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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十八話 決戦前夜

ーーー加我は俺たちを守るように、サーガの前に立ちはだかる。


「…どうしてここが分かったんだ?」

助けに来てくれたことは感謝している。が、よくここが分かったものだ。


「…あんたが館を出ていく前に、魔法で痕跡を残しておいたのよ。」

「…痕跡?」

「そう。どこに行ったか分かるようになるやつね。」

と、加我は説明してくれる。

「…少し館の方で応戦していたけれど、グリナさんがこっちの心配をしてたから。…だから仕方なく来たのよ。」


「…そうか。ありがとな。」

「べ、別に大したものではないわ。…それより、」

加我はサーガを見てため息を吐く。

「…あれ、ガウエル並に強いよ。」

「なっ!?」

俺は驚きを隠せない。…ガウエルは『帝の王』という、支配者の一人だ。妻とはいえ、それと同等の力を有しているとは。


「…一人増えたところで変わらないわ?…さっさとやられな!」

サーガはこちらに向かって突撃してくる。

「くっ…」

「やるしかないね。」

俺と雄二は構えて迎え撃とうとする。


「日向君は私の合図で魔法を放って。…もう一人は後ろに下がっていて。」

と、加我は俺たちに指示を送る。

「…っ!…おい、それは…」

雄二は足でまといと言っているのと同じだ。

折角連れ戻したのに、また敵対されたら…

「大丈夫だよ、絡斗君。僕は今の実力をしっかりと把握したからね。…流石にあれには勝てないよ。」

と、俺の心配を気にせずに雄二はやさしく答える。


「…頑張って。」

「ああ。」

雄二は俺を鼓舞すると、加我に言われたように後ろにある大木付近まで下がっていく。


「…日向君。一番強い魔法を準備して。」

「分かった。」

俺は加我に言われたように、魔力を溜める。


「…そうはさせないわっ!」

サーガが俺の様子を見て、阻止しようと接近してくる。


「…《アイアンウォール》!」

「ちっ…!」

進路を変え、俺に向かってきたサーガを止めるように加我は魔法を放つ。


「…《ルクステリア》!」

光の放射がサーガを襲う。

「…《アイアンウォール》!!」

サーガも防御魔法を放ち、それを防ぐーーー…


「…なっ…ぐぁ!?」


ことはできずに、加我の魔法が貫通していく。

「…ど…どういうことだ…?」

サーガは貫かれた胸を抑え、加我を睨みつける。


「…もっと魔法を見ることね。」

加我は誇らしげにサーガを見下ろす。

「…なに…?」


「今の魔法には、《イート》の魔法が付与されてたのよ?それくらい気づかないとね。」

「…っ!?…おのれ…」

《イート》とは、「除去魔法」の一つで、触れた魔法がこの魔法より弱ければ打ち消すと言う魔法だ。

つまり、


「…加我の魔法は、サーガよりも強いってことか…」


そして、今の魔法によりサーガにはかなりの重傷を与えている。

だが、もたもたしていればすぐに回復されてしまうだろう。それを分かっている加我の行動は…


「…くっ!?」

サーガの四肢に、地面から創られた鎖が巻き付かれている。《ギールチェーン》の魔法だ。


「…悪いけど、あなたには退散してもらうわ。」

加我は更に魔法の詠唱をする。


「…《ランクダウン》!」

加我が聞いたこともない魔法を放つと、突然サーガの体に異変が起きる。


「…がぁぁ!?な、なんだ…力が……」

サーガは悶えながら、地面に倒れ込んだ。


「な、なんだ…?」

「この魔法は対象者のあらゆる力を抑制して、弱らせる魔法よ。」

と、加我は丁寧に説明してくる。

…加我の実力は本物なんだと改めて認識した。


「さあ、今よ。魔法を放って。」

加我に言われ、俺は全力に近い魔法を打ち放つ。


「…《ヘルフレイムメテオ》!!」


「…ぉぉ。」


「…ぐぁぁぁぁああ!!!!?」

サーガは俺の放つ火属性究極魔法の一つである、《ヘルフレイムメテオ》を受け、地面ごと大爆発した。






ーーー魔法が終わると、その場には何も残らず、抉れた地面があるだけだった。

もちろん、サーガの姿は見当たらない。


「…おそらく吹き飛ばされたか、消滅したかね。」

加我はそう言いながら俺の元にやってくる。


「…その、思ってたより強くて驚いたわ。」

と、加我が俺に言ってくる。

「…そうか?まあ、火属性に関しては中々扱えるからな。」


「…そうなのね。」

「どうしたんだ?さっきから。…まあいいや。雄二、大丈夫か?」

俺は少し様子のおかしい加我から目を離し、雄二に声をかける。


「うん。…流石は絡斗君だね。びっくりだよ。」

そう言いながら雄二が近づいてくる。

「それじゃあ、館に戻ろうか。」

「そうだな。…ん?」

雄二が先に行き、それについていこうとすると加我が考え事をしていた。


「どうした、加我?置いてくぞ?」

そう言うと、何か気づいたようにこちらを見てくる。


「あっ、うん。…(れい)で良いわ。」

「え?」

「だから、私のこと名前呼びで良いわ。少しは見直したから。」

たった一発、究極魔法を放った程度で見直されるとは。



「…私は呼び方には厳しいからね。覚悟してね、絡斗。」

そう言って、加我…いや、麗は雄二の後を追うように館へと向かって走っていった。







…そして、館にたどり着いた俺たち。

「…グリナさん!」

「っ!ラクトさん!」

俺はグリナさんの近くへ向かっていく。

「どうなりました?」

「安心して。皆、頑張ったおかげで倒すまではいかなかったけど、追い返すことはできたわ。」

と、グリナさんは言う。確かに、周りを見るとクラスメイトたちは皆疲れきった顔をしている。

そして、魔族たちも居なくなっていた。


「だけどね、今状況は悪化しているの。」

「どういうことです?」

「それを説明するために、一度皆にはロビーに集まって欲しいの。」

「…分かりました。」

そう言われ、俺たちはロビーへ向かっていく。

クラスメイトたちも、先生の指示で館の中へと入っていく。



そして、ロビーで待っていたのはフレイヤさんだった。

皆が集まり静かになってから、フレイヤさんが切り出した。


「皆さん初めまして。気づいている方も多いかも知れませんが、私はここ『アルフセカイ』の『妖精姫』フレイヤです。」

改めて自己紹介をすると、クラスメイトたちは俺たちを除き全員驚いている。…そして、幸崎先生と南先生までもが驚いていた。

「うえっ!?まじか、あれが一番偉い人?」

「なんだよ、超美人じゃん!」

男子たちがやけにうるさい。


「…それで、実は皆さんをこちらの問題に巻き込んでしまったのです。まずはそれを謝りたくて。」

と、フレイヤさんが言うと、皆は静まり返った。


「…皆さんにはしばらくの間、この館にいてほしいのです。」

そう前置きをして、説明をしてくれる。


内容としては、この『アルフセカイ』は『イクストセカイ』の支配者に襲われている。そして、その目的はフレイヤさんらしい。それでいて、襲ってきた魔族たちは、フレイヤさんたちと一緒にいた俺たち人間のことも標的にしたという。


それを聞き、クラスメイトたちは驚き、騒ぎ始めるが先生がなんとか抑え込む。


「…安心してください。絶対に皆さんに危害は加えさせません。」

フレイヤさんがそう言い、幸崎先生がクラスメイトの皆を自分の部屋に戻り今日は待機するようにと指示を出した。

すぐさま皆は部屋へと戻っていく。


だが、俺と七香、竜那と竜佳、結乃と雄二はロビーに残った。もちろん、クラスに関係の無い麗も残っている。

「お前たち…」

幸崎先生が俺たちを見て驚くが、すぐに平常に戻る。


「お前たちは戦力と数えていいのだな?」

「もちろんです。」

俺は答える。


「…フレイヤさん、まずは現状把握がしたいのですけど。」

俺がなんの躊躇もなく『妖精姫』に近づくと幸崎先生と南先生は驚いた顔をする。

「なっ…!?ばかっ、その方は…」

「大丈夫です。実は…」

と、フレイヤさんが俺の家に居候していることを話した。

もちろんそれを聞いて2人は呆然としている。


「そ、そうなの…ですか…」

思考が追いついていないようだ。

「それで、今は…」

「今は問題ないです。『帝の王』もそれなりに負傷しましたから暫くは攻めてこないでしょう。」

「そうなると、あと一人の支配者が気になりますね。」

「ええ。今日はもう来ないと思いますが、明日はまだ分からないです。すみません、予定よりも長くこの『セカイ』に停めさせて。」

フレイヤさんが謝ると幸崎先生は、


「い、いえ気にしないでください。むしろ、強化する日数が増えてこちらも有難いです。」

「そうですか、それなら良かったです。」


とりあえず、今日はもう何も起こらないだろう。

明日からに備えて少し、会議をしておくか。


「…明日に備えて、少し会議をしましょう。」

「良いわ。」

「良いわよ。」

俺がそう言うと、次々に七香たちが賛同してくる。


「分かりました。」

そして、グリナさんとフレイヤさんも。

「麗も一緒に参加してくれ。」

「…分かったわ。」

そう言うと、七香たちが少し驚くが、話を止めることはなかった。


「先生2人はどうしますか?」

俺が聞くと、

「私たちも参加するわ。」

「ええ。」

「私も参加するぞー。」

と、そう言い、即席だが13人による会議が始まった。

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