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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第1章 『セカイの構造』
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第四話 ネコ科「獣人族」

「いやぁ、久しぶりに来たなぁー。」

七香が伸びをしながらそう口にする。


ーーー朝早くから、七香とエルと俺の三人で『レッドセカイ』に来た。しかも七香のやつ、待ちきれないとか言い出して昨日は俺の家に泊まっていきやがった。



「ねえねえ、早く行こうよ!」

まったく、元気だな七香は。





俺たち三人は、再び(七香は違うが)ウノさんの家にやってきた。


「おじゃましまーす!」

「いや朝からそんな大声出すなよ。」

ガラッ、と引き戸を開けて中に入る。



「ーーーもう朝から誰よ…ってラクト!!?」

またカナデに驚かれた。

「よう。朝早くから悪いな。」

「いや、それは別にいいけど…ってその人は?」

カナデが七香を指さして俺に聞いてくる。

ーーーそういえば、七香も『レッドセカイ』に来たことはあったが、カナデと会うのはもしかして初めてか?


「あー。紹介するよ。俺と同じ学校に通っている愛条七香だ。」

「何よ、その説明…まぁいいわ。よろしくね。えーっと…」

「こいつはカナデ・トランって言うんだ。」

「そうなのね。よろしくね、カナデちゃん。」

「……」

「あれ?カナデ?」

ずっと無言のまま七香のことを見つめている。

いや、睨みつけてる?なんでだろう…

「よろしくお願いしますナナカさん。私、負けませんから!」

「?」

いきなり意味不明な宣戦布告を言い渡したカナデ。もちろん七香は頭をかしげる。



「ーーーおや。来ておりましたか、ラクト様。」

会話を交わしていると、ウノさんが奥からやってきた。

「…!!ウノさん、今どんな状況ですか!?」

俺はいてもたってもいられなくて質問を投げかける。

「まだ、どんな状況かは聞いておらんが、何も起きていないのをみると問題はないじゃろう。」

「え?何も聞いていないんですか?」

普通ならこういった危機的状況なら一刻もはやく状態を確認しておきたいと思うはずだが…

ーーーマイペースなんだな。

「おや?そちらはナナカ様じゃないですか。久しぶりじゃの。」

「お久しぶりです。ウノさん。」

「え?お爺ちゃん、知り合いなの?」

「そうじゃよ。昔ラクト様と一緒にいたのじゃが。そういえば家には来られなかったために、カナデとは初めて会うのじゃな。」

「あ、はい。そうです。」

昔来た時にウノさんの家にお呼ばれしたが、七香は都合が悪かったことから断ったんだった。

「そうじゃ。せっかく朝から来てくださったんじゃ。カナデ。ラクト様たちと一緒に役場へ行ってきてはくれぬか?」

「役場?」

「あ、うん。いいよお爺ちゃん。それじゃ行こうよラクト♪」

なんか、俺の疑問がスルーされた上に話が進められた気がする。

まぁ、向かう途中でカナデに聞いてみるか。

「ボクはパスするよ。」

ーーーそうエルが言葉を発した。

「あれ?エルちゃんは一緒に行かないの?」

「ああ。調べたいものがあるんだ。ウノよ、ボクも家にいてもいいかい?」

調べたいものーーーそれは昨日のルード、『黒纏壁』についてだろう。

「いいじゃろう。カナデ、三人で行ってくるがよい。」

「はーい♪」

俺たちは役場を目指して、家に上がらずに外へ出ることとなった。






村の中心付近まで歩いてきた。役場とは、村の中心にある建物で、よく能力者たちが出入りする「ギルド」のようなものらしい。

「…一つ、気になることがあるんだけど…」

「なんですか?ナナカさん。」

カナデは誰に対してもフレンドリーに接し、かなり話しやすいのだが…

何故、七香にだけは敬語なのだ?

「なんかここ、獣人というより……猫?みたいな耳とか尻尾が生えている人が多い気がするんだけど。」

ーーー言われてみれば確かにそうだ。獣人とはもっと多種多様な耳の形や長さなどがあり、それこそ個別で変わってくるものなのかと思っていたが。

ここに来るまで出会った獣人たちはほぼ皆が猫のような耳と尻尾をしている。違うのは色や体格くらいだ。

「俺も不思議に思うな。」

「二人とも知らないの?ここは「獣人族」の中でも特にネコ科が住むところなのよ?」

「「ネコ科?」」

俺たちは揃って疑問を口に出す。

「そう、ネコ科よ。「獣人族」とは言っても、さらに細かく分けられてるわ。獣人だけでもそこそこ種類がいるわよ?」

「んー。俺たちで言う、『ニホン』に住む人間とそれ以外の人間みたいなものか?」

「よく分かんないけどそうだと思うよ♪」

俺は実際に会ったことは無いが、『ニホン』に住む俺たちのような人間と少し遠いところに住む人間は違いがあるらしい。


「あ、着いたよ♪」

ここが役場か。

「思ったより豪華ね…」

俺も同感だ。

俺たち三人は役場の中へと入っていく。






ーーー中に入り、すぐ目の前にはカウンターらしきところがある。仕組みは「ギルド」と似たようなものでカウンターから依頼などを受けたりできるらしい。


「ようこそ、カナデちゃん。」

「やっほー、メイちゃん♪」

ーーーメイと呼ばれた人物もまたネコ科「獣人族」だ。

「おや?今日はお客さんがいるのかな?」

「そうだよ〜。メイちゃんとは二人とも初めましてだよね?」

「ああ、そうだな。」

ーーー昔来た時は会ったことないな。

「初めまして〜。私は、ここ役場の受付嬢(うけつけじょう)をやっている、メイ・ランザースだよ。気軽にメイちゃんって呼んでね!」

「さ、さすがにちゃん付けは恥ずかしいからメイって呼ぶよ。俺は絡斗だ。よろしく。」

「私は七香だよ。よろしくね、メイちゃん。」

俺たちは軽くあいさつを交わした。


「ここ『レッドセカイ』を襲ってきた悪者を探しに行った人たちはどうなったの?」

俺が聞く前に、カナデがメイに聞いた。

「マルクたちだね。昨日の夜、役場に戻るっていう連絡があったからそろそろ帰ってくると思うよ。」

「分かったわ。それまでここで待っていようよ?」

そうだな。それが一番いいだろう。

「なあ。悪者を探しているのって全部で何人くらいなんだ?」

「うーんとね、全部で30人くらいかな?それぞれ均等に五箇所を探しに行ってるはず。」

メイは思い出そうとしながらそう答える。

そうなると、一箇所にはだいたい6人ほどか。相手がどのくらいいるか分からないが、6人いればたぶん大丈夫だろう。

「そうか。ありがとう。」

「どういたしまして〜。」

俺は礼を言い、すでに席に座っているカナデたちのもとへ向かった。




ーーーそれから二、三時間くらい俺たちは何気ない会話をしながら待っていた。すると、


ーーバタンッ!!!


勢いよくドアが開けられ複数の男女が切羽詰まった顔でカウンターへ向かっている。


「!!どうしたの!?」

メイが驚きの声を上げる。入ってきたのは20人ほどで、その全員が少なからず傷を負っている。


「!?皆ッー!!?」

カナデも声を荒らげ、入ってきた者たちへ駆け寄る。

「もしかして…探しに行ったっていう人たち!?」

「おそらくな。俺たちも行こう。」


メイの話によると30人ほどと言っていたがこの場には20人ほどしかいない。

ーーーーーーまさかな。


「マ、マルク隊長がーーーー……!!」

一人の男がそう声を出す。

服の背中には「討伐隊」と書かれた文字がある。マルクはその隊長なのだろう。

「どうしたのっ!?と、とりあえずこの中で《ヒール》が使える者は手を貸して!」

メイがそう叫ぶと、役場の中にいた他の者たちも一斉に駆け寄ってきてそれぞれ《ヒール》をかける。

ーーーこの行動一つとってもここ『レッドセカイ』に住む獣人は団結力が高いのだなと思い、それと同時に羨ましいとも思う。

「絡斗も《ヒール》してあげなよ!」

「残念だが、俺は「治癒魔法」全般が使えなくなった。」

「え?」

そういえば七香に刺されたことを言おうとしたが言いそびれてしまっていた。今日こそは言うとしよう。

「今日そのことについて話すよ。とりあえず使えない今、俺は何も出来ない…」

「…」

七香は水属性の適性が低く、《ヒール》を使うのは効率が悪く長続きしない。

ちなみに《ヒール》は光属性と水属性の複合魔法だ。


そうこうしているうちに、ある程度の浅い傷は回復し、深い傷も致命傷を避けるまでは回復した。


「それで、落ち着いて。マルクがどうしたの?」

回復が一段落ついたところでメイが再び聞き直す。

「マ、マルク隊長が…敵に人質として取られました!!」


「えっ!!?」



一人の男が言うには、マルクのグループが向かった所には今回の悪者…襲撃者の親玉らしき存在がいたらしい。そしてマルクのグループ、6人が人質として取られ、それが他の者たちの耳に入ったというところだ。

「他の4人は!?」

カナデが聞く。人質として取られた人数とここにいる人数を足しても26人だ。

「他の4人は念の為に先にマルク隊長が向かったところへ向かっている。見つからないところで身を隠してもらっている。」


ーーーなんだか嫌な予感だな。

「悪いが、今すぐそのマルクがいるところへ連れて行ってくれないか?」

俺はその男にそう言い出す。

「君は?」

「絡斗だ。ここ『レッドセカイ』を救いたいと思っている。お前たちの手助けになりたい。」

「ラクトは昔の「一件」で助けてくれた人だよ!」

カナデがそう補足してくれる。

「!!そうか、それはすまない。こちらこそよろしく頼む。俺はラーチスだ。」

ラーチスは自己紹介をしながら右手を差し出してくる。

「よろしく、ラーチス。」

俺はその右手を力強く握り返した。






ーーーいよいよ『レッドセカイ』襲撃者と対面か。





どうも生贄さんです。毎日夜本文書きをしているので眠いです。それでは説明です。


メイ・ランザース

28歳。誕生日は6月6日。血液型はAB型。『異能』は不明。『レッドセカイ』役場の受付嬢(うけつけじょう)をやっている。橙色でボブカットの髪型。身長は女性の中でも少し高め。


マルク・カルコット

68歳。誕生日は11月30日。血液型はA型。『異能』は不明。『レッドセカイ』では有名な能力者団体「討伐隊」の隊長を務めている。


ラーチス・ゲーテ

44歳。誕生日は7月4日。血液型はA型。『異能』は不明。

「討伐隊」には初期の頃から入隊している。実力もかなり高い。

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