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11 妖魔王の気配

深夜、静けさを湛えた町に不穏な気配が漂い始めた。

零はいつものように採掘場での疲れを癒すため、自宅の縁側に座り、夜空を見上げていた。

隣にはハルが丸くなり、尾をゆっくりと揺らしている。

星々が瞬く静かな夜に、零はふと胸の奥にざわつきを覚えた。


「…なんだ、この感じは。」

零は目を細め、気配察知スキルを発動させた。

その瞬間、遠く離れた場所からわずかに漂ってくる異様な波動を捉える。

まるで鼓動のように規則的に響くその感覚は、かつての記憶を呼び起こした。

「まさか…リヴォール?」


その言葉に反応したのか、ハルが起き上がり念話で問いかけた。

「零、どうしたの?何かあった?」

「微妙な波動だ。リヴォールの力に似ている気がする。でも、まだはっきりとした形じゃない。」

「リヴォールって…あの妖魔王のこと?」

「ああ。討伐したはずなのに、またこんな気配を感じるなんて。」


零の表情には緊張が浮かび、ハルもその雰囲気を敏感に察知した。

彼女はしっかりと零を見つめながら、静かに念話を続けた。

「確かめに行くの?」

「今はまだ様子を見よう。町に直接影響が出るまで動くべきじゃない。」


翌日、零は市場を訪れながらも、周囲の状況を慎重に観察していた。

町の人々は相変わらず平穏な日々を楽しんでいる様子で、温泉や宝石の話題で賑わいを見せていた。

しかし、零の意識はどこか上の空だった。


市場の店主が零に声をかけた。

「零さん、いつも素敵な宝石をありがとう。おかげでお店も繁盛してますよ!」

零は軽く微笑みながら答えた。

「こちらこそ、町の皆さんが楽しんでくれるのが一番ですから。」


その時、ハルが零の足元に寄り添い、念話でこっそり話しかけた。

「ねえ、今は大丈夫そうだけど、あの波動、消えてないよね。」

「まだ微弱だけど、確実に存在している。これ以上強くなれば動く必要があるな。」

「分かった。何かあったらすぐ知らせてね。」


零とハルは表情に緊張を見せないよう気を配りながらも、心の中では次に備えて策を練り始めていた。


夜になり、零は再び気配察知スキルを発動させた。

波動はわずかに強まり、町の北方の山間部から漂っているようだった。

零は深い息をつきながら、ハルに告げた。

「動く時が近いかもしれない。準備を整えておこう。」

「分かったよ。私も手伝うから、一緒にがんばろう。」


二人の間には言葉以上の信頼が流れていた。

零は静かに剣を取り出し、その刃を見つめながら決意を固めた。

「リヴォールが本当に蘇るなら、もう一度倒すだけだ。それが俺の役目なんだからな。」


ハルもその言葉に応えるように尾を振り、夜の静寂が二人の覚悟を包み込んだ。



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