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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第十一話 敵と仲間は紙一重

「率直に言おう。まず…ラクト君の妹だが、この『セカイ』には居ない。」


「!!じゃあどこに!」

「落ち着いて絡斗。」

ユノによると、俺の「双子の妹」はここにいないと。分かってはいた。最後に見たのが、『レッドセカイ』だったのだから。

だが、その『レッドセカイ』は消滅した。だが、妹は生きてる。つまりは、

「移動した?…意識があるのか。」

「そうだよ。ちゃんと目覚めている。それに、君の事も忘れてはいないさ。」

「…!!」

それはとても良かった。もし忘れられていたと思うとゾッとする。

「で、どこの『セカイ』にいる?」

俺は落ち着きを取り戻し、冷静にユノの話に耳を傾ける。七香も、今は口を挟むべきではないと分かっており、黙って聞いている。


「…『ドラードセカイ』にいる。」


「「っ!!?」」

『ドラードセカイ』…そこはーーー

「2日前に、行った場所!?」

「まさかあそこにいたなんて…」


「おや?2人とも行ったことがあったの?」

ユノが俺たちの反応を見てそう聞いてくる。

「ああ。俺たちを襲った人物を聞きにな。」

「ちょ、言っちゃっていいの?」

「構わないだろう。」

確かに、ユノの目的が分からない以上迂闊(うかつ)に変なことは言えないが…問題ないだろう。


「君たちを襲ったって…ノステアのこと?」

「「!!」」

ユノの返事に俺たちは驚く。俺を襲った人物がノステアだとは言っていない。

「なぜ知ってるんだ?」

「その事も教えてあげるよ。それは、ノステアを殺したからね。」

「え?」

「…!!」


確かに、ラプラスさんの説明だと、ノステアは神ではない者に殺されたと言っていたが。

「まさか、ユノが殺したのか。」

「ああ、いや、違うぞ?私じゃなく、私の傍付きに命令して殺させたんだよ。」

「殺させた?なんで、自分じゃなく…」

「相性というのもあるからね。それに、私はそのとき別用があったから。」

傍付きが神を殺したとなると、かなり実力がある者だな。

「なんで殺したんだ?」

俺はその傍付きの事には触れず、別の観点で質問をする。

「…それは後で言うよ。」


おい、もったいぶんなよ。教えてくれるんじゃないのか。

「…まぁいいや。とりあえず次の目的はまた『ドラードセカイ』ということか。」

短い期間で再び赴くことになるとは…

「…ユノも一緒に来てくれるか?」

「え!?」

俺の言葉に七香が驚いているが無視しよう。

「今ここで詳しく聞けばいいんじゃないの?わざわざ私を連れていく意味はないと思うけどね。」

ユノにもそう言われてしまう。だが、

「実際にお前は妹と会っているんだろう?誰かに拐われている場合の時、お前は顔見知りだから問題なくこと進むと思うんだが。」


万が一、誘拐や、捕縛されていた場合(もしあれば俺は理性を保てないかもだけど)顔見知りのユノがいれば危険性が低くなると考えた。

「思ったより、考えているんだね。」

「そりゃあ、俺の妹がかかってるからな。」

「ねぇ、絡斗の妹の名前って…」

ふと、七香が気になったと俺に質問してくる。

「…もし名前が分かれば思い出す可能性もあるかも。」

「なるほど、確かにな。俺の妹は来菜(らいな)だ。」

「来菜ちゃん…」

「どうだ?」

「…ごめん。やっぱり思い出せない。」

「そうか。」

皆が俺の妹を忘れてしまった原因も後で解明しないとな。


「…良いよ。私も一緒に行くとするよ。ただ、君の仲間さんたちに恨まれてると思うけど?」

「連れていくのはエルだけにするさ。それに、エルにはお前が星ノ使徒だとは内緒にする。いいな?」

「別に良いよ。後でバレた時がやばいけどね。」

確かに、その時はしっかりと説明するか。






「…他に聞くことは『使命』のことだっけ?」

妹の話に結論が出た後、ユノが別の話題に切りかえた。

「ああ。あと、プルートが言ってた『星ノ書』ってやつも聞いていいか?」

本来、ユノを見つけた際には妹の居場所を教えてくれるという約束だけだった。だが、流れで他のことも聞き出せる状況で野暮なことは言わない。聞けるなら聞いた方が得だからな。


「…別にいいよ。たぶん、もうラクト君の仲間を敵対することはないだろうから。」

「…ん?どういうことだ?」

なにか意味ありげな言葉を言い放ったが、

「『星ノ書』というのは、私たち『星ノ使徒』に与えられた私たちの役目が書かれている本のことさ。」

俺の質問は流されてしまう。俺も今無理に聞きたい内容ではないので一旦忘れよう。

「そんな物があるのか…」

「ああ。その『星ノ書』に書かれている内容を、私たちは『使命』と呼ぶのさ。」


おそらく、その『星ノ書』通りに行動すれば、その者にとって最善の未来になるのだろうな。プルートも『使命』に従って行動するみたいなことを言っていたしな。

「まぁ、私はその『使命』を果たすつもりはないけどね。」

「そうなのか…」

「まるで反抗期ね。」

七香が変なことを言ったが…とりあえず、ユノは『使命』通りに動くのではなく、自分の意思で行動すると言った。先程の意味ありげな言葉もそういうことなのか?


「ここら辺で良いだろう?いつ『ドラードセカイ』に行くかは後で言ってよ。」

もう話すことはないだろうとユノが切り上げようとするが、

「あ、待って。」

七香がストップの声をかけた。

「ちょっと気になってたんだけど、絡斗が言ってたユノの髪と今の黒瀬さんの髪が違くない?ウィッグだったの?」

七香がそんなことを聞いた。確かに、俺も少し気になったが…

「ん?ああ、これはただ髪を後ろで一つ縛りにしてたんだよ。」

そう言って、手でやってみせる。確かに、ここにロングコート、フードを被ればショートカットに見えるな。

「色も黒髪だったって言ってたけど…」

「え?うーん…それは影でそう見えたんじゃない?」

フードを被っていれば影ができるからな。確かに、納得のいく部分だ。


「もしかして、私に本当に星ノ使徒かどうか証明しろってことなの?」

七香に対してユノはそう言った。

「え?…いや、違うよ!?やめてね!?」

今ここで力を出されたら困るからな。

「ふふっ、やんないから安心してよ。仲良くしようね、七香ちゃん。」

「う、うん。よろしくね?」

ぎこちないが、2人は握手を交わした。






泉エリアから3人で教室に向かう途中。

「そういえば、お前はプルートを知ってたのか?」

俺はユノに聞いた。

「いや、知らない。…というより、あれは『十二星神』を引き継いではいないね。」

「え?どういうこと?」

七香が分からない、と首を傾げている。

「プルートが継承した星神はハデスと言っていただろう?」

「ああ、うん。言ってたね。」


「…ハデスは正式な『十二星神』とは呼ばれていないからか。」


「そうだよ。詳しいね、絡斗君は。」

「いろいろと書物を見るのが好きだからな。それで少しくらいなら知っている。」

つまり、プルートは星ノ使徒でも異例の存在なのだろうか?

「うーん。よく分かんないや。」

七香がよく分からないと言っているがこれ以上話しても意味が無いだろう。と、そうしている内に、教室に着いた。



すでに、教室には人はいなく、皆帰宅している。


「さすがに、今日は行かないよね?」

七香が聞いてくる。

「ああ。さすがに急すぎるからな。今日はやめておくか。」

俺も今日はやめとくと意見を言う。

「分かった。…だったら、絡斗君。Rineの交換をしようよ。」

「……絡斗君?」

おっといけない。いきなり過ぎて固まっていた。だって、ここまで結構な異世界シーンが多くあったからな。まさか、再び文明の利器がでてくるとは思いもしなかった。

「…いいぞ。」

とりあえず、ユノとRineを交換することに。


「とりあえず今は味方だと思って構わないからね?」

ユノがそう言ってくる。

「… 善処します。」

「七香ちゃん、交換しよー?」

「うん、いいわよ。」

七香はノリノリでユノとRineを交換する。

「切り替え早いな…」

「まあね。こういうところは思い切らないとこっちが疲れちゃうから。もし結乃ちゃんが敵になったらその時は容赦しないけど…」

「もう敵になるつもりはないから安心してくれ。」

「結乃ちゃんもこう言ってるしね。」

その思い切りができる七香は羨ましいなと思いつつ、俺もあまり気負わないようにと自分を落ち着かせる。

目の前に…つい少し前までは絶対に許せない心のない敵だと思っていたが…おそらく何かあるのだろう。そう言った事情を聞いてからでも遅くないな。


『………』


「…?」

なんだ。なんか、胸の奥が少し苦しいような。

「どうしたの?絡斗。」

俺が胸を抑える姿を見て七香が心配してくる。

「…いや、気のせいだと思う。」

「そう?ならいいけど。」

まだ心配はしてくれてはいる。が、今はもうさっきのような感覚はない。気のせいで間違えないだろう。


「あ、そうだ。絡斗君。これからは呼び方気をつけてね?」

「…あ、ごめん。黒瀬さんって呼ぶことにするよ。」

ここからは普通の異性の仲になる訳だからな。

「いや?名前呼びで良いよ。」

「え?ユノ?」

「違う違う。結乃ね?」

いやそれ文面に書き起こさないと分からない違い…ってか、かなり前にも同じ感覚があった気がする!

「お、おう。よろしくな?結乃。」

「よろしく!」

俺は改めて、ユノ…結乃と手を重ねたのだった。






その日、家に帰ったあとは結乃からRineが届いていた。


結乃『やっほ〜。私「転移魔法」使えないけど、そのエ

   ルってのが使えるの?』

絡斗『ああ。そうだ。行く日は今度の土曜日で大丈夫

   か?』

結乃『問題ないよ!七香ちゃんには私から言っておく

   ね。どこ集合?』

絡斗『学校の校門前にしとこう。俺の家だとお前に恨み

   を持ってるやつがいるからさ。』

結乃『了解。一応、あの日のことは謝るつもりだから後

   で紹介してね?』

絡斗『意外だな。お前が殺した人物の孫だぞ?』

結乃『うっ…それは許されないかもね。』

絡斗『だろうな。とりあえず土曜日な?』

結乃『了解。』


と、こんな感じで決まった。人は実際の会話とRineの会話は変わると言われているが、本当なんだな。


俺はそんなことを思いながら、土曜日まで平穏に過ごすことを決めた。


絡斗の妹については後ほど紹介します。

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