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第6話 それぞれの夜

 王国兵を退けた日の宴会中…。

「ユウマッ!ちょっとついてきて!」


 リュナに連れていかれた場所は村が一望できる高台だった。


「アタシ、この景色が好きなんだ。村のみんながよく見えて…」

「あぁ。」

「王国が攻めてくるって聞いたとき、一番怖かったのはこの風景が見られなくなることだった。死んじゃうとかよりもずっと怖かった…」

「…」

「でも、みんなで守れた。それがうれしいの。だから、ありがとう。それもこれも、ユウマのおかげ!!」

「いいんだよ。それに俺も、この景色好きだ。守れて本当に良かった」

 そういうとリュナは喜んでいるようだった。なんでわかるのかって?それくらいわかるくらいには仲いいんだよ!!

 しばらく談笑していると、リュナの表情が変わった。正確に言うと、顔が赤く染まっている。

「…それで、この前のことなんだけど…。ほら、大切な存在ってやつ!!」

「大切な存在…?」

「うん、…ユウマが言ってたやつ。…あれってどういう…」


 その時、

「ユウマ殿ッ!!探しましたよ!」

 族長だ。その後ろには村人も全員集まっているようだ。リュナがなんか話そうとしてたけど、まあ仕方ない。

「どうかされましたか?」


 族長は今までになく慎重な面持ちだ。

「ユウマ殿、我々ウルナ族の主となってくださいませんか?」

 へ?どういうことだ?

「…あるじ?」

「はい。古来より、ウルナ族は主を定め、命を捧げる種族。最近はふさわしいお方に出会うことができず主を定めることができずにおりました。…ようやく、巡り合うことができた。我らウルナ族114名の命、今日から貴方様のモノであります。存分にお使いください」


 …。えぇーーッ!!!命捧げるって…、重すぎて俺じゃ背負いきれないよぉ。

「お、俺は今後何をするかも決まってないし、何をすべきかもわかってないです。それでもいいですか?」


「えぇ。どのような道であろうと、主様の決めた道ならば、ともに突き進みましょう。」

 …。族長の、村人たちの決意は固いようだ。


「…。わかりました。でも、ひとつだけ条件があります。」

「はッ。どのような条件でございましょうか?」



「俺たちは対等な立場だ。お互い堅苦しい言葉遣いはやめよう。」

「かしこまり…、わかりました。ユウマ殿」

 そう言うと族長は微笑みを見せた。


 俺が主様かぁ。まさかこんなことになるとはなぁ。


 _______________________________________________________________________



 一方そのころ王城にて…。

「どういうことだッ!?」

「国王様、どうか落ち着いてください。」

「落ち着けだと?落ち着けるわけがない!獣ごときに負けるとはどういうことだっ!!」

 宰相から戦争の結果を知らされた国王はひどい剣幕であった。

「…。出兵したのはローデリア伯爵の兵です。次女の初陣を当てると聞きましたが、上手くいかなかったようですな。」

「!?なるほど、そうか。将が無能であったのか。…では、今回の損害は伯爵家に賠償してもらうことにしよう。」

「…!?しかし、伯爵家はその圧倒的な武力を以て、古くからこの王国を守り続けている、いわば王国の盾です。いくら国王様の命であってもそのような処置は…。」

「うるさい。もう決めたことだ。」

「…。仰せのままに。」

(いくら将が無能であったとしても、300の兵が100ほどの獣人に破られるだろうか。何かがおかしい。だが、国王様は聞き入れてくれないだろうな。…私の方で動いておこうか。)


 _______________________________________________________________________


 同時刻、訓練場にて、


「気絶した状態で森に捨ててきたと聞いたけど、せんせーは無事かねぇ」

「くだらないことを話すな。アイツのことなんかどうでもいい」

「まあ、確かにどうでもいいわね。てか、アンタたち。こんな夜中に、また騎士さんいじめてるの?もう30人近く壊しちゃってるじゃない。王様に怒られちゃうわよ」

 ハルトとタクミは訓練と称して城の騎士たちを相手にして遊ぶ(壊す)ことをストレスのはけ口にしていた。


「うるせぇなぁ。弱えのがんだ悪いんだよ。それに俺は勇者様だぞ。誰も俺を止められない」

「ハルトの言う通りだ。俺の剣の相手になる奴が誰もいない。少し本気を出すとすぐに死んでしまう。」


「…まぁ、ほどほどにしとくことね。アンタらのせいで私まで怒られたら許さないから」




 3人から少し離れたところには、夜空を見上げる委員長の姿。

「先生…。私はどうすれば」




 _________________________________________________________________


 とある森の中。姉弟が何者かに追われている。


「はぁ、はぁ……、……っ、お姉ちゃん……っ!おい!はなせッ!!!」

「ジーク!!あなただけでも逃げて!…お姉ちゃんは大丈夫!!」

「ッ…!?畜生、畜生…」

 少年は迷いつつも走り始める。自分の弱さを嘆きながら。ただひたすらに逃げる。


「…もういい。メス1匹で十分高く売れる。撤収だ。」

 そういうと何者かは去っていった。


「お姉ちゃん…」

 少年は姉の身を案じながら、暗闇の中に倒れこんだ。



『個体名:天野悠馬

 種族名〔状態〕:人族〔人間〕

 ジョブ:導ク者

 《スキル》

 ・導ク者(導きの数:24人)

 ・身体強化(小)(×24)(↑)

 [進化条件]

 …                 』



お読み頂き本当にありがとうございます


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初心者ゆえに至らぬところも多いかと思います。


読者様のご評価、ご感想は今後、しっかりと参考にさせていただきます。




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