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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十四話 予想外の出来事

「ーーーあなたのことについて。」

「…。」

「少し話をしない?」


加我は含みのある言い方をしてきた。

俺はその話と言うのが気になり、加我の近くへと引き返していく。

「……」

「?どうしたの?早く座りなよ。」

と、加我は自分の隣のスペースを叩いて言ってくる。

「良いのか?隣に座って。」

さっきまで何故か毛嫌いされてたからな。少し躊躇ってしまう。


「え?…あ、別に構わないわ。」

そう言ってきたので、俺は加我の隣に腰掛けた。




「…俺の話ってなんだ?会って間もないのに。」

「…私の師匠が言っていたことを思い出したのよ。」

「師匠…確か、メイさん?」

「そうよ。」

とは言われても、俺はメイさんと会ったことがないため何のことだか予想もつかない。


「あなたの苗字って…日向(ひなた)だよね?」

「…そうだけど。」

「師匠が持ってる本にね、あなたと同じ苗字の人物が登場するのよ。」

「え?それって単なる偶然じゃ…」

「私は今まで日向っていう苗字の人と会ったことはないわ。」

俺はそれを言われて、一つ気づいたことがある。

確かに原理は分からないが、俺と同じ苗字を名乗っている人物は家族以外に見たことがない。

たまたま会わないだけだろうとも思えるが、

「…俺と関係があるかもってことか?」

「うん。その本は実話が記されているから、架空人物というわけでも無いからね。」


「…なんでお前の師匠が持っている本にそんなことが?」

「どうやら、師匠の前の五豪(ごごう)から渡されたみたいなの。」

つまり長年に渡って受け継がれてきた本ということか。

…「五豪(ごごう)」については詳しく分からないが、自分の弟子などを次の「五豪(ごごう)」とする場合が多いらしい。


「私の師匠を見たことないかもだけれど、あれでもまだ29歳なのよ。」

「…29…だと?」

普通、「五豪(ごごう)」になるような人物は、長年その実力を披露し『セカイ』が認めなければなれないものだ。

「それが、たったの29で!?」

「そうよ。…私の師匠もありえないくらい天才なのよ。」

「なるほどな…」

天才どころでは済まないようにも思えるが。

「それで、その師匠ですらこの本の内容を解読するのができていないの。」

「…え?解読?」

なぜ、上の代から受け継がれてきた本を解読する必要があるのだろうか。


「…その本はね、現代語じゃないのよ。」

「え?」

現代語と言うのは約3000年前、アランの崩壊が起きた後にこの世で使われていた文字だ。つまり、漢字とかそういったものになる。

「…その本は、古代語で書かれているものよ。」

「…!?」

古代語は、現代語とは逆にアランの崩壊前に使われていた文字だと言われている。


「…古代語で?じゃあ、これを書いたのは…」

「おそらくここに出てくる「日向(ひなた)影史(かげふみ)」と呼ばれる人物本人が書いたものだと予想してるの。」






「…日向、影史?」

「知らない?」

「聞いたことは、無いな。」

そんな人物は初耳だ。

「なんでも驚くことに、この人物、今も生きているという噂よ。」

「…は?」

約3000年前から今まで生きているというのか?

「…そいつ人間なの?」

「…言い方が悪かったわ。どうやら、転生を繰り返しているみたいなの。」

「それはどこ情報?」

「私の師匠の師匠情報よ。」


加我が言うには、受け継がれてきた本の古代語を解読し、その本に現代語で綴ってから次へと受け継がせるみたいだ。

それを繰り返しているらしく、加我の師匠のメイさんに渡ったとき、転生を繰り返していると言うのが記されていたという。

「…あなたと血が繋がっているかもと思って聞いたのだけど…」

「生憎、俺も知らないな。」

「そう。」

それを聞き、満足したのか加我は立ち上がろうとする。


「ちなみに、その本の内容を聞くことは?」

「…今は言えないわ。持ち主はメイ師匠だから。今度、紹介するからその時に聞いてよ。」

「分かった。」

これで話は終わりだと悟り、加我は俺から意識を背ける。

「…ありがとな。」

「…え?」

加我は再び俺の方を見る。

「ありがとうってどういうこと?」

「…興味が無いなら構わないが、少し話したいことがある。」

それを聞くと、加我は一度時計を見る。

まだ朝の6時を少し過ぎたあたりだ。


「…良いわ。何の話?」

加我は聞く気になったのか、一度立ち上がった椅子に座り直した。


「…実は、俺の父親のことなんだけど…」







「…父親?」

加我は聞き返してくる。

「どうして、父親の話になるの?」

「俺の父は、一度も会ったことがないんだ。そして、顔も名前も知らない。」

それを聞いて、少し驚いたとばかりに俺の顔を見る。

だが、加我は黙って俺の話に耳を傾けている。

「…それでだな、俺の父親探しも色々と落ち着いたらやろうと考えていることなんだ。」

「…自分の父親なのに、後回しなのね。」

「今は、それよりも重要なことがあるからな。…それと、加我は『剣神』を知っているか?」

「うん。アランを追いつめた史上最強の人族でしょ?」

「…加我はアランが悪いやつだと知っているのか。」

「本に記されていたからね。私は、他種族を敵とは思ってないわ。…日向君たちも同じようね。」

「ああ。」

少し、話が逸れてしまったが良いことが聞けたな。

加我がアランが敵だと知っているなら、師匠のメイさんも知っているはず。

アランがマキナの『異能』を使い、この世の全ての生き物に対して、本来の敵が誰なのかを隠蔽している。

メイさんと協力してマキナの力を使わずに、まずは人族の考えをあらためさせないといけないな。


「…それでだな、お前も薄らと考えたかもしれないが、その本ってもしかしたら『剣神』のことが書かれているんじゃないのか?」

それを聞き、加我は僅かに反応する。

「…良く詳しく聞かずにそう思ったね。」

「…『剣神』のことはマキナからすでに聞いているからな。」


「…その通りよ。本の内容は「『剣神』カゲフミ」について書かれているわ。」

「…剣神カゲフミか。」

「つまり、あなたの父親がこの剣神カゲフミかもしれないって思ったの?」

「可能性はあると思う。」


「…それで私にこの話をした理由は?」

加我は考えるように俺に問いかけてくる。

「…父親探し…いや、剣神探しを手伝ってほしい。…世界を救うために。」

俺は強い志で加我に答える。

しばらく考え込んだ後、


「…ここの問題解決が終わったら、考えないこともないわ。」

「…分かった。それじゃあ、俺はもう行く。」

と、俺は自分の部屋へと戻っていく。

前向きに思ってくれて一安心だ。









ーーーそして、部屋へと戻ってくると流石にカナデたちも落ち着いていた。

「お、おかえり。」

「ああ。流石に2人とも起きたんですね。」

「はい。」

「とは言っても、まだ朝早いけどね。」

すでに布団は片付けられている。

「…これからの予定は?」

カナデが聞いてくる。

「確か、午前中は最後の交流をして終わりだな。午後は帰ることになるから、5時くらいには家に着くと思う。」

「ならば、そのくらいにカナデにRineしてくれ。」

「分かった。」

朝の集合時間まで、他愛のない話や俺の学校生活などの話で時間を潰した。



朝の集合時間となり、フレイヤさんたちはしばらく俺の部屋にいてもらい、交流会のために俺たちが館から出てから行動してもらうようにした。

「…やっと最終日ね。」

七香は伸びをしながらそう言ってくる。

「はーい。皆さん、疲れているとは思いますが、最後まで気合いを入れてってくださいね!」

と、グリナさんが挨拶をしてから昨日と同じ交流会をする場所に向かおうと、館を出てーーー……


「…ここに『妖精姫』がいるみたいだな?」

外には謎の人物が仁王立ちして待ち構えていた。



「あ、あなたは誰です!?」

生徒たちの前へ行き、幸崎先生は謎の人物に声をかける。


「俺は、『帝の王』ガウエル・ヴェインだ。」

と、その謎の人物…魔族は高らかに宣言した。


…魔族、しかもこれは、

「…フレイヤさんたちを襲った過激派の支配者かな。」

「おそらくな。」

「今って結構まずくない?クラスの皆もいるし…」

竜那の言う通り、これはだいぶまずい状況だな。

ガウエルと名乗った魔族の後ろには、30程の魔族がいる。

間違いなくガウエルの配下だろう。

それにしても、

「《ブラインド》を掻い潜ってここを当てるとは…」

しかも、生徒たちがいる前で接触することになるとは予想外の出来事だ。


「…これは、私たちも力を隠している場合じゃないわね。」

「そうだな…とりあえず、フレイヤさんたちにこの事を伝えてきてくれ。」

「…私が行ってくるわ。」

七香が俺の部屋へと向かっていく。



「ずいぶんと、人が多いじゃねえか。こいつは運がいい。」

と、ガウエルは腰に下げていた鞘から、禍々しい大剣を取り出した。




「ーーーさてと、殺戮のお時間だぜ。」

日向(ひなた)影史(かげふみ)

年齢は不明。誕生日不明、血液型不明。『異能』は不明。

正体は約3000年前にアランをあと一歩まで追いつめた『剣神(けんしん)』カゲフミ。「転生」を繰り返して今も生きているという。絡斗と血が繋がっているかは不明。


ガウエル・ヴェイン

???歳。誕生日不明、血液型不明。『異能』は不明。

魔族で、『イクストセカイ』の支配者の一人、『帝の王』。

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