、アルヴァス!」

 振り返らずに手を振りながら去っていくクラウスに、

「はい、お疲れ様でした!」

「お気をつけて」

 二人もそう言って、彼を見送った。

 やがて、他の市民たちもちらほらと広場を離れていく。

「もう一時だな。飯、まだ食ってないだろ?ウチ来いよ!」

アルヴァスはロバートを食事に誘うことにした。二人は残っている他の者たちとも軽く挨拶した後、その場を去った。

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