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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十五話 クラスメイトの初戦闘

ーーー生徒は皆怯えてその身を丸くしている。

そんな生徒たちの前には、グリナさん、幸崎先生、南先生が守るように立っている。


「ーーーあいつはいないのか。」

黒ヶ崎先生…怪しいな。あとでエルに監視させとこう。


「…さてと、殺るぞ!お前ら!」

ガウエルの声に、後ろにいる配下たちが大きく反応を示す。

「皆さん!早く、館の中に隠れてください!」

幸崎先生が俺たちにそう言うと、

「そいつは遅かったな!」

すでに館側には10の配下が立ち塞がっていた。


「くっ…!」

「さあ、誰から犠牲になるよ?」

ガウエルは深い笑みを浮かべる。

「…絡斗君。雄二がいないぞ。」

「何っ!?」

確かに周りを確認するも雄二の姿は見当たらない。

「あと、掌也もいないわ。」

竜那がそう伝えにくる。


「…黒ヶ崎先生もいない。3人は何か関係がある?」

竜佳は冷静にそう判断する。

「今はまだ分からないな。とりあえず、前からくる配下たちとは先生2人とグリナさんが交戦している。しばらくは大丈夫だろう。」

だが、さすがに人数差があり互角と言ったところか。


「…結乃は俺と一緒に後ろのやつらを倒すぞ。」

「分かった。」

これ以上は力を隠す必要もないだろうからな。

「竜那と竜佳はクラスの皆に自信を持つように呼びかけてくれないか?」


「…実戦をさせるってこと?」

「そうだ。ただ、危険なことはしないように注意はしてな。」

「分かった。」

竜那と竜佳の返事を聞き、俺と結乃は館の入口の方へ近づいていく。

もちろん、他のクラスメイトたちは俺たちに視線を集める。

「お、おい。絡斗?お前、何してんだ…」

クラスメイトからは不思議に思うだろう。

幸崎先生と南先生も一瞬こちらを見るが、すでに俺の実力は知っている。そのため、クラスメイトよりかは動揺が少ない。


「なんだ、こいつら。けっ、俺が倒してやるぜ。」

と、一人の魔族が近づいてきた。

「…なるほど。先生たちと戦っている魔族の方が強いようだ。」

「なに?」

結乃がそう口にする。

「確かにそうみたいだ。生徒だからと少し油断をしていたのか。」


「てめえら!!」

俺たちの会話を聞き、激怒した魔族がその爪を振りかざしてくる。


「…《インフェルノ》」

「なっ!?…ぐ、がぁああ!!!」

魔族は俺の火属性魔法を正面からまともにくらい、燃えながらその場に倒れ込んだ。

その様子を見て驚いているのは、魔族たちだけでなくクラスメイトもだ。

「…まじかよ。」

「絡斗って、強かったのか…?」

俺を見てほとんどが目を見開いている。


「くそっ、このガキが!!」

他の魔族が2人同時に襲いかかってくる。だが、

「《エアストーム》!」

「ぐはぁぁ!!?」

「がぁぁあ!!?」

結乃が2人同時に吹き飛ばす。


「…黒瀬って…あの、大人しい子が…」

「……」


クラス皆の疑問が膨らんでくる頃だろう。

と、良いタイミングで竜那と竜佳がクラスの皆に声をかける。

「皆、今まで何をしてきたのよ?同じクラスメイトなんだからこのくらいできるでしょ!?」

竜那の声に、クラスメイトたちは少し驚いた表情をする。

「今こそ実戦を試すときだと思う。自信を持って。」

そして、竜佳の声で皆の表情が落ち着きを取り戻す。


「そ、そうだ…俺たちだって戦うためにこのクラスに来たんだ!」

一人の男…河井(かわい)光輝(こうき)が先陣を切った。

「そ、そうね!私たちだってやれるんだから!」

それからはクラス皆が勢いをつけて、館の入口側にいる残り8人の魔族に向かってその力を行使した。







「…おいおいまじかよ。ガキのわりにはやるじゃねえか。」

戦闘には関与せず、後ろから傍観していたガウエルがそう感想をこぼす。

クラスの皆がそれぞれ殻を破り、力をフルに活用していることで次々と魔族がやられていく。そして、

「…くらえ!《アクアシュート》!」

「ぐぁぁぁああ!!!」

柚木(ゆのき)の水魔法により、最後の魔族が倒れた。


「お、俺たち…やったのか?」

「うぉぉーー!!」

「やったー!」

クラスメイトの激しい雄叫びを横目に、俺は館のドアを開ける。

「…七香!」

「あ、絡斗!」

中へ入ると、そこには七香とフレイヤさんたちがいた。

「…支配者の一人が来ているんだね?」

「ああ。だが、エルとカナデとフランは出ない方がいいな。」

「妖精族」とは親密な関係にはなれたとは思うが、それ以外の種族とはまだ会っていないからな。

「そうだな。」

「…七香とフレイヤさんは外に出て、結乃たちと合流してくれ。」

「結乃ちゃんは?」

「先生たちと共闘している。…支配者の一人はかなり強いと思う。気をつけて欲しい。」

「肝に銘じておきます。…ラクトさんはどうするんです?」

「俺は、この場にいない3人を探しにいきます。…少し、妙な気がするんだ。」

「分かった。ラクトも気をつけてくれ。」

「ああ。」

そうして、俺はこの場を後にして雄二たちを探しにいった。






〜〜〜〜〜






「…さてと、ここまで来れば大丈夫だろ。」

「…掌也君。僕は…」

「最後まで言わなくていい。強くなりたいんだろ?だったら、俺たちの仲間に入ればいい。」

「仲間って…掌也君は一体なんなんだい?」

「…俺は『ブラックリスト』の一人だ。」

「…『ブラックリスト』?」


だいぶ、森の中を進んでいくと、僅かにだが話し声が聞こえる。

「…ここら辺でと。」

近くの木の上に止まり、様子を伺う。


「…『ブラックリスト』ってのは正式には認められていない裏の能力者組織の事だ。」

この声は、掌也か?それに、『ブラックリスト』の話…

「…そこに入れば、強くなれるんだね?」

「もちろんさ。『WFPWA(ワフプァー)』なんかよりも強くなれる。」


「…分かった。」

雄二が掌也の手を取ろうとしている。

流石にこれは止めなくてはいけない。

…優奈さんに頼まれているんだ。

ーーー雄二の事は頼んだ、と。


黒ヶ崎先生がいないことは気になるが、今は目の前に集中しなくては。


「…さあ、雄二。俺と一緒に行こうじゃないか。もうこの学校にいる意味も無くなる。」

「…そうだね…」

「これで契約成立だーーー…っ!?」

唐突に空から落ちてくる魔法に反応し、掌也と雄二はお互いにその場を離れる。


「ちっ…追ってかよ…って…は?」

掌也はさっきの魔族だろうと思い、俺の方を見て、そして驚いている。


「……絡斗君…」

雄二も俺の事を見て少なからず驚きを露わにしている。


「なんだよお前。どうしてここにいるんだよ。」

「雄二は大切な親友だ。…『ブラックリスト』に入れさせる訳にはいかない。」

それを聞き、掌也は反応をする。

「…聞いていたのか。だったら尚更、クラスには戻れねえ。…今お前を倒さなきゃな!」

掌也は俺に接近してくる。

雄二は戦うつもりがないのか、俺たちのことを傍観している。

…俺的にはそっちの方が助かるな。


「…《インフェルノ》!」

掌也は先手必勝とばかりに、魔法を連発してきた。

「《アイアンウォール》!」

俺はその魔法をしっかりと防ぐ。

ブラックリストの人物と言うことは、この学校の生徒として扱う必要はないな。

「…《マグマストーム》!」

「ぐっ…!?」

広範囲に渡って、熱風が巻き起こる。掌也はそれに巻き込まれて、大きくその身を飛ばされる。


「がっ…!」

木に体を打ちつけて、勢いが止まった。


「……これが…絡斗君の本気…」

雄二は今の戦いを見て、何を思っているだろうか。

間違いなく、あのとき雄二と戦った俺は手を抜いていたことが分かっただろう。


「…お前…永代の能力者じゃねえのかよ…」

掌也は身を起こし、ボロボロになりながら俺に問いかけてくる。

「そうだ。…どうする?続けるのか?」

「…お前たち、何をしている。」

すると、そこへ黒ヶ崎先生がやって来た。

「……」

「ちっ、覚えとけよ、日向絡斗。」

掌也は逃げるようにこの場を去っていった。

ーーーだが、掌也と黒ヶ崎先生が何らかのアイコンタクトを取ったのを俺は見逃さなかった。






「…無事か?」

「なんとか。掌也は…」

「『ブラックリスト』の一人だったみたいだ。学校は退学となるな。」

と、落ち着いて先生は判断する。

「お前らも気をつけて戻ってこいよ。」

何故か俺たちとは一緒に戻ろうとせず、一人先に戻っていった。

何しにやって来たのか。…タイミングが不自然すぎる。


「まぁ、いくら考えても今は分からないか。」

そして、俺は雄二に視線を向ける。


「…正気に戻ったか?」

俺は雄二に話しかけるが、返事をしない。


そして、数分が経つと雄二は立ち上がってこちらを見据えてくる。



「ーーー絡斗君。もう一度、僕と戦ってくれないか?」

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