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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十三話 五豪の弟子

ーーー大きな音を立てて、ドアを開けたのは一人の少女であった。

「『妖精姫』はここですかっ!?」

「えっ!?ど、どなた!?」

ドア付近にいた七香は驚いて尻もちをついた。

「ご、ごめんなさいっ!?」

何故かそれに驚いてドアに立っていた少女も尻もちをつく。


「…え、えっと…『妖精姫』は私ですけど…」

フレイヤさんが謎の少女に返事をする。

「…あなたがっ!?…あれ?グリナさんもいるんですか。」

と、少女はグリナさんを見てそう答える。

「…グリナさん、あの少女と知り合いですか?」

「やっと来てくれたのね!?」

グリナさんは立ち上がり、少女の手を取ってぶんぶんと振っている。

「実は、私が助けを求めていたんですよ。」



ーーーフレイヤさんとグリナさんは、襲われたときお互いに人族の『セカイ』にやってきたらしい。フレイヤさんは俺たちの元に辿り着き、グリナさんは目の前にいる少女の所に辿り着いたみたいだ。

その少女も俺たちと同じようにフレイヤさんたちの声に耳を傾けたらしい。


「…名前は?」

「私のこと知らないのですか?」

何故か上から目線だな。

「悪いが他人のことはあまり知らないからな。」

「…もしかして、レイさん?」

と、七香はその少女の顔をまじまじと見て口に出す。

「…あなたは何年生?」

「え?私は2年生だけど…」

「ならばさん付けじゃなくて良いわよ。同い年だし。」

と、レイと呼ばれた少女は七香だけでなく俺たちにも聞かせるように周りを見て言った。


「やっぱりレイさん…じゃなくて、レイちゃんなのね!」

「ちょ、近いって!?」

七香はグイグイと迫っていき、少女は少し困惑している。

「…誰?」

「え、知らない?」

竜那にも言われるが全く知らない子だ。

というより、竜佳も結乃も知っている様子。

「人族の間では有名な子よ?」

「だから知らないって。」


「…本当にあなた、私のこと知らないのね?」

他の人族は知っているのに何故お前だけ知らないんだ?というような顔をしてくる。

「…仕方ないわね。私は、「五豪(ごごう)」の一人、「永劫の魔女」の異名を持つメイさんの一番弟子、加我(かが)(れい)よ。覚えておきなさい。」

と、俺に向かってそう名乗った。







加我麗は、「永代の能力者」の一人で、唯一「五豪(ごごう)」の弟子のため有名な人物らしい。また、俺たちと同じ年齢でその実力が認められており、他の魔法使い者たちを圧倒していることから妬まれることも多いという。

だが、「永劫の魔女」の威厳により、直接妬まれることはないらしい。

「…レイは…」

「名前で呼び捨てにしないでもらえる?男が初対面の女にいきなり名前呼び捨てだなんてありえないでしょ!?」

めんどくせえ女だな。

「…んじゃ、加我はここ『アルフセカイ』の問題解決のために来たってことで良いんだな?」

「ええ、合ってるわ。…あなたたちが『妖精姫』が助けを求めた人たち?」

「そうだよ。…と言っても学校で交流会として来ているから今は正式に手助けとして来たわけじゃないよ。」

「…えっと、あなたは…」

「私は結乃。よろしく。」

「よろしくお願いします。」

それから自己紹介がまだだった事に気づき、全員がそれぞれ自己紹介をする。


「交流会ってことは、いつかは帰るんだよね?」

加我がそう言ってくる。

「一応明日帰ることにはなってるが、その後はすぐここに来るつもりだ。今度は問題解決のために。」

俺がそう説明を入れる。

「…なるほど。ちなみに、皆はこれから何を?」

「さっき、フレイヤさんたちを襲った奴と戦ってきたばっかりだからな。皆も疲れているし一度解散しようとしたんだよ。」

「えっ!?戦った!?」

どうやら俺たちが本当に戦えることを信じてないみたいだ。…というか、こいつも「妖精族」だけじゃなく「天使族」や「獣人族」を見ても平然としている。

どこか俺たちに似ているように思えるな。


「その話を詳しく教えて欲しいんだけど…」

流石に解散しようとしていたところを引き止めたいとは思ってないようだ。

「なら俺たちが話すか。七香たちは戻って休んでくれ。」

「分かったわ。後は頼んだよ。」

そう言い、今度こそ七香たちは各々の部屋へと戻っていった。


ここに残るのは、俺と加我含め9人だ。多いな。

そして、俺たちは今日起きたことを1から説明したのだ。


ーーー時刻は8時を指す。

「そうだったのね…」

加我は話を聞き、そう呟いた。

「加我の師匠はいないのか?」

「…メイ師匠なら今回の問題を一人で解決できるように頑張りなさいって…」

なるほど。つまりは、

「…丸投げか。」

「そうよ。」

と、加我は深いため息をつく。

「流石の私でも一人は厳しいわ。」

「だったら俺たちと協力しないか?」

「え?」

加我は俺の言葉を聞き、驚いたような顔をする。

「お前を頼ったグリナさんもここにいるわけだし。協力すれば問題解決も早くなるだろ?」

「…なぜ自分よりも劣っている人と協力を?」

「お前言うことが辛辣すぎるな…」

こういった態度も妬まれる原因なんじゃないか?と思ったが、やぶ蛇なので黙っておこう。


「まぁ、でも、人数が多くなるのは良い事だからね。協力してあげるわ。」

どうやら前向きに考えてくれたらしい。

「それは助かるな。…で、今日はもう遅いので解散にしてもいいか?」

俺は時計を見てそう言う。

「分かったわ。」

「…そうだ。連絡手段としてスマホの連絡先を交換しておかないか?」

「……。ナンパするような人と協力はしたくないのだけど…」

「ナンパじゃねえよ!?Rine交換すれば連絡が楽だろ?」

「なぜ男と交換だなんて…それに魔法を使えばいいんじゃないの?」

「お前ほど上手く使えねえから一定以上距離が空くと無理なんだよ。」

一応同じ『セカイ』にいれば届くかもしれないが。


「それに魔法が使えない状況もあるかもだろ。」

そう言うと、一度考え込んでから…

「中々上手い口説きだったわ。仕方ないから、今回だけは言うことを聞いてあげる。」

どんだけ上からなんだよ、と思いながら加我とRineの交換を済ませた。


そして、加我はドアの手前まできて立ち止まった。


「…そういえば行くとこないんだったわ。」







流石に俺のこと…というか男を毛嫌いしている女を部屋に泊める訳にも行かなく、グリナさんの部屋に泊まることとなった。


そして、加我とグリナさんが出ていったあと。

「俺たちも寝るとするか。」

時間はまだ9時手前だが、かなり疲れていたため今からでもぐっすり眠れるだろう。

「…私はまだ眠くないよ?」

「私もです。」

カナデとフランはそう言ってくる。

「だったら〜私と遊ぶのだ〜!」

と、2人に向かってシェードは言う。


「別に遊んでいて良いけど俺は寝るからな。…特にカナデは邪魔するなよ?」

あの日の最悪な目覚めは忘れていない。

「はーい。」

カナデはそう返事をした。

だが、心配なので部屋の端で寝るとするか。


「私たちも寝ますね。」

と、フレイヤさんとエルが俺の隣に布団を敷いていった。

「…エル、明日の夜は一度戻ってきてくれないか?」

「ラクトたちを連れてくるためにだね?分かったよ。」

そう言い、俺は横になり目を瞑った。


ーーーそして、数分も経たないうちに完全に眠りについたのだ。








ーーーそして、次の日の朝となる…

「…ぐはっ!?」

目覚めは最悪だった…というかデジャヴだな。

そして、おそらく俺の体の上に落ちてきたのは、また枕とかだろうな…

「ってシェードが落ちてきたのかよ!?邪魔だわ!」

俺はシェードを物のように扱って反対側の壁へ投げ捨てた。

「…もしかして寝てねえのか?」

起きている3人に向かって俺は言う。

「いや?ちゃんと寝て、早く起きてからシェード投げをしてたんだよ?」


「いや、シェード投げってなんだよ!?枕から進化させるな。」

俺は時計を見るとまだ6時になっていなかった。

「…だが、眠気が飛んでしまった。」

今更二度寝する訳にもいかなく、かといってここにいたらあいつらに巻き込まれるだろうな。


「あれ?どこ行くの?」

「ちょっと外の空気を吸いにな。」

俺はそう言って、眠ったまま残るフレイヤさんとエルには申し訳ないと思いつつ、一人立ち去った。



そして、ロビーへとやってくると、長椅子に一人の少女が座っていた。

「…加我か?」

その少女に話しかけるとこちらを振り向いてきた。

「…確か日向君でしたね。朝は早いのですね。」

「今日はたまたまだ。」

俺は少し会話を交わすも話題が無いなと思い、居心地の悪さから館の外へ出ようとドアへ向かった。


「…待って。」

すると、後ろから声をかけられる。

「…なんだ?」

「少し、話をしない?」

「一体何の話だよ。」

聞き返すと、俺の目を見てはっきりと口にした。



「ーーーあなたのことについて。」

加我(かが)(れい)

16歳。誕生日は2月19日、血液型はO型。『異能』は不明。「五豪(ごごう)」の一人、「永劫の魔女」の弟子であり、最年少で魔法使いとして正式に認められた天才。


柳芽(やなぎめ)芽依(めい)

29歳。誕生日は11月13日、血液型はO型。『異能』は不明。「五豪(ごごう)」の一人で「永劫の魔女」の異名を持つ。

名前で呼んでもらいたく、周りには名前で呼ばせている。また、漢字が面倒だからと基本的に書類など公式では、メイとして通っている。

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