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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第二話 『アルフセカイ』

ーーーねぇ、こんな噂を知ってる?



ーーー精霊ってのはね、目に見えないんだよ。


ーーーだけど力があれば見えるんだって。


ーーー精霊はね、噂によって生まれるものが多いんだよ。


ーーーだから噂をすればするほど、たくさん生まれるの。


ーーーほら、こんな噂を話してたら、また生まれたよ。


ーーー『噂を食べる精霊』だって。


ーーーあらら、『姫』にバレちゃった。


ーーー今日はもうおしまい。



ーーーまた新しい噂を持ってくるよ。






〜〜〜〜〜






清々しい朝となる。『アルフセカイ』へ行くための手荷物は全て用意を終えている。


「ゆっくりできないなぁ…」

俺はそんなことを嘆きながら、学校へ向かう準備を進める。



「おはよう。…眠いわ。」

「おはよう。徹夜したわけじゃないだろ?」

「当たり前じゃん。」

そう言いながら、欠伸をしているのは七香だ。

『アルフセカイ』へ朝早く向かうらしく、いつも学校へ登校する時間より、やや早く来ている。


「おはよう。」

「おう。おはよう。」

雄二もやって来る。そして、後から竜那と竜佳、結乃もやってきた。

「ずいぶんと友達が増えてるね。」

「そうだな。…後で雄二にも紹介するよ。」

雄二の知らない間に友達が増えていることに驚いているようだ。



「学級委員長、人数を数えてくれ。」

幸崎先生が委員長に言い、人数を確認して回ってる。

ちなみに、時間短縮のために教室には行かず、校庭に集合している。


「それと、30人も1人で見るのは難しいから、他に2人の先生も同行する。」

そう言い、後ろにいた先生が前へ出てくる。


「はーい!寧音(ねおん)ちゃん先生も同行するよ〜。」

またあの先生か。第一印象はヤバいやつだったが、力を見て多少はましに見える。


「皆とはあまり会わないから知らない人もいるかな?僕は黒ヶ崎(くろがさき)椎斗(しいと)だ。よろしく。」

と、爽やかな男先生が挨拶をする。

一部の女子がきゃーきゃー騒いでるな。


「先生!全員います。」

委員長がそう幸崎先生に報告する。


「よし、それではバスに乗り込んでくれ。転移するために今回は転移門に向かうぞ。」

そう言い、皆をバスに乗せていく。







ーーーバスの中で…

「絡斗君、転移門ってどこにあるんだい?」

「うーん。俺も行ったことはないから分かんないな。」

俺は通路を挟んで隣に座る雄二と話している。


席は自由となっていたため、俺たちは一番後ろとその一つ前を占領している。

一番後ろの長椅子には左から竜佳、竜那、結乃、哀川さんが座っている。

その一つ前には、左側は窓から七香、俺が座っており、右側に通路から雄二、掌也(しょうや)が座っている。


掌也はすでに眠っているようで、身動き一つ取らない。

隣に座っている七香も似た感じだ。


「…絡斗…眠いから、寄りかかっていい?」

七香がそんな眠たげな顔で言ってくる。

「いいぞ。着いたら起こしてやるよ。」

「ん…ありがと…」

そう言うと、肩に頭を乗せて眠り出した。


「…嫌らしいね。」

「ほんとほんと。」

「後ろうるせいな。幼なじみなんだから、このくらい問題ねえだろ。」

結乃と竜那が野次を飛ばしてくるが、それを無視して俺はスマホをいじりだす。

色々と整理する情報がある。

まず、アランが言っていた『呪い』について。そして、これを解除しなくては俺は「治癒魔法」が使えないままだ。

それと、カナデたちの状況だな。今、『アルフセカイ』がどんな状況なのか、それと校長に接触したという「妖精族」も気になるな。…フレイヤが言っている信頼できる人なのだろうか。


俺はいろいろなことを頭の中で考えてバスに乗っている時間を過ごした。






そして、転移門があると言われている街に着く。

「七香、着いたぞ。」

「ーーーん…ふぁ〜…よく眠れたわ。」

ここに着くまで一度も起きなかったのはすごいな。


「ここにあるのか。」

そこは街というには少し小さい。…村と言うほうが合っていそうな場所だった。


「それでは、はぐれないように着いてくること。」

幸崎先生と寧音先生が先を行き、黒ヶ崎先生は後ろから着いてくる。

俺たちは、2人の先生のすぐ後をついて行った。


「しかし、独特な場所だね。」

雄二がこの街についての感想を言う。

「ほんとよね。まるで、神を崇めているみたい。」

竜那の言う通り、この街にはやたらとGODや神という言葉が使われている。


まあ、人それぞれ何をするかは自由だからな。

と、転移門の場所まですぐに到着した。



「…えっと、使えないってどういうことです?」



…何やら一悶着ありそうだな。

「どうしたんですか?」

七香が幸崎先生に向かって聞く。他のクラスメイトも皆集まっている。


「…転移門の横に立っている人がここの転移門を管理しているらしいんだけど、神を崇めていると証明しないと使わせて貰えないんだって。」

寧音先生が小声でそう言う。


「どういうことです?」

「…ここに住んでいる人はそういう思想を持っているの。で、あの人は皆からも嫌われていてね、他から来た人にもその思想を押し付けてるのよ。」

と、詳しく説明をしてくれる。

確かに、顔を見ると厄介そうな人だな。


「本当はいないはずだったんだけど、急にここの管理をするって言ったらしいわ。」

ここにある転移門の管理は街の人が交互で行うらしい。

普通であれば、皆無料で使用できるのだが、この人は神を証明できなければお金を払わせるみたいだ。

詐欺レベルとはいかないが、この人数分のお金を手に入れればそれだけで大金になるだろう。

おそらく、このお金狙いだろうな。


「困ったわね…」

「それならいい考えがあります。」

と、俺は言い出す。

「…使うの?」

「ああ。」

そう言って、幸崎先生の隣に立って、管理している男の人に向かって顔を向ける。


「…なんだい?早く神様を証明してくれや。でなければ、人数分お金を払ってくれよ。決まりだぜ?ぐずぐす文句を言うなよ、お嬢ちゃんよぉ。」

「…ですから、そう言ったことは決まりではないと聞いてきたのですが…」

「うるせえな。俺が担当してんだ、俺の決まりが筋ってもんだろうが。」

見るからにめんどくさいな。


「その神様の証明は誰か一人で良いんですか?実は俺、神様を崇めているんですよ。」

その声に、幸崎先生が驚く。

「一人で構わねえぜ。…そんで、どうやって神様を証明してくれるんだ?坊主よ。今のがはったりだったり、偽物を証明されたら金を倍にするからな?」


幸崎先生が俺に何か言いかけたが、気にせず能力を行使する。


「神をこの地に召喚する。……《神呼(かみよび)》!」

目の前に手をかざし、そう唱える。

俺の体の周りから、魔法とは違う能力の光が溢れ出す。

そして、目の前の地面に大きく輪の形に光が描かれていく。

やがて、その輪の中心から人影が浮き出てくる。

それはーーー……


「…デウス・エクス・マキナ。」

俺と『契約』を交わした、マキナが現れたのだ。







…管理者の男の人、幸崎先生が驚きの表情をしている。

いや、それだけでなくこの場にいる全員が驚いている。


「何か危険があった?」

マキナが聞いてくる。

「悪い、そういう事じゃないんだが…この人が神様を証明しろっていうから呼んじゃった。問題なかったか?」

「大丈夫。」

マキナが淡々と答えてくる。


「なっ……これが…神様……?」

どうやら、この人は神を直接見たことは無かったようだ。


「へっ……う、嘘は良くねえな?坊主よ。…これが神だってのか?」

どうやら能力者じゃない人だったらしく、《神呼(かみよび)》を見ても分からなかったようだ。

変に意地を張らなければすぐに終わるというのに…


「ラクト…何すればいい?」

マキナが聞いてくる。

「この人を説得してくれ。」

そう言うと、マキナは僅かに浮いた状態で、管理している男の人に近づく。


「うっ…!!?…何で、近寄ってくんだよ…!?」

「私は神。…それが信じられない?」

「信じられるわけ…ねえだろ…」

「ならば奇跡を示そう。」

「…奇跡…だと…?」


「…(なんじ)はこの瞬間、神の存在を見ることができるようになる。」

そう言って、管理している男の人に手の平を向ける。


すると、


「…ぁ…な、なんと…貴方様は……神様っ!!?」

豹変したかのように、マキナを見るなり、腰から崩れ落ちていった。

先生やクラスメイトたちは、そんな管理している男の人を様々な眼差しで見ている。


「これで良いだろう?」

マキナが男に話しかける。

「…神様からのお言葉をもらえるとは……す、すみませんでしたっ!今すぐ転移門を動かします!!」

と、手を重ね願うようにしながら言葉を放ち、すぐに立ち上がり、奥の方へと向かっていった。







「…それでは『アルフセカイ』へ向かうのですね?」

「ええ…」

先程とは打って変わって態度がまるで違う男の人に、やや困惑しながら幸崎先生は受け答えする。


「それでは、転移門に乗ってください。」

そう言われ、俺たちは皆転移門の上に乗る。


「行ってらっしゃいませ。」

そして、瞬く間に俺たちは転移をしたのだ。






「…質問してもいいかしら?」

転移し終えてすぐ、幸崎先生が俺にそう問いかける。

クラスメイトたちは、その様子が気になるらしく隠すこともせずに俺たちを見ている。


「良いですよ。」

「その(かた)は…神なのですか?」

確かに、最もな疑問だな。

「あの奇跡というのは、『異能』ですよね?それで神と偽ったのですか?」

そう捉えられても不思議ではない。


「それは違う。…あなたは、私が神だと分かっている。」

「…ッ!!」

幸崎先生が一歩後退する。何故だ?

「《神呼(かみよび)》を使った時点で分かるはず。」


「…え、本当に神!?」

「お、俺たちやばいじゃん…」


「…ひ、日向君…何故余計なことを言わせるのです!?」

なるほど。他種族は敵と教えられてきたため、マキナが神と生徒が知れば騒ぎが起きてしまう。それを防ぐためにそのような質問をしたのだろうが、マキナが先に受け答えをしてしまった。


「皆、大丈夫よ!彼女は味方よ。」

「そもそも、絡斗と契約しているから私たちに危害は加えてこないわ!」

クラスメイトを落ち着けるために、七香たちが皆に説明をしている。


「幸崎先生、大丈夫です。信じてください。」

「…分かりました。…神と契約することになった経緯を後で教えてもらえますか?」

「はい、分かりました。」

やっぱり聞かれるか。先生にこれ以上隠すのは難しいかもな。


「なんだ…大丈夫なんか。」

「良かった〜…」

「神ってなんかすごくない?」

七香たちのおかげでクラスメイトたちは落ち着きを取り戻した。

他種族が敵と教えてきた先生たちには、契約の経緯を言うと共に聞くことになるだろうな。



「…さて、気を取り戻しましょう。ここが、『アルフセカイ』です。」

だいぶ遅れてしまったが、

俺たちはついに『アルフセカイ』へとやってきたのだ。

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