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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第九話 クラスメイトの正体

「ーーーそれにしてもよく気づいたよね。」

ユノは俺に質問をしてくる。

「…今この瞬間力を発揮したとかは?」

「いーや?ずっと隠してるよ。今もね。」

何故急に俺が今まで見抜けなかったユノの力を見れたのか?…なんとなく察した。

「…契約の力か?」

それをユノは聞き逃さず、面白いという風に頷き、

「…契約か。面白いことをしたんだね。それで、上級者の足元には踏み込めたのかな。」

感心したかのように笑っていた。

「…とりあえず、今は模擬戦闘中だ。終わったら、会えるな?」

「良いだろう。私を見つけることができたからね。約束は守るよ。」

これが終われば、ついに妹の居場所を聞き出せる。

だが…

「……」

この模擬戦闘はかなり苦戦するだろう。いや、負けるかもしれない。ユノの『異能』は不明だし、あの吐息も原理は分からないが危険である。


「安心しなよ。『異能』も『継承』も使わないさ。そもそも、この戦闘では『異能』は使われない前提ではないかい?」

「…確かにな。」

言われてみれば、『異能』に関して一切何も言われていない。俺たちがまだ『異能』が使えないと思っているのだろう。つまり、これからどこかのタイミングで『異能』の特訓をするのだろう。それまでは、使わない方がいいな。

「それと、魔法も手加減ありときた。…どっちが勝つかは分からないね。」

ユノは風属性の適性が 17 だったと聞いている。ユノも手加減をしている証拠だ。あまり、力は使えないだろうな。

「それじゃあ、行かせてもらう。」

ユノの合図で、俺たちの戦闘が始まる。






〜〜〜〜〜






「やっと始まったのね。」

始まって試合時間の半分近くもお互い動かないだなんて、

「何かを話していたのかな。」

何を話していたかは後で絡斗に聞くとしよう。

それにしても…

「…すごいわね。」

絡斗が手加減をしているとは言っても、一切押されず互角以上に戦っている黒瀬さんを素直に褒めていた。


「…意外と絡斗が押されてる?」

そんな風にも見えてきた。周りにいるクラスメイトたちは、「どっちが勝つんだろうな。」「男なんだから日向は負けたら駄目だろ〜。」「黒瀬さんって思ってたより強くない!?」など、様々な事を言っている。

もしかして、黒瀬さんも実力を隠してたり…?

「…そんなわけないか。」

変な妄想はここでやめておこう。今は絡斗の戦闘に集中しなきゃ。そう、集中しなきゃと言ったばかりなのに、

「…ん?」

何か、変な違和感を遠くの方に感じた。

それは、まるで、ーーーここ、上高…いや、もっと細かく言うならば、ここ泉エリアに何者かが近づいているようだった。

「気のせいかな?」

私はこれも、自分の勘違いじゃないかと気にも止めなかった。






〜〜〜〜〜






「《エアストーム》!!」

「…なに!?」

こいつ、躊躇(ちゅうちょ)もなく中級の中でも強力な魔法使いやがった!?手加減するんじゃねえのかよ…って、そんなことより!

「《インフェルノ》!!」

攻撃魔法に攻撃魔法で対抗する。爆音と共に、互いの魔法が衝突するがーーー…

「くっーー!!」

さすがに魔法の元威力が違うのもあり、俺の方が若干押される。そして、

「!!やべっ…」

ユノの魔法の威力が増し、俺の魔法を飲み込みながら向かってきた。

「ぐっーー!!?」

「直撃はしてないかぁ。」

俺は咄嗟に回避しようとするが、足元がまともにくらってしまい、俺はその場に倒れ込んだ。


「お前…手加減はどこいった…!?」

さすがにこんな魔法を連発でもすれば、実力がバレる可能性が高い。

「しっかり手加減してるさ。何か言われても、この土日ずっと《ウィンド》を極めていたとでも言えば納得されるギリギリの威力を狙ったがね。」

「……」

「そういう、絡斗君も同じようにギリギリの威力で魔法を行使した。…人のことは言えないね?」

ユノの言う通りだ。確かに、先生に疑われても、騙し通すことができる威力ではあった。…最後の衝突後の威力上昇…あれは見られてたら騙すのは難しいかもしれないけどな…


「長話のせいで、戦闘時間も残り僅かだ。…もっと楽しもうじゃないか。」

さすがユノだ。底が見えない。…今思えば、こいつは俺たちの明確な「敵」になってしまうんだな。同じクラスメイトとしては、少し寂しい気持ちも無くはないが…

…だが、先日やったことを思えば、ユノは許されてはいけないはずだ。


「《エアストーム》!!」

再び、ユノは容赦なく、中級魔法を放ってきた。






「まじつらっ!…《フレイム》!!」

「おっと…それは手を抜きすぎだ。」

「ぐっ!?」

これ以上の《インフェルノ》の連発はこの後に支障をきたすかもしれないと思い、ワンランクダウンした《フレイム》を使ったが、

「ッーーー!!?」

ユノの魔法の威力は衰えず、俺に直撃する。

…幸い、《エアストーム》の一つ下、《ブラスト》だったため、そこまでの致命傷にはなっていない。もちろん…

「小細工はありだがなっ…」

「面白い。それに、それを纏いながら戦うのも流石だよ。」

小細工…自身の体全体を《ヒート・ウェアー》で防御している。もちろん、言われれば火属性の「元素」を身に纏っているだけ、と誤魔化せるレベルでだが。


「ふふっ。これは一方的すぎるね。」

ユノは息一つ乱れていない。こちらとしても、「攻撃魔法」をいくつか放ってはいるが、それら全て躱されるか防がれるかで、まともに攻撃が当たっていない。


「…これはやばいな。」


このまま、時間経過で判定になれば、俺の負けは確実だ。それに、

「…こんなところでの決着は意味が無いからね。」

ユノの言う通り、ここで決着が着いても意味が無い。

だから、これ以上は適当に魔法を放ち、時間切れまで耐えるとするか。

「面白くない考えだが、別にそれでも良いだろう。」

俺の思っていることを読んでいるのか、ユノもまともに撃ち合うつもりはないと言ってくる。


「時間切れまで待つとするか…《ウィンド》!!」

「…《フレイム》!!」

俺たちは、互いに戦闘をしているように見せるため適当に魔法を放とうとーーー……


「ごめーん!ストップね!《ダウト》!!」


「…は?」

「…ん?」

俺とユノは互いに何が起きたのか分からなくなった。そして、数秒後、俺たちの間に上空から降りてくる一人の先生が。

「南先生?」

ほかの者と一緒に見ていたはずの南先生がやってくる。

というか、今の魔法…《ダウト》と言ったか?…まさか、「無属性」の魔法を?見た目とは違い本当の実力者なのか。と、それより…

「ストップって?」


「緊急事態よ!…魔物がやってきたの!!」


「「!!」」


魔物…今まで散々言われてきた俺たちの明確な敵。今まで見たこともなかったので信ぴょう性は薄かったが…

「とりあえず、皆のとこ戻るわよ!」

「南先生…皆置いてきたんですか?先生にあるまじき行為を…」

「そ、そんなことしてないわよっ!みんなの元には分身置いてきたわ!」

「…は?」

なんすかそれ。そんな魔法あっただろうか。


「あ、そっか。2人には言ってないから無理ないわね。私の『異能』よ。先生たちは『異能』とか使うのはあまり良くないって言われてるけど…これは仕方ないもんね!」


南先生の『異能』か。


「すごいですね、南先生の『異能』。」

ユノがそう南先生に言う。

「すごいでしょ?「影人(かげびと)」って言うのよ!…って、早く行くわよ!《リーヴ》!!」

そう言い、《リーヴ》と言う、自分含む5人以下を瞬時に転移する魔法を使った。






…そして、一瞬にして皆の元へ戻ってくる。そこには、

「これが、魔物!?」

魔物が10体ほどいた。他の生徒は実戦どころか、模擬戦闘もしたばっかりや、まだしてないものもいるためか、少し離れた位置に移動して身を守っている。

…今戦っているのは、南先生の『異能』でできた…(みなみ)人形と呼んでおこう。それと、七香が戦っている。

「七香!?」

「…!!絡斗!」

俺の声に気づき、こちらへやってくる。

「こんな事態じゃ、実力隠すも何も無いわ。…少し、手加減はしているけれど。」

一応、手を抜いてはいるか。だが、これだけでも戦い慣れていることが他の者にはバレるだろう。だが、それより皆を守る方が優先だ。

「ユノ…まさか、これはお前が?」

俺は小声でユノに聞く。

「いや…これは私ではないね。…手伝うよ。」


そうして、俺と七香とユノと南先生+南人形で魔物と戦うことに。




魔物の見た目は、それは生き物と呼べるものではなかった。…それでも何かに例えるとするなら…これは「キメラ」そのものだ。それに、一体一体が違う形をしている。元となった生き物が違うのだろうか?


「《フレイム》!!」

「ッッッーー!!??」

俺は目の前の魔物に集中し、魔法を放出。それは直撃し、魔物は倒れ込み、灰と化した。

魔物は普通の攻撃では倒せない。…魔力を溜め込む器が魔物はほぼないと言われている。そのため、そこそこの魔法や、魔法を纏った攻撃をすれば魔物を倒すことはできる。



そして、

「これで、終わりか?」

俺たちが魔物と戦い始めて約五分ほど、魔物は全ていなくなっていた。

「ありがとう、黒瀬さん、日向君、愛条さん。3人の成績上げとくね。」

…メタイな。皆はというと、

「「ありがとう!助かったよ〜!!」」

それぞれが素直に喜んでくれている。…後で何か言われるだろうから覚悟はしておかないとな。


「…ラクト君。」

「ん?…っーーー!!?」

一段落がついた…と、思った矢先、いつのまにか俺たちのすぐ目の前に一人の少女らしき人物が立っている。

「え…あれって…」

七香もそれに気づき驚きを隠さない。もちろん、その後皆も気づき、恐怖へと変わっていく。


そこにいた人物は、誰が見ても一目で分かる見た目ーーー…

魔族だった。

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