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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十一話 『礼賛者』

ーーー竜佳は《ダウジング》の術式を見て、そして覚えたと呆気なく答えた。

「…え?覚えたのか?」

俺は確認のために竜佳に聞き返す。

「うん、覚えた。たぶん、使えるはず。」

と、竜佳は答える。

「今のって…『異能』?」

七香は今の竜佳を見てそう質問をする。

「うん。今まで隠しててごめん。」

「い、いや。謝らなくていいよ。『異能』は戦いの要だからな。」

むしろ『異能』を惜しげも無く使用するカナデや七香の方がおかしいのだ。


「私の『異能』は「神眼(しんがん)」。見たものを自分のものに書き換えて使える。あと、想像で組み合わせもできる。」

と、竜佳が説明してくれた。

「それじゃあ早速試してみる。」

そう言い、竜佳は《ダウジング》を発動した。


「どのくらい先まで見えます?」

グリナさんが確認を取る。

「うーん…500メートル先くらいかな。」

「初めて使う魔法でそこまで見えれば充分ですよ〜。」

目を閉じながら竜佳は集中して周りを探している。



それから数分後、

「なんか、集団を追いかけている集団がある。」

「人数は?」

「…追われてるのが5人で、追ってるのが…4人かな。」

「追われてるのが5人ならおそらくフレイヤさんたちだろう。」

確か、フレイヤさん、エル、カナデ、フラン、マキナで行動してるはずだからな。

「よし、その方角へ向かおう。」

俺たちは、竜佳の案内のもと、反応のある方へ向かっていった。








案内のする方は今まで行っていない方角だった。

どんどんと森の中を進んでいくと、わずかながら店の数が増えてきた。

「…市場のような場所だな。」

そんなことを思いながら進んでいくと、竜佳が足を止めた。

「この辺のはず…」

「よし、少し探してみるか。」



それから、かれこれ2時間程周辺を探したがそれらしき人物は見つからなかった。

「見つかりませんね。もう一度使って確認してみましょう?」

グリナさんからの申し出を、しかし竜佳は首を横に振っていた。

「…無理。魔力が足りない。」

「…あら、それは仕方ありませんね。初の魔法ですから。」

慣れていない魔法は無駄に魔力を消費したりしてしまうからな。

「うーん。どうしましょうか。また、手分けして探すしか…」

グリナさんが言い終わる前に口を挟む。

「いや、グリナさんの言うようにもう一度使ってみましょう。」

「…いや、絡斗聞いてないの?竜佳はもう使えないのよ?私たちだって使えないんだし。」

竜那が少し当たり強く言ってくる。

「俺が使う。」

俺はそう言い、魔力をこめる。


「…え?絡斗使えるの!?」

竜那がそう反応し、竜佳たちが驚いている。

「いや、ずっと魔法の術式見てたからな。流石の俺でも0からの習得は3時間弱はかかるからな。」

それを聞いてもまだ納得がいかないようだ。


「ラクトさんは本当にすごいですね…」

何故かグリナさんまで若干驚いているが。

そんなことはお構いなく魔法を行使する。

「《ダウジング》」

俺を中心に円形に範囲が広がっていく。


「…ちなみに、絡斗はどのくらいまで見れるの?」

竜那が聞いてくる。

「…たぶん、3キロが限界かな。」

「…3キロ!?」

再び全員が驚く。

「…いた。おそらくこれだろう。ここからまだ遠くない位置だ。急ごう!」

目的の人物たちを見つけ、俺たちは急いで移動を開始した。







そして、しばらく目的の方へ走っていくと、

「ーー!!あれか!?」

目の前に黒い服装をしている者が4人いる。

「念の為隠蔽しよう。《レオネル》」

結乃が視認魔法で俺たちの魔力を隠した。

「その先には、フレイヤさんたちがいるかもね。」

「とりあえず見失わないように一定の距離を保って追いかけよう。」

もう少し森の奥の方へ行ってから仕掛けるとするか。


しばらく経つとだいぶ奥の方までやってきた。

「あ、止まりましたね!」

グリナさんが俺たちに向かって言う。

見ると、前にいる4人が立ち止まっていたので俺たちも距離を置いて止まり、茂みの中に身を隠した。


「くっ…」

「追いかけっこはもう終わりにしましょう?」

黒服の1人がそう声を発し、フードを外した。

中からは頭の左右から横に伸びた長い角が姿を現した。

どこからどう見ても魔族であった。


「…仕方ない!皆さん、下がってください。」

追われてる側からも声がする。フレイヤさんの声だ。

「大丈夫です!私たちも戦います!」

「そうです!大丈夫です!」

「…2人とも…」

「ボクも援護はするさ。」

「私も手伝おう。」

これは戦いになるだろうな。

「絡斗、私たちも加勢するわよね?」

「ああ。不意打ちしよう。竜那と竜佳は融合魔法の準備をしてくれ。」

「分かったわ。」

「うん。」

俺は黒服たちの様子を確認しながら、竜那と竜佳に指示を出した。


「…仕方ない。これも契約だしね。殺るかっ!」

フードを取っていた魔族が構えをとると、他3人も戦闘準備に入る。


「くっ…!」

それに対して追われていたフレイヤさんたちが構えをとる。

…絶好のタイミングだ。


「よしっ!竜那と竜佳、準備は良いか?」

「おっけーよ。」

そして、魔族側がフレイヤさんたちに襲いかかる瞬間を見計らい、

「放て!」


「っーー!!?」

魔族たちが俺の声に後ろを振り返った。


「…あ!」

「えっ…!?」

フレイヤさんたちも驚きこちらを見てきた。


「融合魔法…《ルクス・デフォン》!!」

そして、黒服の魔族向かって2人は特大を撃ち放った。







黒服目掛けて放たれる魔法よりも先に、俺はフレイヤさんたちの方へ向かっていた。

「念の為にな!《アイアンウォール》!」

俺は飛び火がかからないよう、念の為に防御魔法を張る。


「くっ!このっ!!」

魔族の1人はそれを真っ向から受け止めようとする。

「ぐぁぁ!!」

「うわぁぁ!!?」

だが、他の3人はそれに巻き込まれると大きく後方へ吹き飛ばされた。



地面には魔法の道筋の跡が残っている。

そこには1人の魔族だけが立っていた。

「…あいつだけ別格か。」

他3人は今の魔法ですでにリタイアと言ったところか。


「ラクトさん!来てくれたのですね!」

フレイヤさんが俺に言ってくる。

「はい。…なんとか間に合いましたね。」

「ラクトがいれば勝ったね!」

ずいぶんとカナデは気が早い。


「…まさか追っ手がいるとは。私も衰えたねえ。」

立っている魔族がそんな事を言う。

「…お前は…」


「私は、『礼賛者』ゾミア・ディールットよ。」


「…こいつが、『礼賛者』か…」

フレイヤさんとその兄を襲ったと言われていた人物だ。

「…それじゃあ他の支配者は…」

あの3人は『礼賛者』ゾミアの配下と言ったところだろう。

「他の支配者なんて知らないわ。…協力はしても仲良く一緒にいる訳ないじゃない。」

と、ゾミアは答える。


「それはそうと、折角のチャンスを邪魔されちゃあ黙っていないわ!」

再びゾミアは戦闘態勢に入る。

「人数差なんて気にしないわっ!」

そして、一気にこちらに距離を詰めてきた。

「《クリアシールド》!」

俺は目の前に防壁を展開する。だが、

「《ランド・ウェアー》!」

ゾミアは付与魔法により、それを殴って破壊した。


「くらえっーー!《エアストーム》!」

背後から七香が魔法を放つ。

「…ふっ!」

《ランド・ウェアー》を纏った両手で《エアストーム》を真っ向から受け止める。

「…今よ!」

「行きますっ!」

そこへ、カナデとフランが突っ込んでいく。


「…!!いや、待てっ!?」

ーーーこんな人数不利を気にしないと発言した意図は、人数差を無くせるだけの力があるということだ。

たとえ、隙ができようとも迂闊に近づいたら……


「《アースバスター》!」

突っ込んできたカナデ、フラン目掛けて地面から光が放出した。


「きゃぁぁぁああーー!!?」

「わぁぁあああーー!!?」


「カナデさんっ、フランさんっ!!?」

「くっ!?フレイヤさんは2人を守ってください!」

大きく飛ばされた2人の元へフレイヤさんは駆け寄る。


「…ラクト、どうする?」

エルが近くに来る。

「…戦ってみて無理そうなら一度引いた方が賢明だな。」

「そうだな。ボクもそう思うよ。」

そのためには隙を作らないといけない。

俺は《スピーカ》により、皆に伝える。


『フレイヤさんとカナデとフランは待機で。フレイヤさんは2人を守っておいてください。』

『了解です。』

『竜那と竜佳はまだ撃てそうか?』

融合魔法は魔力消費が多いからな。

『あと1発くらいなら大きいの叩き込めるわ。』

『とっておきがある。』

『分かった。ならばそれの準備をしてくれ。』

『分かったわ。』

『それから、エルと七香は俺と一緒にあいつの気を引く。』

『分かった。』

『了解。』

できれば俺たち3人で倒し切りたいがそれは不可能だろう。なんとかこっちに意識を持ってこさせたい。

『そのために、俺たちは絶対に負けられないな。』

『そうだな。』

『…マキナと結乃はグリナさんと待機で。』

『フレイヤたちと合流はした方がいいだろうか?』

『1箇所に集まると危ないから、なるべく別で待機してくれ。』

『分かった。』

各々のやるべき事を話し終え、『スピーカ』を解除する。


「ふふっ。なんとしても今終わらせるわっ!」

ゾミアが俺に向かって突っ込んできた。



「よし、皆ーーー行くぞっ!」


ゾミア・ディールット

???歳。誕生日不明、血液型はA型。『異能』は不明。

魔族で、『イクストセカイ』の支配者の一人、『礼賛者』。血気の盛んな女性で、男性よりも肝が座っている。

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