妹との仲が良すぎる件について
次の日。僕は無事に出来上がったカピバラのぬいぐるみを、駒原のところに渡しに行った。
「え、早! ありがとう!」
駒原はものすごく喜んでいた。
「よかった〜これで妹とお揃いのぬいぐるみになるよ」
「妹にあげるの?」
「そう。そうなんだけど、妹ね、私のこと好きすぎて、私とお揃いじゃないと受け取らないってわがまま言うの」
なるほど。そんな妹にあげるために、二つ用意する必要があったわけか。
僕は納得した。
「ほんとありがとね。あ、何円で売ってたんだっけ?」
「代金はいいよ。まあ、おまけみたいなノリで」
「え、いいの……? ほんとありがとう」
「あ、もしかして、わたしの分もある?」
駒原がお礼を言うと同時に、春岬がこちらに来た。
「うん。あるよ」
僕はカピバラのぬいぐるみを渡した。
「やったっ、ありがと! 妹とお揃いのぬいぐるみになるから嬉しい! 妹めっちゃ喜ぶと思う、ありがとねっ!」
「あ、うん」
「あ、それで、何円だっけ」
「あ、おまけみたいなもんって事で、代金はなしで……」
「優しい……ありがとうっ!」
ものすごく可愛くお礼を言われたのはいいんだけど。
なんか、妹と姉の仲良すぎない?
そんなもんなの?
僕、妹と仲良くないけどそんな。
昨日も多分一言も会話してない。
なんか羨ましいなあ。
ラノベに出てくる妹は流石に現実離れしてる気がするけど。
まあせめて、もうちょいね。
しかし実際は、ラノベみたいになるどころか、少しもそういう方向にいかないのが現実だ。
駒原と春岬とだってそうだ。
特に、この後、ラブコメじみたことはないだろう。
僕は駒原と春岬にすごく感謝されながら、自分の席に戻った。
お読みいただきありがとうございます。
完結予定時間が決まりました。明日1月3日のお昼頃に完結する予定です。最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。