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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第十話 闇の神子

ーーー交流会が始まり、約2時間が経過した。

皆も、最初の頃の恐る恐る感がなくなっており、完全とまではいけてないが仲良く接している。


「…確か、この後は皆さんの魔法強化という名目でしたよね?」

グリナさんが予定について確認してくる。

「はい、そのはずです。…って、俺じゃなく先生に聞けばいいんじゃないですか?」

「それもそうですね。…それでは。」

そう言い、グリナさんは幸崎先生の元へと向かっていく。



しばらくして、幸崎先生からの集合がかかった。

「それでは、だいぶエルフたちとも交流を深められたと思うので、これから特別授業を行う。」

授業という言葉を聞いて、クラスの皆がざわめきだす。


「折角、全ての種族の中で最も魔法が強い種族の元にいるんだ。魔法科として特訓してもらわなくては損だろう。」

確かに、先生の言う通りだ。妖精族はどの種族よりも強力な魔法が扱えると言われている。

ちなみに、最も上手く扱えるのは妖精族ではないらしい。


「これからは、グリナさんによる指導となる。また、他のエルフさんたちも協力して特訓してもらえるので集中して行うように。ここで、真面目にやるかやらないかで周りに大きな差がつくぞ。」

と言うと、幸崎先生は後ろに下がっていった。

ここからは、グリナさんの出番みたいだな。


幸崎先生と南先生は後ろでゆったりとしているが、黒ヶ崎先生は俺たちと同じように授業を受けるみたいだ。



グリナさんによる特訓の1つ目は、魔法の基礎強化だった。

今の段階で全員の適性値が 30 を超えていることから素の強化をしようと考えたらしい。

簡単に言ってしまえば、この特訓で同じ適性値の魔法でも石と金属のような差が生まれるということだ。


「…私たちもこれは特訓したほうがいいよね。」

「そうだな。折角エルフに指導してもらってるし。」

この基礎強化に上限はないため、かなりの実力者だとしても疎かにしている者はいない。

それに、この基礎強化で適性値も高まるため一石二鳥だろう。






かれこれ一時間。皆が真面目に取り組んでいると、

「はーい皆さん、12時になりましたので、一度休憩としましょうか。」

と、グリナさんから指示される。

「午後は3時までだったよな?」

「そうだよ。」

「…午後の特訓はもう少し楽なのがいいわ。」

「竜那は体力がないからすぐばてる。」

「なっ、!?そんなことないわよ!」

昼は用意されているようで、俺たちも合流してから交流をしている場所にある建物の中へと入っていった。







そして、昼食を食べ終えて午後1時となる。

「皆さんもお疲れだと思いますが、ここを乗り切れば明日から必ず強くなれますので!頑張ってください。」

グリナさんが皆をやる気づけるようなことを言う。


「…それでは、最後の指導となります。今から行うのは…「複合」についてだ。」

クラスの皆は真剣に聞いている。やはり、強くなれるという言葉が効いているんだろうか。

「確かに、複合ができるようになればかなり成長するからな。」

「…私たちの「融合魔法」とは違うの?」

竜那が聞いてくる。

「複合ってのは魔法の種類ではないんだ。属性魔法の応用だな。」

竜那と竜佳は俺の話に耳を傾けてくる。

「複合は融合魔法と似ている部分はある。2つ以上の魔法を合わせるって部分がな。だが、根本が違う。」

俺は2人に分かりやすく説明をする。


「融合魔法は2つ以上の魔法の術式を組み合わせて新しいひ1つの魔法を生み出すものだ。それとは違い、複合ってのは単に2つ以上の属性を組み合わせて生まれる魔法のことだ。」

「うーん…なんとなくは分かったかも。」

「お前たちは融合魔法が使えるし、複合は簡単に使えるようにると思うぞ。」

それにクラスの中にもすでに複合が使える者はいる。

特別難しい訳でもなく、覚えれば強くなれるという応用だ。


「それでは、分からないことがあれば私たちエルフが教えますので自由に特訓を開始してください。」

と言われ、皆が一斉に複合の練習を始める。


「…私たちはやる意味ある?」

七香が聞いてくる。

「俺も七香も結乃もできるからな。…てか、竜那と竜佳はできないよな?」

さっき融合魔法と複合魔法の違いを聞いてきたくらいなのでできないだろう。

「うん。だから特訓するわ。」

「なら、俺たちは2人の指導をするか。」

「おっけー。」

「了解。」


竜那と竜佳は複合の習得をするために真剣に特訓を続けていた。




「…だいぶ良くなったな。さすがは永代だな。」

2人とも、全くできない状態からたったの2時間ですでに扱えるようになっている。

更に驚くべきところは、竜佳が4種類の属性の複合ができるようになったことだ。

「くっ…。姉として、妹に遅れを取るなんて…」

「ふっふっ。竜那は甘い。」

「2人ともすごいんだけどね…」

七香の言う通り、竜那も3種類の属性の複合ができるようになっている。

本来、複合するに当たって属性の種類が増えるほど難しいのは当然だ。2種類の複合でさえもかなり時間は必要だろう。

現に、クラスの3分の1くらいは複合ができてもまだ技として使えるまでは行っていない。


2人の成長力は凄まじいものだな。

「…それでは、短い時間でしたが私たちによる指導は終わりとなります。これからも精進してください。…あ、私は最後まで皆さんを案内するので気軽に特訓もしてあげますよ。」


こんなところで、エルフたちとの交流会は幕を閉じたのだ。







そして、俺たちは再び泊まっている館へと戻ってきた。

「皆、お疲れだったな。この後は自由にしていいぞ。」

と短く告げ、幸崎先生と南先生、黒ヶ崎先生は自分の部屋へと戻るべく3階へ上がって行った。


「…やっと帰ってきたぞ!暇だったのだ〜!」

俺たちはやることもなく、再び俺の部屋に集まることとなり扉を開けると中から精霊が飛び出してきた。


「…シェード。よく我慢してお留守番してたな。」

シェードのことだからまた俺たちの所へやって来たりするものかと思っていた。

「…今日こそはマキナたちを探す?」

「…そうだ。皆に言っておかなくてはいけないことがある。」

と、前置きをして交流会の前にグリナさんから聞いた重大な話を皆に伝えた。




「…えっ!?追われてるって…やばくない?」

全てを聞き終えて最初に声を発したのは七香だ。

「…支配者と言われている魔族の可能性が高そうだね。」

「だから絡斗の《神呼(かみよび)》が反応しなかったのか。」

皆思っていることを次々と言ってくる。

「…居場所は分からないんだろう?」

結乃が聞いてくる。

「ああ。それでこの後なんだけど、グリナさんと会って詳しく話がしたい。皆も大丈夫か?」

グリナさんが、フレイヤさんの言っていた人だと伝えた。

「もちろん、大丈夫よ。」

「同じく。」

「「私たちも。」」

全員が大丈夫と言ってくれて一安心する。


「それじゃあ、グリナさんの部屋へと行くか。…シェードも来るか?」

ずっとここに居て退屈していたであろう。

「良いのか〜!?行くぞ〜!」

俺たちは部屋を出て、グリナさんの部屋へと向かっていった。







1階の俺たち男子が泊まっている部屋は館のロビーの東側にある。

そして、グリナさんの部屋はロビーの西側にあると言われているので、西側へと向かった。

「ここだな。」

俺はある1つの部屋をノックする。

「はーい。」

そして、中から鍵を開けて出てきたのは目的の人物であるグリナさんだった。

「いらっしゃい。さあ、入って。」

グリナさんに言われるままに俺たちは部屋の中へと入っていく。


俺たちは適当な椅子に座った。

「グリナさんも詳しい居場所は分からないんですよね?」

「ええ、そうよ。…それにしてもラクトさんの仲間が女性ばかりだったなんて…モテるんですね。」

「いや、そういうわけじゃ…」

こいつ、勘違いしてるぞ。

「それで、どうやって探しますか?」

「そうね。…誰か人を探すのに役立つ魔法とか『異能』とかない?」

「そんなのが使えれば、とっくに使ってますよ。」

「んー…その魔法ってどんな魔法?」

竜佳が聞いてくる。

「俺は知らないな。術式も分からん。」

「それなら、ちょっと待ってて。」

と、グリナさんが言って本棚が置いてある方へと向かっていった。

「…何してるんです?」

「本探しよ。」

「見れば分かる。」

「魔法の術式が乗っている魔導書があるのよ。…あ。あったわ。」

そんな本があるのか。

「…もちろん全部じゃないし、この本に乗っている魔法は古いものだけどね。」

そう言いながら、ページをめくっていく。

そして、

「これだわ。《ダウジング》よ。自分を中心に一定の範囲内に目的の者がいるか探せるみたいよ。属性は土と風ね。」

と、その魔法が描かれているページを見せてきた。

「術式を見せられてもすぐには使えねえよ。」

最低でも3時間はかかる。

まあ、3時間くらいなら待てるだろうが。

「…竜那。私、あれを試す。」

と、竜佳が言う。

「分かったわ。」

「ん?あれってなんだ。」

「私も知らない。」

「私も。」


そして、俺たちを置いて何やら、魔力を高めている。

「…竜佳はもう風属性扱えるの?」

「うん。適性値は 12 だけど。」

「《ダウジング》を扱うのに、それだと難しいと思うわよ?」

グリナさんが竜佳に言う。

「大丈夫。任せて。」

そう言って、竜佳は《ダウジング》の術式を見る。

そして、

「『異能』。「神眼(しんがん)」!」

そう言い放つと、竜佳の両目が黄色く光出した。

数秒後、その光が収まるとともに竜佳は術式から目を離して、


「…覚えた。」

と、呆気なく言ってきたのだ。

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