第六話 長い一日
俺は「星ノ使徒」について聞いた内容を何度も頭の中で整理しようとしていた。
ユノ…どうしても引っかかる名前だ。もしかしたら、「星ノ使徒」の法則性に関わるようなものなのかも知れないが…いくら考えても思い出せない。仕方ない、一旦置いておくとしよう。
「ーーーねぇ、あんたのことについて聞かせてよ。」
ふと、七香が俺を見て言ってきた。
「え?俺のこと?」
「そうよ。あんたこの前、刺されたって言ってたじゃん。」
「えぇ!!?ラクト刺されたの!!?大丈夫!?」
大きな声でカナデが驚いていた。
「だ、大丈夫だよ。そこまで問題なかったし…」
「でも《ヒール》が使えないって言ってたっしょ。」
「えぇーー!?それじゃかなり問題あるじゃん!」
中々記憶力があるやつだな、七香は。
「あーー…分かったよ。一応成り行きから説明するよ。」
そう言って、何者かに刺されたこと、エルが助けてくれて致命傷は免れたこと、「治癒魔法」が使えなくなったことを改めて、皆に説明した。
「んん〜…それじゃあラクト一人にするのは危ないよね。」
一通りの説明を聞き終えたあとカナデがそう結論づけた。
「いや、そこまで気にしなくても…問題はないってば…」
「いーや、自己回復できないってかなり危険だよ!」
カナデは結構な心配性だな。
ーーーいざとなったら『力』を使えばいいのだが…
「まぁ、でも一通りのお話は終了よね?これ以上何か気になることとかある?」
七香がそう切り出す。
「今のところ俺は大丈夫かな。」
「わ、私も腑に落ちないけど一応大丈夫…かな?」
「ボクも問題ないよ。」
「今日はこの辺で、終わりにするとしようかのう。っとそうじゃ。お主ら、今日は泊まっていかんかの?」
話し合いが終わり、一段落…といったところでウノさんが提案をしてきたのだが…
「えぇ!!?」
「い、いや流石に迷惑じゃないかなと…」
「わ、私も…また明日来ますので…」
俺と七香は遠慮気味にそう答え、何故かカナデが一番驚いている。そしてエルは、
「ならそうさせてもらおうとしようじゃないか?」
断る気ゼロだった。
「いやいや流石に迷惑でしょ?」
七香がエルを説得しようとするが…
「この家にはわしとカナデしか住んでおらん。わしが良いと言ってるのじゃ。遠慮しなくていいんじゃぞ。」
「そうは言いますけど…カナデは問題ないのか?」
「!!ーー……!。」
どういう感情?なんか…セリフでは伝わりにくいような顔でカナデが黙り込んでいる。
「お、おい…カナデ?」
「う、うぎゃあああ!!?」
肩をさすってみるとかなり驚いてこちらを見てくる。
「あ、あー、えーっと…」
「なんじゃカナデ。ラクトに泊まって欲しいと言ったのはカナデじゃろう。何も問題なーーー……」
「ちょっとぉぉおおーー!!!!??な、な、何言っちゃってるのお爺ちゃんー!!!???」
ウノさんのセリフを遮って、カナデがかなり大きな声を出す。
流石に驚いた。
「なにこれ…」
隣で七香が微妙な視線を送っている。エルは…知らん。
「あ、えっと、も、問題ないよ?泊まっていって!!」
最後には開き直って、泊まっていけと言ってくる。
「これは仕方ないよな?」
七香に確認をとる。
「そ、そうね。そもそもエルが泊まるって言ってる時点で、私たちの帰りの手段がないし…」
「あ…それな。」
この中で「転移魔法」が使えるのはエルくらいだ。
「仕方ない…今夜はお世話になるとするか。」
こうして俺たち3人はウノさんの家に泊まることとなった。
ーーーそして何事もなく、一夜が明け…
「なにこの状況。」
…るはずがなかった。
今は深夜一時くらいの時間帯だ。なんとか寝ることができる。なぜこの時間まで起きていたのかと言うと…
「ほんと、ウノさんって…天然なのか?よくもまあ、自分の孫娘と俺を同じ部屋で寝させたな。」
この部屋には、左からカナデ、俺、七香の順番で布団に入って寝ている。エルは、調べものがあるからとパソコンの置いてある部屋に移動したっきり戻ってこない。
ーーーあいつ、まさか調べながら寝てるんじゃないだろうな?
まぁ、あんなやつのことはどうでもいい。問題すべき点は何故俺がよりにもよってこいつらと寝ているのかということだ。
カナデと七香が同じ部屋で寝るなら分かる。なのになぜ俺まで…いや、この問題…かなりふざけていて、それでいてぐうの音も出ないようなしっかりとした理由があるのだ。
その理由は何かって?ーーーそんなの簡単さ。
ーーーここしか寝る部屋がなかった。
正確にはウノさんが寝ている部屋と、カナデが寝ている部屋の二箇所でしかまともに寝ることができない。
エルはまともじゃないからどこでも寝れるようだけど。そもそも、俺はウノさんの部屋で寝てもいいと言ったのだが、
ーーー「わしは可愛い子以外と寝る気は無いぞ。」
と、言われ部屋に入れてもらえなかった。どんな理由だよ。
仕方なく、カナデの部屋で寝ようとしたのだが、カナデは七香に何故だか敵対(?)しているから隣では寝たくないと言い出すし、俺がとなりになるといきなり変な声が聞こえてきてまともに寝れる状況ではなかった。
ーーーまぁ、今はなんとか落ち着いてくれた。これでようやく眠ることが出来る。はぁ…きっと朝は良い目覚めができるんじゃないかとそう期待して次の日を迎える。
結論ーーー朝の目覚めは最悪だった。
「ーーぐへっ!?」
変な声が漏れた。だが仕方がない。何故なら、
ーーー俺の体の上に枕が落ちてきたからだ。
「えいっ!!」
「あまい!こっちよ!せやっ!!」
「くっ…中々やるんですね!」
こ、こいつら…枕投げをしてやがる。しかも俺は真ん中で寝ているというのに、おかまいなしにやりあってる。
ーーーてか、カナデと七香、ずいぶん仲良いじゃねえか。
「やめろー!!」
「「きゃあ!?」」
俺が声を上げながら起き上がると、二人の手が止まる。
「朝からうるせえな。てか元気良すぎがよお前ら…」
「ま、まぁ朝ご飯前のちょっとした運動にはなったよ♪」
「あ…そういえば絡斗いたんだね。」
おいこら…こいつらはあれだ、混ぜるな危険だな。うん。
「さあさあ、気を取り直して、今日はジャイ二様のとこに行くんだから!」
俺たち3人は着替えと朝食を済ませ、早速、役場に来ていた。ちなみにエルは予想通り、パソコン部屋(と名付けておく)で寝ていた。今日も引き続き調べものをするらしい。
「やっほ〜♪」
「やっほ〜、早いね、カナデちゃんたち。」
受付嬢をやっているメイがそう声をかけてくる。
どうやら、ラーチスたちはまだ来ていないらしい。
昨日、ジャイ二というここの長らしき人物のもとへ向かった。本日はさらに話を詳しくするため、俺たちにも来て欲しいということになったのだ。
「ーーーお待たせ。早いな、ラクト。」
「さっき来たばっかだよ、ラーチス。」
ラーチスがやってきた。他のものは来ていない。
「他のみんなは?」
七香が聞く。
「皆はすでにジャイ二おじ様のもとへ向かった。さあ、俺たちも行くとしよう。」
ラーチスの案内のもと、俺たち4人はジャイ二のいる場所へ向かうことになった。
ーーーいや、待て。
「なんでメイがいるんだ?」
さりげなく俺たちの輪に入ってきやがった。危うくツッコミを忘れるところだった…
「ん〜?それは〜こういった、ここ『セカイ』に関わりそうなことについてはついていくことにしてるんだよ?」
「えっと、それはどうしてだ?」
よく話の内容が分からなかったのでもう少し詳しく説明してほしいという思いを込めて聞き返す。
「それはね〜、受付嬢の仕事をこなしながら、『セカイ』の重要な記事を役場でみんなに教えているからだよ〜。」
「なるほど。皆に今の状況を知って欲しいから人が集まりやすい役場で広めているということか。」
「そゆこと〜。もちろん、皆に内緒にしてほしいと頼まれたら秘密にしてるよ?」
なるほどな。だから、この話についてきたというわけか。
「ーーついたぞ。ここがウールガンド城だ。」
和風が多いこの『セカイ』において一際目立つ存在…
ーーー洋風建築の建物がそこにはあった。
どうも皆さん生贄さんです。今回でネタが尽きてしまったので、投稿期間が不規則になっていきます。Twitterにて色々報告していきます。では説明です。
ジャイ二・レッド・ウールガンド
560歳。誕生日は1月30日。血液型はAB型。『異能』は不明。『レッドセカイ』で一番偉い存在である。通称、レッドの長。寿命も長くなく、次期の長を決めようとしているところ。通常であればジャイ二の孫娘が次期長になると言われている。




