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オスのエルフは一般庶民の人気者

 土に埋められた二人のエルフ。

 激しく負傷したエルフは、森の腐葉土に埋めておけば回復する。適当な腐葉土がない場合は、良くすえた肥溜めでも代用可である。

 ノリヒロはその肉体を根とし、大地のエネルギーを吸収して心肺停止状態から蘇生した。土山から顔だけ出した格好だ。


「グハアッ!!ゲホッ!ゲホッ…」


「やっと起きたのね」

 土山から顔と乳だけ出した金髪緑眼巨乳淫乱エルフ、ポンティである。彼女の頚椎は、ノリヒロとのエルブン組手により粉砕していた。


「ポンティか」


「はい。あなたのカキタレの、おポンティめにございます」


「そういう発言はやめろ!…もう私の貞操を狙うのはよせ。そもそも他の男でもオスのエルフでも、何でもいるだろう。性欲を発散したければデリヘルで働け!」


「人間のおちんちんなんて豆腐みたいなものでしょう。私は膣圧だけでビールの瓶が切れるのよ?」


「一体何をどうやったら膣で瓶が切れるのだ…」


「あとで見せてあげるわ」


「見せんでいい!」

 片手を振るだけでソニックブームを起こせるポンティだ。やり方は不明だが、おそらく、膣瓶切りも嘘ではないだろう。



「…他のオスエルフも冗談じゃない。一日中ユーカリの葉でラリって、自分のうんちをもぐもぐ食べているような奴ら」


「ユーカリの葉を食うのか?まるでコアラだな。オスのエルフは」


「見た目も実質コアラね。だからほとんどの場合、コアラとして動物園に寄付されるわ。あなたはコアラに性的魅力を感じられる?」


 …それができる者もいるであろうが、ノリヒロには難しく感じた。


「全く、何のためにわざわざあなたを鍛えたと思っているの。性奴隷でも肉便器でもいいから、女として扱ってちょうだい」


「…そうか。そうだな、すまん。駄目だ」


「許さない。次は絶対におま○こ舐めさせてやる」



 剣呑な会話を交わすうち、すでに二人は回復していた。恐るべきエルフの生命力と奥多摩森林の相乗効果。

「ノリヒロ。おひいさまに告ったそうね?」


「……うむ」


「あなたの気持ちは知ってたわよ。でも、あなたのおフェラ豚としてではなく、姉弟子として忠告させて貰うわ。

…私にとって中年童貞的恋心がカスなのと同様に、私たちの存在そのものがおひいさまにとってカスなの。分をわきまえなさい」


「百も承知だ…確かにで過ぎた真似であった。言うべきではなかったと思う」


「おひいさまは木炭を圧縮してダイアモンドを作れるそうよ。膣で」


「やめろ!そんな話は聞きたくない!」



 エルフの人口は人間に比べて非常に少なく、その存在も極一部の者にしか知られていない。

 この日本において、エルフを知る者が"エルフ"と言えば、ノリヒロらの師であるふんどし幼女の古エルフを指す。見た目は幼女だが、その実年齢は日本国の歴史を上回るほど長いという、エルフの中のエルフだ。ゆえに、名もない。


「これは褒美じゃ!ワシのお下がりじゃがな!」


 赤いふんどし。ノリヒロの、森林拳習得の証だ。

 ポンティはすでに受け取っていたが、普段はもっぱらパンティを履いている。


 ノリヒロは師の前に土下座して申し出た。

「…師匠。昨日は失礼を…何卒、お忘れください」


「プロポーズの話か?うむうむ、気にせんで良い。今まで通り、飯・風呂・掃除・洗濯・あんまをやってくれれば、別に結婚でも何でもしてやってもよいぞ」


「え?」


「おひいさま!?ノリヒロが合法ロリセックスを目論むど変態であったらどうするの!」


「別に構わん」


 何という冒涜的古エルフの貞操観念!

 脳内麻薬による高揚感がそうさせたとはいえ、ノリヒロは異性に想いを伝えたことが初めてであった。そしてオーケーの返事を頂いたことも初めてである!

 しかし、ノリヒロの胸中は喜びよりも畏れの方が大きい。彼の童貞がゆえではなく、彼の愛が、崇敬の念によるものであったからだ。


「…というかな、お前たちも千年万年生きればわかるじゃろうが、長く生き過ぎると、色んなことがどうでも良くなる。いっとき仲良くなった所で、どうせ先に死ぬのはお前たちじゃからのう」


「……左様でございます。だからこそ私はエルフとなり、寿命の枷を外そうと思ったのです」


「ふむ!お前のその心意気は、なかなか悪い気はせんな。まあ、あまり期待はできんがの」



 ポンティはため息をついた。

「…しかし意外です、おひいさま。私たちのことはてっきり、虫けら同然に見ているものかと」

 地中深く生き埋めにされる、一年間の無動無呼吸の修行。ポンティは埋められたことを忘れられて、十三年間土の中で過ごしたことがある。


「一応お前たちの師としての情くらいあるわい。しかし…うむ、虫けら同然と言えばその通りじゃのう。

実際お前たちのことは、ちょっと目を離した隙にくたばるような、か弱い生き物にしか見えん。

ワシがちょいと本気で息をしただけでも死ぬ雑魚じゃ」


 師の言葉は事実である。同じエルフであっても、師との間に途方もない力の差があることは、弟子たちにも分かっていた。百年単位の修行を重ねたとしても、到底辿りつけぬであろう高みに彼らの師はいる。


「ノリヒロよ。お前が望むような夫婦(めおと)の間柄になりたければ、対等とまでは言わんが、せめてゴブリン程度は倒せるようになってもらわねばなるまいな」


「…精進いたします。しかしゴブリンとは……緑色の小さい人型モンスターのことでしょうか?」


「そうじゃ。緑色の小さい人型モンスターじゃ」


 ポンティでさえ見たことがないというゴブリン。

 この現代に、ゴブリンが生息しているものだろうか。一般人にエルフの存在が隠されているように?

お読みいただきありがとうございます。

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