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見せよノリヒロ修行の成果!メスガキエルフの尻を打て!エルブン組手withサメ殺し同好会

 デュエルスペース!

 小惑星ほどの戦闘用空間!その成り立ちはエルブン城よりもさらに古いと言われている。

 かつてエルフの戦士たちがエルブンレスリングでマウントを取り合い、森林拳の隆盛後はグレーターエルブン組手が行われた。エルフクラン同士の戦争さえ幾たびも繰り広げられた、神聖にして呪われた地。

 デュエルスペースの大地は、無数のエルフのしかばねでできている!恐るべき歳月と血濡れの歴史の結晶!!


 このバトルフィールドに降り立つ、天の川銀河のエルフ重鎮、サメ殺し同好会のグレーターエルフたち!同好会に入会せんとする新米エルフ、ノリヒロ&ポンティ、彼らの師であるふんどし幼女の古エルフ!コアラは寝ていたので置いて来た!

 そしてこれより新人の同好会入会をかけた、実力を示すための抜き打ちエルブン組手、イニシエーション・エルブン組手が始まる!



 新人入会に最も反対していたグレーターエルフが進み出た。

 キャップを被り、ガムを噛むメスガキ系つり目エルフ、スパンキング。幼い外見とは裏腹に、その歳なんと3191歳!


 対するは日本人中年男性、ノリヒロ!37歳!エルフになって二年弱、若輩中の若輩だ。

 エルフ換算で言えば偉大なるグレーターエルフに平伏し、抱っこをせがむ幼児の(よわい)!中年男性の価値観からしても、相手は人生の大先輩、古事記の時代からリアルタイムで生きる神話生物!

 しかし愛する師の手前、臆することは許されない。彼が目指す高みは世界最強の童貞だ!



 100メートルほどの距離を置いて対峙する両者。それを遠巻きに見守る、サメ殺し同好会の面々。

 スパンキングは傲然と言った。

「ファーストターンは譲ってあげる。あんたみたいな雑魚、後手後手の後手で十〜分!」


「ターン?何だそれは」


「先に矢を撃たせてやるって言ってんの!」


「矢か。私はエルブン・ボウが使えん」

 ノリヒロは奥多摩ゴブリン事変より約一年弱の修行を積んだが、エルブン・ボウはまだ撃てない。森は一年にして成らず。エルブン・ボウを撃てるほどまで体内森林を高めるには、長い歳月が不可欠だ。


 スパンキングは高笑い!

「あはははは……何しに来たのよおじさん!"矢"も使えないとか超ウケる!!」

 そしてメスガキエルフは体内森林を爆発的に高める!能あるエルフは性癖を隠す!つまり実力を隠していたのだ!!


「ザァーコ!ザァーコ!森林すかすか〜」

 煽りを入れるスパンキングのマイナスイオン濃度が高まり…激しく赤く発光!エネルギーの高まりによって、その体が宙に浮く!!

 ノリヒロは腰を落とし、脇を締め、両手を前に身構える!


「消えちゃえ!」


 エルブン・ボウ!


 ドドドドドドドドドドドドー!!


 その一発の大きさは師に劣る。しかしなんという多量のエルブン・ボウ!クラスター爆弾さながらに、ゴブリンの群れさえ殲滅せしめるほどのビーム雨が降り注ぐ!

 改めて説明すると、エルブン・ボウとはエルフの得意とするビーム攻撃である!ファンタジー作品のエルフが用いる弓矢は、このビームをシンボル化ないし簡略化した表現だ!!


 ドドドドドドドドドドドドー!!


 ノリヒロのエルブン耐久力では、一発直撃しただけでも蒸発してしまう!二歳のエルブン誕生日を待たずして死んでしまうのか!?



 ……ビームの雨が止み、立ち込める煙が晴れる。

 その中に立つ、赤ふんどし一丁のノリヒロ!ふんどし以外の衣服は蒸発している!!


 エルブン回し受け!!

 円の動きで攻撃をいなす!森林拳の基本技術であるが、その練度を高めればあらゆる攻撃を受け流すことができる!そう、高威力のエルブン・ボウでさえも!!

 師より勝手に死ぬなと言われて以来、徹底的に防御の技を磨き上げた成果だ!


「はあ?手で防ぐなんてズルい!ちゃんと撃ち合いなさいよ!!」


「ふざけているのか?エルブン組手はルール無用の残虐バトル!」



「ノリヒローッ!そやつの尻を狙え!そやつは尻を叩かれることに性的快感を覚えるど変態じゃー!!」

 ふんどし幼女の師の助言!万象を見通す古エルブンアイによって、スパンキングの性癖を見抜いたのだ!


「なっ……大声で言わないでよ!?」

 その場の全員に性癖を知られたスパンキングはひどく動揺!

 その隙に一瞬で間合いを詰めるノリヒロ。見た目はメスガキに襲いかかる中年おじさんである。完全に違法!しかしエルフ故に脱法!!


 そしてメスガキエルフ・スパンキングの尻に……森林浸透勁(しんりんしんとうけい)!!!パアン!

「んほおっ!」


 森林浸透勁(しんりんしんとうけい)

 文字通り、浸透圧を利用した打撃である!エネルギーが高いところから低い場所へ流れ均一になろうとする性質を利用した、つまりはエナジードレイン打撃だ!!

 格上のポンティから貞操を守り続けるノリヒロが、対抗策のひとつとして磨いた技だ。森林拳のふんどしホルダーであるポンティには、打ち込む隙はほぼ皆無。

 しかし目の前のメスガキエルフは体内森林蓄積は高くとも、体術の研鑽が絶無!日常的に死線をくぐるノリヒロにとって、打ち込めと言わんばかりの尻サンドバック!


 衝撃と共に力を奪われたスパンキングは後ずさる。

「調子に…乗るなッ!」


 メスガキの反撃!ノリヒロはテレフォンパンチを回し受けで弾く!!フォレストドレイン!!!パアン!

「いやぁ!」


 メスガキの反撃!ノリヒロはテレフォンパンチを回し受けで弾く!!フォレストドレイン!!!パアン!

「らめぇ!」


 メスガキの反撃!ノリヒロはテレフォンパンチを回し受けで弾く!!フォレストドレイン!!!パアン!

「んほおおぉぉぉ!!!」

 スパンキングは激しく痙攣!そして地に突っ伏した。


「…ぐすっ…あたしの森ぃ……もう吸わないでぇ……あたしの、負けだからぁ……」


「甘ったれるな!森林大辞林に降参の文字は無い!!」

 そして駄目押しの森林浸透勁連打!!パパパパパパパパパアアァァン!間断なく響く炸裂音!


「らめええええええぇぇぇぇ!!!」

 完全に合法のフォレストドレイン!!




「…ふええええん、ひどい!!!返してよお、あたしの森いい!!」

 泣きじゃくるスパンキング。その姿を見て、師は笑いに笑う。


「あーはっはっは!見事じゃノリヒロ!分からせてやったようじゃの」


「お前たちはエルフという種にあぐらをかいて、ちょっと調子こきすぎなんじゃ。雑魚と侮る相手にこのザマよ!さあ次はどいつじゃ!?」


 上機嫌にはしゃぐふんどし幼女の師とは裏腹に、サメ殺し同好会のグレーターエルフたちはドン引きしていた。ふんどしの中年男性エルフに恐れをなしたか?

 するとサメ殺し同好会会長、褐色銀髪巨乳のドゥームビッチが師へ申し立てた。


「…お言葉ですがおひいさま。昨今のエルブン組手はエルブン・ボウの撃ち合いを基本としております。おひいさまのモットーとする森林拳は、かつてのエルブンレスリングやフォースソードのように、忘られようとしている。

エルフの戦いに体術など…無用です。巨大なモンスターと相対しても、遠くから焼き払えば良いのですから」


「全っ然分かっとらんのう。ビームでサメが焼き払えるのであれば、最初っからそうしとる。あんなものは、あくまで格下の雑魚専の技じゃ!」



「森林拳の極意を忘れた愚か者ども!よく聞け!難敵に挑み、全霊を持って戦い抜くことこそエルフの本願じゃ!」


「同感だね、おひいさま。次はあたしがやるよ」

 名乗りをあげたのは身長2メートルを超えるパワーセクシーエルフ、ライダースジャケットを着た金髪のグロウリィホール!8421歳!エルブン・コンテンポラリー・レスリングのベルトホルダーだ!


「あいつを倒したら、久々に手合わせお願いしてもいいかね?おひいさま」


「うむうむ、良かろう!お前さんは相変わらずの気骨じゃな!しかし格下といえども舐めてかかるでないぞ。なにせ、ワシが直々に鍛えたオスじゃ」




 グロウリィホールと向かい合うノリヒロ!

 連戦ではあるが…ノリヒロ自身はスパンキングをスパンクして得た森林力により、かつてない力の充実を感じている。

 しかしグロウリィホールは森林力もさることながら、肉体の鍛錬も怠ってはいない。死線を何度もくぐり抜けてきた者特有の、淀みないマイナスイオンの流れを感じる。只者ではない!


 「じゃあ……行くぞっ!!」

 超音速のエルブンタックル!単純明快な質量攻撃だ!


 グロウリィホールの巨体が、一発の弾丸となってノリヒロの目前に迫る!!


 受けも回避も不可能!


 となれば…森林ニーキック!グロウリィホールの顔面にノリヒロの膝が刺さる!しかし…グロウリィホールは止まらない!!

 エルブンタックルが、ノリヒロの胸部へまともに入る!ノリヒロの24本の肋骨が全て粉砕!!

 等速直線運動で吹き飛ぶノリヒロ!1000年前に作られたエルフソードマンの大石像に直撃!!そして倒れたエルフソードマン大石像の下敷きになるノリヒロ!!


「大した奴だよ。咄嗟に相打ち覚悟のカウンターに切り替えるなんてな!

でも…調子に乗った新米をシメるのも、年長者の役目だからね。グレーターに席を並べるには早すぎる」

 グロウリィホールは鼻血を拭いて、ふんどし幼女の師に向き直った。


「さあおひいさま!勝負してくれ!!」


「はっはっは。まだ早い」

 師は笑いながら言う。


「そうね、おひいさま。まだ早い」

 ポンティも師に同意した。


「…なんだって?」

 グロウリィホールが崩れたエルフソードマン石像を見やると…瓦礫の中から、ノリヒロがのそりと立ち上がり…歩み寄ってきている!

 手ごたえからして肋骨が全て粉砕し、内臓もいくつか破裂しているはずだ。ただちに森林浴しなければ、命を落としかねない負傷である!!


「マジか…?たかがデモンストレーションに、命をかける奴があるか?」


 多量の血を吐きながら、ノリヒロは言った。

「ゲボオッ……言っただろう…森林大辞林に……降参の文字は無い!」

お読みいただきありがとうございます。

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