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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第十四話 選神戦

ーーー今、俺は自分のしていることを改めて考え直している。何故ならば、何をしたいのか自分でも分からなくなったからだ。

その理由の1つとして、結乃の存在だ。

『レッドセカイ』…そこは俺の第2の故郷と言えるほど気に入っていたセカイだった。そして、そこで俺はウノさんとカナデたちに出会った。


俺は今でも、ウノさんとカナデには返しきれないほどの貸しがある。俺にとっては恩人のようなものだ。

…だが、2人のセカイ、『レッドセカイ』は消滅してしまった。さらには、フランの唯一の家族である、ジャイ二さんの命まで奪われてしまう。

そんな、許されない行いをしたのが結乃なのだ。

今では、俺たちにはもう敵対することはないと言っていたが、その話をまともに信じられず、適度な距離で接することにしていた。


なのに…


今となっては、結乃は俺でさえ忘れてしまった妹のことを思い出させてくれて、さらには妹を救うために俺以上に本気で考えてくれている。

そんな姿を見て…俺は、いつの間にか結乃に心を開きかけてたのかもしれない。

許せないはずなのに、俺は許してしまうかもしれない。

もちろん、俺とは違い、カナデやフランのほうは結乃を許さないだろう。


そんな結乃とカナデたちの関係が悪化しないように…仲良くなってほしいと、俺は思ってしまったのだ。





〜〜〜〜〜






朝ーーー。

「よく眠れた?」

俺は来菜の横で寝てしまっていた。そして、目が覚めると結乃たちがいる部屋に入っていったのだ。

「まぁ、そこそこかな。」

「明日は月曜日だし。学校があるから、神探しは今日で一旦休憩となるね。」

と、そう言いながら、結乃はコーヒーを啜っている。


「そうだ。絡斗君の敵って存在は誰なんだい?」

ふと、少し変わった質問をされた。

「なんだ?いきなり。」

「学校では、魔物が敵。他種族は仲良くできない存在として扱われているだろう?でも、絡斗君はいろんな他種族と関わっているからね。ちょっと気になってるんだよ。」

学校では魔物が俺たち、「人族」を脅かす最大の敵と言われている。また、他種族はコミュニケーションが取れない存在だから、迂闊に関わってはいけないとまで言われている。


「…そうだな。俺にとっての敵は、魔物と、悪いやつかな。」


「かっこつけなくていいんだよ?」

「別にかっこつけたわけじゃねえ!」

つい、大声で反射的に答えてしまった。

「ふふっ。それで、絡斗君の言う悪いやつってのは?」


「来菜に危害を加えた神とか…後は、『星ノ使徒』の一部かな。」

俺はあえて、結乃を強く見た。

「…そんなに見つめないでくれ。照れるじゃない。」

「……」

「ゴホン。で、一部って付け加えたのは?」

冗談と言わんばかりに、咳払いをして話を戻した。

「…話によると、星ノ使徒ってのは『十二星神』の意志を引き継ぎ、この世を征服しようと考えているらしいな。だが…お前は違うと…思う。」

「ふむふむ、なるほど。」

結乃が俺の話をまるで、聞き入るかのように頷いてみせる。

「他の、『星ノ使徒』も話が通じるやつがいるんじゃないかと思うんだ。そういうやつとは…なるべく仲良くやりたい。」

と、俺はそう言った。

「そうじゃない者とは?」

「残念だが、許せない。…倒すべき存在となるだろうな。」


「良い話が聞けたよ。私もなるべく絡斗君と同じ相手を敵として見るようにするよ。」


「それは助かるな。あと、目前で言えば、敵と言えるのはカルマと来菜を襲った神の2人になるな。」

名前だけでも早く知りたいものだ。



「ユノ様、エル様たちがやってきました。」

と、そんな話をしていると、レナさんから皆が来たとの知らせがやってきた。






「よし、今日も神探しと行くか。」

エル、七香、ラプラスさんがやって来たことで全員が集まった。……

「あれ?そういえばミルは?」

朝からミルの姿を見ていないな。

「ミル様ならまだ寝ています。起こしますか?」

と、レナさんがそう言ってくる。

「んー、皆で一緒に行動して探すのも効率悪いしな。」

「手分けする?」

七香が提案する。

「それは俺も考えたけど…神のセカイで少人数って、俺たち危なくないか?」

「あー。確かに。」


「だったら、こうしよう。」

と、結乃が人差し指を立てながら皆を見て、言い出した。

「神のセカイで神と同等の力を持っているものが一緒に行動すればいいじゃない?」

「神と同等の力?」

「そう…まず、ラプラスとエルで行動してもらう。それと、私と絡斗君と七香ちゃんの3人で行動の2ペアを作るのはどうだい?」

さりげなく自分は神と同等の力を持っていると言っているようなものだな。

「なるほど、それは別に良いと思うよ。」

エルはその意見に肯定のようだ。

「エルが良いって言うなら大丈夫だろ。」

「あまりボクを過信しないでほしいけどね。」


「で、レナさんとミルは?」

「レナはミルが起きてから2人で行動してくれ。もちろん、ここの立ち入りを禁止して出るようにね。」

「かしこまりました。」

丁寧なお辞儀の動作で、レナさんが命令を聞く。

「…連絡の手段はどうする?」

七香がそんなことを言ってきた。

「そうだな。」

エルはRineをしてないし、おそらくレナさんとラプラスさんもしてないだろう。と、なると…

「なら、《スピーカ》で連絡するか。」

《スピーカ》とは、「思念魔法」の1つで、対象者(複数も可能)とある程度遠く離れていても思念で会話できる魔法のことだ。


「いや、《スピーカ》より、《コンタクト》の方が良いと思うよ。」

と、結乃からアドバイスが。

「そうなのか?」

「仮にもここは神のセカイだよ。「思念魔法」を盗聴できる者は圧倒的に多いだろう。リスクは減らした方がいい。」


確かに、この世には「思念魔法」を盗聴する「操作魔法」が存在する。それに、盗聴は格下相手でないと、中々難しいが、神からすれば俺たちは格下同然だ。

それとは違い、《コンタクト》は「魔法網」と呼ばれる、体内の魔法を生み出す器官と実際の自分の肉体とを繋ぐ線のようなものを対象者と擬似的に繋ぎ合わせる魔法だ。

これにより、格上から盗聴されにくくなる。この《コンタクト》と言う魔法は、「思念魔法」の中でも他者に傍聴されにくい部類だが、対象者と「魔法網」を繋ぐという、お互いがそこそこの実力者で、尚且つ、仲の良い者とでないと使えないのが欠点だった。


「…エル、《コンタクト》で良いか?」

流石に、まだ関係が深まっていないラプラスさんだと嫌がられるかもしれないと思い、俺はエルに聞いた。

「ああ、構わないよ。」

俺は了承を得て、俺とエルとで《コンタクト》を発動した。


「それなら、レナは私と《コンタクト》をしよう。」

「分かりました。」

と、一方で結乃とレナさんも《コンタクト》を発動した。


「それじゃあ、夕刻5時頃、一度ここに戻ってくると言う事で大丈夫か?」

「問題ありません。」

「大丈夫よ〜。」


「よし、それじゃあカルマと来菜を襲った神のことについて、手がかりを徹底的に探すぞ。」

俺たちは、それぞれ別の場所へと散っていったのだ。






「にしても、どこから探すの?」

開始早々、七香からそんなことを聞かれた。

「そりゃあ、まあ、手当り次第?」

「あー、ゴリ押しね。」

俺の答えには期待してなかったとばかりに軽く流された。

「まず、カルマより、来菜を襲った神の名前が気になるね。」

「確かに。その、事実を書き換えるって相当おかしな『異能』よね。」

七香が言いながらため息を吐く。

「流石にデメリットついてるのかな〜?」

「何かしらの代償がありそうなもんだよな。」

そうじゃなきゃ理不尽すぎるぞ。

「聞き込みしても意味がないだろうしね。どうしようか。」



ーーー数分後。

「ここのお店の飲み物美味しいね。」

「ホントだ。こういう所も凝ってるんだね〜。」

「……」

すでに、2人ともあきらめムードに入っている。

すると、

「ねえねえ、知ってる?」

ふと、神使(かみつかい)の女性同士の会話が耳に入った。


「どうしたの?」

「最近、神が死んだらしいじゃん?」

「え、まじ?」

「まじまじ。それで、なんか私たち神使の中から神が選ばれる、選神戦(せんしんせん)があるんだって!」

「うっそ!?それはやばいわ!早く修行してなれるようにがんばんないとね!」

「うん!」


「選神戦?」

「どうしたの?」

ふと、声を漏らすと、七香が不思議そうにこちらを見てくる。

「いや、さっきそこにいた神使が選神戦とかって話をしてたんだ。」

「なにそれ?」

「選神戦?…ああ、神が死んだからか。」

「結乃ちゃん、選神戦って何?」

「ん?選神戦ってのは、神使の中から1位を決めて、その神使を正式な神に昇格させる手段の1つだよ。急いで神の座を埋めるときによく行われるんだ。」

「へぇ。」

そんなことがあったのか。

何かヒントになるかと思ったが、あまり関係なさそうだな。


「…その選神戦が行われる場所に行ってみよう。」

ふと何か考えた素振りを見せ、良い案が思いつたかのように結乃がそう言ってきた。

「え?…関係あるのか?」

「選神戦で運営を行う神は、基本的に古神が多いんだ。古神は古くから存在してるから知識が豊富だ。何か手がかりが見つかるかもしれないぞ。」

確かに。結乃の言う通り、そこに向かうのが良さそうだ。


「よし、行ってみるか。」


そう言って、早速と選神戦の会場へ向かい歩き出したのだ。

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