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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第二十一話 拘束

ーーー目の前には、『イクストセカイ』の支配者の一人、『賢王』が立ちはだかっていた。

幸い、他の人物の姿が見えないため、『賢王』1人だけしかいないだろう。


「…それでも幸いかどうか怪しいけどな。」

俺はそう思いつつ、エルたちにこのことを知らせるために《コンタクト》を使用する。


「…あれ。」

「どうしたの?」

俺は謎の違和感を感じ取る。そして、すぐに血の気が引いていく感覚を味わった。

「…まさか…」


「そのまさかよ。」

俺の呟いた一言を聞き、『賢王』アギは声を上げる。それに反応し、俺たちはアギの方を見た。


「今、貴様は仲間に連絡を取ろうとしているわね?」

それを言われ、息が詰まる。

「そして、それが何故か通じない。」

その言葉を聞き、今度はグリナさんと七香が驚きの表情をする。


「…それは、我がこの空間を魔法で隔離したからにすぎぬよ。」

そう堂々と言い放ったのだ。






「…この、《ダーク・プリズマン》は優秀な魔法よな。そう思わんか?」

アギは笑い声を上げながらこちらを見据えてくる。

…これで、エルたちが自力でここに気づかない限り、1対3の状況は変わらないということだ。

…普通に考えれば3人いるのだから有利だと思うだろうが、

「…こいつ、支配者なだけあって力が強いな。」

人数不利をもろともしない威圧が、アギにはあったのだ。

「…俺たちだけで切り抜けねえと…!」

戦いは避けられない。何とかして、逃げ切りたい。そしてあわよくば倒したいが、

「…ここはまだ無茶する場面じゃねえからな。」

冷静でいなくてはすぐにやられてしまう。

「…ふむ。そっちの女2人には興味はない。失せるが良い。」

そう言うと、アギはこちらに向かって魔法を放出していた。


「っ!!」

「くっ!?」

俺たちはその魔法を左右に回避して避ける。


「…喰らうが良い!《デグリア》!」

「っーーー!」

だが、グリナさんの背後にすでにアギがまわっており、体勢の崩れたグリナさんに再び攻撃が飛んでいく。


「…《ホーリーカーテン》!」

グリナさんは咄嗟に背後に防御魔法を張る。

アギの放つ魔法と相殺し合った。

「…ほう。やるではないか。」

そう言いつつ、余裕の笑みを浮かべる。

「…だが、まだまだ行くわよ!」

アギは距離を取ったグリナさんに接近する。


「…ちょっと、こっちを忘れないでもらえるかしら!」

そんなアギに向かって七香が魔法を放つ。

そしてその魔法は呆気なく、アギに直撃した。

「…あ、当たった?」

七香も、防がれもせず直撃したことに驚きを露わにする。

「…ふっ。」

「っ!!!」

突如、魔法が当たった衝撃で煙が舞い上げ、アギの姿が見えなくなっていたところからアギが七香の目前まで近づいていた。


「…《デグリア》」

「ぐぁぁ!!!」

アギの撃ち放つ魔法が七香を大きく後方へ吹き飛ばした。

「七香!!」

俺は吹き飛ばされ、壁にぶつかった七香の元へ走りよっていく。


「おっと!」

「くっ!?」

だが、目の前にアギが立ちはだかる。

「君は必要な人物なのよ。大人しくしていてもらおうじゃないか。」

そう言い、アギはこちらに魔法を放ってくる。

「《ギールチェーン》」

「ぐっ!!」

地面から伸びてきた鎖によって四肢を拘束されてしまった。

「このっ…!」

どれだけ力を込めても解ける気配がない。かなり強い魔法だ。

「早くこの2人を始末するから、そこで待っていなさい。」

「くっそ!」

何とかして早く拘束を解かなくては。

俺は焦りつつも、冷静でいるように慎重に周りを見ていた。

「…あれ、グリナさんは。」

そして、グリナさんの姿が見当たらないことに気がついた。


「…さてさて、かわい子ちゃん。悪いが好みではないのでね、さっさと始末させてもらう。」

そう言い、アギは片手に魔力を溜めながら七香の元へ歩いていく。

「うっ…くっ。」

七香は壁に体が埋まってしまい、動けないでいた。

「…ばいばい。《プロキシフォン》!」

更に強力な闇魔法を七香に向かって撃ち放った。



「それを待っていたわ!《グラッド》!」



「…!!」

七香に襲いかかる魔法と七香の間に、いきなりグリナさんが現れる。

そして新たな魔法を唱えると、アギが放ったはずの闇魔法がグリナさんに当たる直前に反射し、逆にアギ自身が魔法をくらっていた。






「…一体何が…?」

俺はそうとしか言葉が思いつかなかった。


「ふふっ。なんとか当たったわね。」

グリナさんが息を切らしながら七香の元へ寄っていく。

そして、七香の周りの壁を壊し救出した。

「今のって…」

俺はグリナさんに今のことについて聞いてみた。

「今のは、《グラッド》という魔法よ。相手の魔法を反射するの。」

「そんな魔法まであるのか…うぉっ!?」

俺はまた1つ、魔法について詳しくなったことを噛みしめていると背後から首を掴まれて持ち上げられた。

尚も《ギールチェーン》は繋がったままだ。


「ラクトさん!?」

「絡斗っ!?」


2人は決死にこちらへ接近してくるも、謎の見えない壁により跳ね返される。

「くっ…!」


「ーーーいやはや、危なかった。さすが我の魔法だ。危うく自分にやられるところだったわ。」

俺の首を掴んだまま離さないでいるのは、まともに魔法を受けたはずのアギだった。


「だが、そのおかげで貴様らとこいつを分断することができた。これも日頃の行いのおかげだ。」

そう言って、俺を拘束している《ギールチェーン》の効果を解除した。


「っーー!!《インフェルノ》!」

俺はすぐさまアギに向かって魔法を放つ。

だが、まともに受けているのにもかかわらず無傷であった。

「なっ…!?」

「少し大人しくしてもらおうか。」

「っーーー!?ぐがぁ…!」

「絡斗っ!!」

俺はアギに首を思い切り打たれた。その衝撃で目の前が歪みだし、音も聞きづらくなる。


「がぁ…」

やばい。死にはしないが、これはいわゆる気絶するパターンだ。


「ラクトさん!!」

「絡斗っ!」


「ふはは。貴様らには用はない。残念ながら今回は『核』を壊せなかったが、つぎはこうはいかぬぞ。」


ーーー最後に、3人のやり取りが薄らと聞こえると完全に意識を失った。





〜〜〜〜〜






ーーー音がする。何かが燃えている音だ。目を開けようとするも、何かに塞がれており周りを確認することが出来ない。


…こうなったら誰かいないか声を出してーーー、


「んんっ!!?んっー!」


何かに口まで塞がれていて声を出すこともできなかった。

今、自分が一体どんな状況なのかも分からないし、ついさっきまでの事も曖昧だ。

確か、『賢王』アギに拐われたはずだが…


「んー!!っーー!!」


唸り声を出すも、周りには気配を感じなかった。

そして、手足も拘束されている感覚がある。だが、これは魔法によるものではなく縄などのもので縛られているようだ。

今、周りには人がいないのなら逃げることができるかもしれない。そう思っていると、


「…起きたのですね。」


すると、前から何者かの声が聞こえた。

ーーーしかし、その声はアギのものではなかった。

ましてや、他の支配者の声でもないように感じた。

「…今取るので動かないでください。」

そう言われ、その人物は俺についている目隠し用の布と猿轡(さるぐつわ)のようなものを取り外した。

突然の光に目を細めるが、段々と光に慣れ始め周りが見えるようになった。


一番最初に目に見えたものは、最初から聞こえていた燃えるような音の正体ーーー焚き火だった。


その他に、光となるものはひとつも無く、周りはほんの薄暗く奥まで見渡すことができなかった。

そして、すぐ隣を見ると俺の目隠しの布と猿轡を外した本人ーーー見た目から分かる、「魔族」の女性が立ってこちらを見ていた。


「…どうされました?」

俺がその女性をずっと見ていたことに気づいたのか、こちらに問いかけをしてくる。


「…いや、何でもない。」

今のところ、この付近にこの女性以外がいるような様子はない。

…アギの手下なのだろうか?だが、それならそれですぐにアギを呼ぼうとしないこの女性に違和感を感じている。

そして、もう1つ違和感を感じることがあった。





ーーー今いる場所が、『アルフセカイ』特有の森林の中……なんかではなく、小さな洞穴の中にいることだった。

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