第十六話 永代の能力者
ーーーこの世には「魔法」、「武技」…ありとあらゆる力が存在する。
それらを組み合わせ、独自の能力、または技として披露することができるが、基本的にそれらは技術と力があれば他人も同じものを使うことができる。
だが、決して…いや、「例外」を除いて、他人が扱うことのできない『力』が存在する。
それは、『異能』だ。『異能』は基本は生まれながらに持っている力であり、人によりその力は異なる。
また、この『異能』は一人につき、1つしか持たないと言われているーーー。
〜〜〜〜〜
「はぁ。」
月曜日。本日も登校してすぐ、席に座るとため息が漏れた。
「ずいぶんお疲れだね。」
雄二が近くにやって来る。
「あぁ。今日から、少し内容が増えるって言ってたよな。」
模擬戦闘も行い、少しずつ実戦に向けた授業内容となってきた。
それに伴い、クラスの皆の力も顕になってくる。
「まさかこのクラスにも「あれ」がいたとはね。驚いたよ。」
「…「あれ」って何だ?」
「え?絡斗君知らないの?」
いや「あれ」と言われても何を指しているのかが全く想像できない。
「やっほー。」
と、そこへ七香が登校してきた。
「何話してるの?」
「お、愛条さん。いい所に来た。」
と、雄二が七香を見てそう言った。
「丁度今、皆が力を見せるようになった頃合いじゃん?」
「もしかして、「永代の能力者」の話?」
「そうそう。流石、知っているよね。」
何?「永代の能力者」?なんだそれは。
「え、絡斗聞いたことない?」
「あるわけないだろ。俺は同じクラスの名前すら覚えていないんだぞ。」
「席に着け。」
と、タイミング悪く幸崎先生がクラスに入ってきた。
「この話は後でね。」
と言われ、七香は前を向き、雄二も自分の席に戻っていった。
「ーーーでは、ホームルームを始める。今日は三時間目から、昼を挟んで六時間目まで「戦闘基礎」となっている。」
この前の「魔法基礎」は全員がある程度習得できた所で、すでにこの「戦闘基礎」と言う名前に変わっている。
「そこで、今日からは各自、使えるものは『異能』の使用許可が降りた。使えないものも並行して練習してもらいたい。詳しくは三時間目の初めに伝えることにする。以上だ。」
と、手短に要件を説明し、朝のホームルームは終わりとなった。
「ついに『異能』を試せるんだね。」
雄二が嬉しそうに微笑みながら近づいてくる。
「お前、『異能』使えるのか?」
「それも全て試したいのさ。」
今『異能』について使用許可が降りるのは何とも中途半端で、遅すぎる気がするが…
もしかして急いで育成しないといけなかったりするのだろうか。
「…変なこと考えてないでよ。」
と、渋い顔をしていたら、七香から注意されてしまう。
「それにしても『異能』ねぇ。まともに使える人とそうでない人で更なる差がでちゃうんじゃない?」
「それを生徒に突きつけて、自分で成長してほしいってことかもな。」
とりあえず三時間目までは座学なので何事も起きないだろう。
そして三時間目。集まったのは、森林エリアの目の前だった。
「では、今日は3人一組を作ってもらい、3対3のチーム戦を行う。」
と、今回の授業内容を説明し始めた。
「組み合わせは、くじ引きとする。もちろん、3人の平均同士があからさまに差が広ければ、対戦相手や、チームを変更することにする。また、朝も言ったように今回の戦闘から『異能』の使用はOKだ。」
そして、順にくじを引いていく。
「これ前回さ、上の方の能力者が集まったら強そうだよね。」
「そうだな。」
と七香と話しながら俺たちもくじを引いた。すると、
「私Bだ。」
「…俺もB。」
珍しいことに、一緒に引いて、チームが同じになった。
「よろしく。」
「よろ。絡斗がチームなら気楽だわ。」
さて。後一人は誰なのか気になるところだが。
「…おい、嘘だろ?あの「永代の能力者」が2人も同じチームとか。」
「あそこは勝てなそうだな…」
と、何やら賑わっているところがあった。目を向けると、その視線の先に2人の女生徒がいた。
「私たち同じだね。」
「だね。これは勝つしかないじゃん!」
と、2人ともやけに似ている姿だな。まるで、鏡写しにしたみたいだ。強いて言うなら、胸の大きさと髪の色が違うことくらい…
「へぇ。あの2人同じなんだ。」
七香がそれを見て感想を抱く。
「そういや、「永代の能力者」って何だ?」
「ああ、それね…」
と、思い出したかのように説明を始めた。
「永代の能力者ってのは、私たちみたいな未来に可能性がある10代後半から20代前半くらいの間で、他を抜いて圧倒的な力と名誉を持っている能力者のことよ。」
「それって、ただ単に他よりも強いってことか?」
「…まぁ、そういうことでいいわ。」
なるほど。そんなものがあったとは知らなかったな。
「それって俺たち「人族」の中だけか?」
「そうよ。魔物や他の種族に勝る程の力を持っているって噂よ。最近の戦闘でその力に気づいて、「永代の能力者」だと言われ始めたわ。このクラスにも3人いるわ。」
その内の2人があいつらか。
「あいつらは…」
「御影竜那ちゃんと、御影竜佳ちゃんよ。ちなみに双子ね。」
「俺の後ろじゃん。」
「ほんと近くの番号の人すら覚えてないだなんて…」
と、何故か呆れたというような顔をしている。
「ちなみに、あの姉の竜那ちゃんは光属性の適性高いわよ。妹は闇属性かな?」
「まじか。」
授業でも少ししか触れていない「光属性」と「闇属性」の適性が高いとなると、俺たちみたいに戦闘経験は豊富かもな。
ただ1つ言えることは……
「どっちが竜那?」
「……」
「それでは、早速始めていく。制限時間は7分。全員のダウン、時間経過、私の判断の下で戦闘は終了とする。…では、最初はA対Iだ。」
1つのチームで最大2試合程戦うと言われた。時間次第で、3試合にもなるかもと言われ、戦わない生徒は、同じチームでの作戦会議、休憩、練習、観戦の何をしていても構わないらしい。
そして、AチームとIチームの生徒が先生の所へ向かっていった。
「雄二は?」
「僕はGだったね。」
俺たちとは違うチームらしいな。
「おーい、雄二。作戦会議しようぜ。」
と、おそらく同じチームであろう生徒に呼ばれる。
「それじゃあ、頑張ろうね。」
「おう。」
俺は軽く返事をし雄二を見送った。
「それにしても3人目は誰なんだよ。」
と、一人呟いている。ちなみに、七香はトイレに行くと言ってここには居ない。
「やあ。学校でまともに話すのは2回目かな?」
と、そこへ結乃がやってきた。
「なんだ。…そういやお前は何チームだ?」
「私はBだよ。今、同じチームの人を探しているんだけど中々見つからなくてね…」
「……」
本当に、まるで奇跡みたいな確率だな。
「まさか、絡斗君と七香ちゃんがBだったとは。すごい組み合わせだね。」
「ホントだよ。」
俺たち3人は学校の適性値で言えば平均。だが、実際は3人とも力を隠しているので、おそらく一番強い組み合わせかもな。
「絡斗君たちはまだ力を出さないのかい?」
「俺たちはクラスの平均に合わせて出していくよ。」
「そうか。私は少し上の人たちに合わせようかなと思っているんだ。」
と、そう言ってきた。確かに、今日の始めの属性測定では少し高めにしていたな。
「…結乃は「永代の能力者」って知ってるか?」
「もちろん。このクラスにも3人いるよね。」
「その一人だったりは?」
「ないね。そもそも自分で言うものではなく、周りから言われるものだからね。それに家名とか名誉とか…そういうのがしっかりしてるから偽ることはできないさ。」
と、やけに詳しく説明してくれるもんだ。
「あの2人が永代の能力者か…」
正直、力をそこまで感じない。もちろん、結乃みたく根本から隠していれば別だが。
「竜那が「光の神子」、竜佳が「闇の神子」という二つ名を持ってるよ。」
「そうなのか。」
と、言われましてもこちらはその事なんか知らないので反応できない。
「あれ?結乃ちゃんどうしたの?」
と、七香が戻ってきた。
「私もBチームなんだよ。」
「えぇー!?奇跡じゃん。」
と、俺と似たような感想を口に出した。…俺は口に出てないが。
と、どうやら一戦目が終わったようだ。
「次はB対Dだ。準備をしてくれ。」
と、幸崎先生が「思念魔法」の1つ《スピーカ》で全員に聞こえるように声を出した。
「私たちじゃん。行こっ!」
と、俺たちは先生のもとにやってきた。すでにDチームは着いていて、そのメンバーはーーー…
「まじかよ。」
あの双子…竜那と竜佳がいるチームと当たった。
「よろしくね。…日向君?だっけ。」
「確かそのはず。よろしく。」
と、2人が丁寧に言ってくれるのは良いのだが…
「名前くらい覚えておいてほしい。」
「それ、あんたが一番言っちゃいけない…」
「だよな。」
と、やり取りをしているうちに転移させる準備ができたようだ。
ちなみに、3人目は哀川実だった。
そして、転移が終わり、少し離れた位置同士に転移する。
「よし、とりあえずあの2人に手加減は無理ね。」
「だな。…向こうの出だしに合わせるぞ。」
「「おおー!」」
俺たちの作戦は決まり、クラス内での再びの模擬戦闘が始まる。
御影竜那
16歳、誕生日は11月4日、血液型はB型。『異能』は不明。双子の姉。
御影竜佳
16歳、誕生日は11月4日、血液型はB型。『異能』は不明。双子の妹。「竜」の読み方が姉とは違う。




