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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十九話 壊れたもの

ーーーロビーにて。俺たちはソファに座り話始めようとした。

「…シェードも聞くのか?」

言い方は悪いが、この場に似合わないシェードも大人しく話を聞こうとしている。

「自分の住む『セカイ』がかかってるんだぞー?流石に無視はできないぞー。」

と、気安く答える。

「そういえばカナデとフランとマキナは?」

この場に居合わせない3人の名前を口に出す。


「ああ、カナデとフランは疲れたみたいで眠っているよ。マキナはその見守りだよ。」

エルが答えてくれる。…こんなときに2人とも呑気な事だ。

「…よし、とりあえず夜も遅いし長く話す必要もないだろう。」

俺はそう仕切り、作戦会議を始めようとした頃、


「…あれ、皆さんどうしたんです?」


そこへやって来たのは黒ヶ崎先生だった。






「…黒ヶ崎先生!どこに居たんですか?」

その姿を見て、幸崎先生が質問をした。

「…色々とあったのでそのことを学校に連絡してたんですよ。この交流会が延長することも伝えておいたので安心してください。」

「そ、そうですか…」

それだけ言い残し、黒ヶ崎先生はこの場を去って自分の部屋へ戻っていく。


「…エル。あいつのことを『異能』で見といてくれ。」

「分かった。…何かあるのかい?」

「ああ、後で話すよ。」

エルの『異能』により、黒ヶ崎先生の行動はほとんど把握できるようになった。敵かどうか分かるのは時間の問題だろう。つまりは、今は気にしなくても良くなった。

「…そうだね。ボクも早めに会議を始める方が良いと思う。」

エルも同意見のため、今追求はしてこなかった。


「…まず、そろそろ一気に攻めてくると思うんです。」

先陣を切って話したのは、フレイヤさんだった。

「流石に、仲間ではないにしても支配者3人が一斉に攻めてくる方が勝率は高いと判断するはずです。」

確かにフレイヤさんの言うことには一理ある。


「…可能性としては、明日か明後日くらいか…」

猶予はないと思って良いだろう。

「…一応、明日はこの館に身を潜めます?」

フレイヤさんが提案をしてくる。

「それも良いですけども…皆を巻き込むのは避けたいですしね。」

そう考えれば、こちらから迎え撃つのが妥当だろう。

「…勝ち目は薄いよね。」

七香が言う。

「…そこが問題だよな。何とかしてここの問題解決をしたいが…戦力が足りない気がする。」

先生2人と、フレイヤさん、グリナさん、麗と結乃、エルとマキナが主戦力となるだろう。


「…絡斗君。明日はこの館で待機にしよう。半分ずつで、クラスメイトの防護と万が一襲ってきた魔族との戦闘で分かれるのはどうだい?」

結乃がそう言ってきた。

「魔族の中でも、支配者と呼ばれるやつらは強い。だが、負けるほどでもないとは思うんだよね。」

「…なるほどな。だったら、戦闘側は誰がやる?」

俺は皆に対して問いかける。


「私がやるよ。」

麗が手を挙げる。

「私ももちろん。」

「…私がやるわ。」


そうして、麗、結乃、南先生、エル、グリナさん、俺が戦闘側となった。


「よし、とりあえず今日は寝て、明日以降に備えるか。」


今日は解散し、各々自分の部屋へと戻っていく。


「…何も無ければ良いけどな。」

俺は甘い期待をして寝ることにした。







…そして、朝となる。


「…少し寝すぎたか。」

時計を見ると8時前を指していた。

「…まだ寝てるのか。」

俺が部屋に戻ってきた時に、フランとカナデは寝ていたのだ。

そして今、俺が起きても未だに寝ていたのだ。マキナとエル、フレイヤさんとシェードもまだ寝ている。

「この時間に起きて1番目か…」

それだけ昨日は大変だったということを実感する。


「…とりあえずロビーにでも行くか。」

昨日の夜、放送で各自館から外に出ることを禁じるということを幸崎先生が話している。部屋の外への移動は可能のため、ロビーに人がいるかもしれないと思ったのだ。



「…あ、絡斗君来たんだね。」

結乃がこちらに気づき声をかけてくる。その他には、竜那と竜佳、七香と麗がいた。他のクラスメイトは自分の部屋に居るだろう。


「…一応、昨日の雄二との事について話してくれない?」

俺が皆の座るソファーに腰掛けると、七香が隣からそう質問してきた。

「ああ、そうだな。」


俺は麗が来る前までのことを皆に話した。


「…嘘っ!?小黒って永代の能力者なのに、『ブラックリスト』だったなんて…」

結乃だけでなく、七香たちも驚いている。


「…それでも、『ブラックリスト』の中でも下っ端だろうな。」

俺は掌也と戦った時の感覚を思い出しながらそう言う。

「…それで、ボクに黒ヶ崎を監視するよう言ったのは?」

と、俺の部屋の方からエルが歩いてきた。

「起きたか。」

「ああ。少し眠りすぎたみたいだね。」

「エルに黒ヶ崎先生を監視ってどういうこと?」

七香が聞いてくる。


「…あの先生も『ブラックリスト』の可能性があるからだ。」


それを聞いて、皆さっきよりも大きく驚いた。

「ど、どういうこと?」

「確証はないが、掌也とアイコンタクトを取っていた気がする。それに、それ以外にも不思議な行動が多い。」

肝心な時にはいつも姿が見当たらず、俺たち生徒を置いて先に帰るような行動をしている。


「…なるほど。念の為って訳か。」

「そういう事だ。」

俺はそう答える。


「…絡斗って朝食取った?」

「…いや、取ってないが。」

「早く食べてきちゃいなよ。朝は各自で食堂に行くって言ってたでしょ。」

「あーそうだな。」

「ならボクも行くとしよう。」

竜那に言われ、俺とエルは朝食を取りに食堂へと向かっていった。






「…まだ寝てるのか。」

俺とエルは朝食を取り終えたあと、一度部屋へと戻ってきた。

「…本当だね。」

俺とエルは未だに寝ているカナデとフランを見てそう感想をこぼす。

フレイヤさんとマキナはすでに目を覚ましていた。

「あ、ラクトさん。おはようございます。」

「おはようございます。」

「どこへ行っていたのです?」

「朝食ですよ。フレイヤさんとマキナも早めに行った方が良いですよ。」

「そうですね。…マキナさん一緒に行きましょう。」

「…分かった。」

フレイヤさんとマキナは食堂へ行くためにこの部屋を出ていった。


「…ロビーに行くかい?」

「そうだな。まだ皆もいるかもだし。」

「…私が見といてやるのだ。」

シェードを眺めていると、察してくれたのか自分から言ってきた。

「おお、それは助かるな。それじゃ。」

俺とエルは、再びロビーへと向かっていった。






ロビーで数十分過ごした。その間、みんなが皆、話していたり本を読んでいたりと自由にしていた。


「…なんで部屋に戻らないんだろうか。」

部屋にいるときと同じじゃないかと俺は思った。

特に作戦会議もする必要がないにも関わらず、ロビーから動こうとしない。

…そう思っていた時だ。


バキッ……!!!


「っ!?」

「何っ!!?」


まるで『セカイ』が、ガラスが砕けるように…ヒビの入る音がこの『セカイ』に響き渡った。


「何っ!?今の超大きな音は!?」

どうやら俺だけに聞こえた幻聴ではなかったようで、この場の全員がはっきりと聞こえていた。


「…これはまずい…!」

一人、今の音について心当たりがありそうな表情をしている人物がいる。


「結乃!今のは何だ!?」

俺はその本人に今のことについて聞く。

「…この『セカイ』でも同じかどうか分からないけど、今の音は……この『セカイ』の『核』が壊れた音だ。」


「なっーー!?」

俺たちは衝撃の言葉を聞き、驚きを隠せない。


「…『核』が壊れた音…?」

七香も驚いている。

俺たちは一度聞いたことはあった。だが、目の前だったのと、敵に対して感情が高まっていたためよく音を聞いていなかったのだろう。


「…まずい、恐らく支配者たちの仕業だな!」

「私たちの前に、『セカイ』を滅ぼそうとするとは…そこまで考えが及ばなかった…!」

この状況を予測していなかったのは失態だ。

こうなってしまうと、館で襲ってくるまで待機という考えが取れなくなる。


「…皆さん!」

と、食堂から走ってやって来たのはフレイヤさんとマキナだった。


「フレイヤさん!」

「今の音…『核』が破壊されましたっ…!」

結乃の言う通りだった。

「くそっ…残りの場所も見つけられているとやばいぞ。」

俺はなんとか阻止できないか必死に考える。


「私は…全ての『核』の位置を知っています!ですので、その一箇所を守りに行けば何とかなるかと!」

「それは有難いです!早速どこにあるか案内を…」

「案内は私がします。」

そこへグリナさんもやって来る。

「敵の狙いはあくまで妖精姫ですし、館で待機させる方が安全です。」

「…確かにそうですね。それと、全員で行くのもここが守れなくなる。」

つまり誰か数人が行かないといけなくなる。


「俺が行く!」

俺はそう言った。

「私たちも!」

そこへ竜那と竜佳もやってきた。

「私も行くわ。」

「ボクも行こう。」

そして、七香とエルも言いながらやって来る。


「なら、私はここで待機しておくよ。」

「…私は…」

結乃は待機することに決め、麗は悩んでいた。


「麗はここで待機して、皆を守ってくれ。」

俺は麗にそう言った。

「…わ、分かった。…気をつけてよね、絡斗。」

と、らしくない言葉を言ってきた。


「…それでは行きましょう!」

グリナさんに言われ、俺たち5人は後に続いて館を出ていった。



「…くれぐれも死なないでくださいね。」

フレイヤさんは俺たちの身を案じてくれていた。

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