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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第十七話 双子の力

いよいよ始まった2回目の模擬戦闘。


「さて、どう来るか。」

俺たちは相手の動きに合わせて戦うスタンスに決めた。

「3対3とは言え、1対1を3箇所でやるような感じになりそうだけど。」

3対3ではなくていいんじゃないかと七香が疑問に思っている。


「いや、あの2人は仲良さそうだし…2人同時に攻めてくる可能性もあるぞ。」

「2対1を作り出すってこと?」

当然そうなれば、お互いに2人いるほうが有利に働くだろう。

「なら、絡斗君と七香ちゃんがあの2人の相手をしてくれ。私は哀川さんの相手をする。」

と、結乃が提案してくれる。


「そうだな。それで行こう。」

俺もその意見に反対意見はなく、俺と七香で双子…竜那(りゅうな)竜佳(りょうか)の相手をすることになった。


「手加減を忘れるなよ?」

「大丈夫さ。」

丁度話している時、向こう側から2人の姿が現れた。

竜那と竜佳だ。


「それじゃあ行ってくるよ。」

結乃は残りの哀川さんのを探しにこの場を離れた。






「2対2だね。」

「そうだね。」

俺たちの数メートル手前で2人は立ち止まった。


「皆成長期だから気をつけなよ?すでに適性30近くあるから。」

七香が俺にそんな事を言ってくる。

「まじかよ。…でも流石に40は超えてねえか。」

この短期間でほとんどの者が10近くも適性値を上げている。


「それじゃあ…」

「先手必勝。」

と、2人が構えを出す。それは…


「え…」


「「融合魔法・《ルクス・デフォン》!」」


「は?」

それは衝撃的だった。と、そんな事よりもーーー、


「ヤバイっ!」

「くっ!《クリアシールド》!」

七香が「防御魔法」を貼るが、

「それじゃ破られる!《アイアンウォール》!」

土魔法による「防御魔法」《クリアシールド》の上のランクの魔法を重ねがけする。


ドゴォォォォォンンーーという激しい音が周りに響き渡った。



「やった?」

「これで倒れてくれたら楽。」

そんな気楽な事を言いながらも警戒を解かないのは流石だった。


俺たちは、崩れ落ちた地面の破片の下に埋もれる形になっている。

「流石に無理か。」

「この2人、強い。」


「痛ぁい……何よ、今の。」

「…まじかこいつら。「融合魔法」だと?」

「何それ。」

「俺たちみたいに戦闘経験豊富、技術もなくちゃできない上級者向けの魔法の1つだ。」

今の魔法は《ルクス・デフォン》。光魔法《ルクステリア》と闇魔法《プロキシフォン》を融合した魔法だ。


ちなみに、融合魔法は個人個人で生み出す魔法とされている。いわゆるオリジナルと言うものだ。

何故俺がここまで詳しいかと言うと、その魔法を昔見たことがあるからだ。


「あの魔法…龍鳳(りゅうほう)が使っていたな。」

「…まじ?もしかして、2人ってその家系?」

「今はまだ分からない。」

龍鳳(りゅうほう)…それは、俺たち「人族」で5本の指に入る実力者…頂点の力を持つ「五豪」の一人である。


「2人で使ってるってことは、まだ1人の力では使えないってことか、もしくは2人で使うから強くなるのかのどっちかだろう。」

「なるほどね。双子ってのも意味があるわね。」

なんとか、煙も立ち去り、俺たちも破片…瓦礫を押しのけて、立ち上がる。

「というか、あの2人はおそらく全力がまだこれくらいなんだろう。」

実力を隠す意味なんてないからな。

「…手加減できなくない?」

「頑張るしかない。とりあえず反撃だ。」

「了解。」

そう言うと、七香が自分の体の目の前で武器を持つように手をかざした。


「なにか来るね。」

「気をつけよう。」

それに意識を向けられた瞬間ーーー、


「ッ!!竜那!後ろ!」

「えっ!?」

俺は同時に2人の背後に回っていた。


「喰らえ!《インフェルノ》!」

少し手加減をし、弱まった火魔法が2人を襲う!


「間に合わないッー!?」

「きゃああー!!?」

防御魔法を貼ろうとしたのだろうが、至近距離からなので間に合わず2人は大きく後方に飛ばされる。その先には、

「私がいるところよ。」

七香の位置に絶妙に飛ばすことができた。そして、

「『異能』。来い、「心器(こころうつわ)」!」

そして、七香が思い描くのはガッチリとした大剣であった。


「ごめんね!手加減はするからっ!」

そして、飛んできた2人目掛けて大剣を振り下ろしたーーー


ドォォォオン!!と大きな音を立てて煙が巻き上がる。

2人は七香の目の前で地面に倒れ込んでいた。


「…あっけない?」

七香が逆に驚いたような顔をしている。

「…!!七香、離れろ!」

俺が声を出し、それを聞き七香が離れたのは同時。そして、その刹那の後、


「躱された。」

「ちっ、あの男、気づいたのか。」


空から、七香がいた地点に2人が降ってきた。

直撃してれば七香といえどかなりのダメージが入っただろう。


「よく分かったね。」

七香が助かったと俺を向いてくる。

「直前の2人と、七香の攻撃を受けた後の2人の魔力が変わってたからな。あれは《ドッペル》だろう。」

《ドッペル》とは「視認魔法」の1つで、他者から見える景色を欺く…幻覚を見せるような魔法だ。これもかなりの上級魔法にあたる。


「日向君だっけ?あんた中々やるじゃん。」

先程まで淡々と会話をしていたが、途端に口調が変わる。いや、素を見せたということか。

「お前は…どっちだ?」

「竜那よ!覚えなさいよ!あんたの後ろなんだから!」

ずいぶんと殺気立ってるなぁ。

「ふんっ。どうせ大したことないって思ってたのに、ずいぶんとお強いのね?」

口調が荒くなってるな。


「いきなりなんだ。豹変でもしたのか?」

「うるさいわね。さっさと終わって竜佳と一緒にお昼寝しようと思ってたのに。」

「まぁまぁ。とりあえず、このままじゃ互角だよ。」

竜佳がそう言い聞かせた。制限時間の7分より早く決着をつけて、長く寝たかったのだろう。…授業中に寝ようとするとは。


「…中々きついよ。どうする?」

七香が指示を仰いでくる。

「俺が補助魔法を使う。一度『異能』を使ったならできるだけ長く使わせたいからな。」

「おっけー。」

七香の『異能』は発動後、解除するとしばらく再使用ができなくなる。

「行くぞ!《ガルト》!《ピリア》!」

同時に力増強と俊敏力強化の「補助魔法」を七香にかける。


「行くわよっー!」

七香が地面を蹴り、2人に接近する。


「勝つわよ!」

「うん!」

それに2人は対抗をしようと、構え直した。






〜〜〜〜〜






絡斗君と七香ちゃんと別れた後。

「中々見つからないなぁ。」

哀川さんがどこにいるのかが分からない。

「もしかして…隠れている?」

まさか。この模擬戦闘において、戦闘をしないで隠れるなどすれば成績はガタ落ちしてしまう。それならば、

「…奇襲を狙っている?」

その可能性が高いかもしれない。

もしその場合ならなるべく慎重に動き回る方がいいかもしれない。


「ここら辺に居ないかな〜。」

戦闘エリアとして定められている範囲はそこまで広くはない。また端っこがどこか分かるように、わざわざ「範囲魔法」が貼られている。


するとーー、

「ッッーー!!!」

「…おっ、と。」

背後から攻撃をされる。が、私はそれを完璧に躱して見せる。

「やっと見つけたよ。」

そこにはお目当ての哀川さんが立っていた。


「嘘…あんな奇襲を避けるなんて…」

たった1度躱しただけでもうすでに戦意が喪失しかけている。


「こう…なったら!」

目の前に両手をかざし、暗唱を始める。が、


「ーーーがはっ!?」

暗唱を言い終える前に私はその小さなお腹目掛けてパンチを繰り出していた。

「敵の目の前で堂々と暗唱は良くないよ?後、わざわざ暗唱しなくてもすぐに魔法を使えるようにイメージをしなきゃ。練習が足りてないよ。」

その言葉を聞いて、悶えながらも、僅かに耳をピクリと動かした。

この程度で絶望されても困る。


「頑張って強くならないと置いていかれるよ?」

だからこそ、私はここで圧倒的な力の差を感じて欲しいがために悪く言ってみせる。

「はぁはぁ…分かってるわよ…」

だが、すぐに暗唱をなくすことはできずに、再び暗唱を始めた。だが、今度は言いつけを守ったのか、両手をかざさず、更には自分にしか聞こえない程度の小声で暗唱を始めた。


覚えは早い子だな。さすがに2度目を封じるのも可哀想だから、このまま待ってーーー、



封じるよりも更なる絶望を見せつける。


「くらえ!《ブラスト》!」

暗唱が終わり、魔法が繰り出される。適性値は周りと同じくらいなのでそこそこの魔法を放ってきた。

だが、圧倒的に弱すぎる。


「はぁ。」


そして、私はため息を1つ漏らして、


「…えっ!?」

その魔法が私に届かずに散っていった。


「なんで…成功してるはずなのに…」

今の手品はまだこの子には分からないだろう。だからこそ、



「私にその程度の魔法は通用しないよ?」

「ッ!!」



この模擬戦闘で少しでも成長してもらいたく、私は徹底的にこの子…哀川さんの心を折ろうと試みた。

龍鳳(りゅうほう)

59歳、誕生日は8月27日、血液型は不明。『異能』は不明。「五豪(ごごう)」の一人であり、家名を名乗っていないため今は不明となっている。

「血塗りの餓鬼」という異名を持つ。

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