表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隻眼の戦乙女  作者: ラリックマ
平和は突如として崩れ去る
6/11

怪しげな装置

 ロット軍が島に攻めてきてから一週間ほどが経った頃。私たちモルス人は、彼らに謎の招集をかけられ、巨大な黒塗りの戦艦の中に連れていかれた。


 一体何をされるんだろうと不安を胸に抱きつつも船内にお邪魔すると、いつも私たちに命令を下す偉そうな軍人が、医務室の前で順番に待っていろと指示を出してきた。


 医務室? なぜそんな場所に行かなくては? と疑問に思うが、口にはしないでいた。まあ医務室ということは、健康調査か何かだろう。


 貴重な労働力である私たちの体に、何か異変や病気がないかを検査してくれるのだろう。前向きに考えるようにすると、少しだけ気分が軽くなる。


 ドクドクと順番が近づくにつれ早くなる鼓動を抑えようと、ゆっくりと呼吸を整えて順番を待つ。それにしても、すごい機械の数々だな。


 ずっと島で田舎暮らしをしていたせいか、見るもの全てが新鮮だ。戦艦の内部は私の知らないものに満ち溢れていて、思わず萎縮してしまう。


 あまり顔を動かさず、目線だけで艦内を見ていると、不意に気持ちの悪い視線を感じる。ジロリと舐め回すようないやらしい視線。私は自分に(よこしま)な視線を送ってきている人物の方へ、思いっきり顔を向けるのではなく、ほんのちょっと視界の隅っこに映るぐらいの場所へ眼球を動かす。


 動かし、視界の(すみ)に映った人物は、いつも私たちや軍人に偉そうな態度をとっている、身長が高く筋肉質な軍人だった。


 なんで私にあんな視線を送ってくるんだろう。冷や汗を流しながら、早く順番が回ってこないかと心の中で思いながら目を伏せた。


「つぎ」


 医務室の中からそう呼ばれ、私は近くに立っていた軍人から「早くしろ!」と催促され、慌てて中に入る。


 中に入るとそこには、機械やら医療機器やらたくさんの見覚えのないものが、緑色のベッドのようなものを中心にして置かれていた。そして、その近くには複数のマスクと帽子をかぶった医者のような男たち。


 なんだこれ? 今から何をされるんだ? どんどんと不安が募っていくが、今更何もすることができない私は、ただ医者のような男の指示に従った。


「それじゃあ早速、横になってくれる?」

 

 そう指示され、私は真ん中にある機械に囲まれた緑色のベッドの上に横たわる。


「それじゃあ力抜いて、これつけてね」


 緑色のベッドのようなものに横たわると、ホースでつながれた透明のマスクのようなものを口元に付けられる。


「それじゃあすぐに終わるから」


 医者のような男がそういうと、プシューとマスクからガスが出てきて、そのガスを吸った途端、とてつもない睡魔に襲われ、私は沈むように眠りに落ちた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ