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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第七話 契約

ーーー目の前には、今まで幾度と聞いてきた、『世を統べる女神』アランが存在していた。


「本当に、アランなのか?」

今でも信じられないと、俺は疑いの言葉をかける。

「…本当さ、何故そんなに信じないんだい?悲しくなるぞ?」

「いや、だって…つまり、ここは死後の世界…なのか?」

俺は上手くまとまらない思考の中、一つの結論にたどり着く。


「…へ?」

「え?違うのか?」

「逆に聞くが…なぜそう思うんだ。」

アランには馬鹿な人を見る目で見られてしまった。

「いや、アランは『十二星神』を滅ぼすために…」

「命と引き換えに滅ぼしたと?そういう伝承なのかい?」

「確か…そのはずだったような…」

ウノさんから聞いた時もそんな感じだったような違うような…

「もしその伝承を信じていたのなら申し訳ないが、この通り生きてはいるのだよ。」

つまり、アランは命をかけて滅ぼしたのではないということだ。

「じゃあ、どうやって?」

「ボクの存在をかけたんだよ。そうでもしないと倒しきれなかったからね…」

そうアランが言った。

「存在…?」

「そうさ。だから今こうして何もないこの空間にしか居られない状態となっているんだよ。」

なるほどなぁ。半分死んでいるようなものか。

「それで、俺をここに呼んだのはアランが?」

「そうさ。あの神像に近づいたものに対してだけ、コンタクトが取れるんだよ。それで…君を呼んだのさ。」

「何の目的なんだ?」

それに…最初の言葉も気になる。

『君にとっては初めまして』…か。まるでアランは俺のことを知っているかのような口ぶりだ。



「…君にはボクの復活を手伝って欲しいんだ。」

「え?」

なんとも驚きの発言だな。

「今、世界を隔てるために創った『セカイ』。だが、それのせいで憎しみや悲しみを多く生んでしまっている。」

「……」

確かに、俺の目の前で一つ消えたわけだしな。

「そして、その『セカイ』を悪用しようとしているのが、星ノ使徒たちだ。」

「星ノ使徒の目的をアランは知っているのか?」

「なんとなくはね。確か、『十二星神』の復活…それと同時に世界の征服が狙いだったはずだよ。」

「…それでアランの復活か…」

「再び『十二星神』がこの世に蘇ってしまえば、それらを倒すことができるものはいない。たちまち、世界は今以上に滅んでしまうだろう。」


そうならないためにも、アランが食い止めるということか。

「…それ以前の、『十二星神』の復活を阻止すればいいんじゃないのか?星ノ使徒だけじゃ、征服はできないように思える。」

それでも、『セカイ』は消されてしまうかもしれない。被害を止めるためにもアランが復活させるには大賛成だが。


「…そこでだ。ボクの復活のお手伝いのお礼として、君の力になろう。今より強くなれば、星ノ使徒と互角以上に戦える。『セカイ』が消されるのを阻止してほしい。」

なんとも良い提案だ。今以上に強くなれば、二度と悲劇は繰り返されないかもしれない。

それに、アランが復活すれば、『セカイ』は守られる。ーーー平和がやってきて、俺は、自分の妹探しだけに集中できるかもしれない。

「それで、俺の力になるっていうのは、具体的には?」

俺がそう聞き返すと、まるで俺がこの話に肯定的になると予想していたかのように、口元を緩ませ、



「ーーーボクと…『契約』をしないか?」






「契約…か。」

その言葉を聞くのは初めて…ではない。つい先日、フレイヤと七香から「契約」のことについて、詳しく聞いていた。フレイヤもカラスみたいな「精霊」と契約しているしな。

ーーー確か「契約」というのは、主と従の関係となることらしい。主に対して、従がその力を貸し与えることが主な契約の内容らしい。他にも詳しくあるみたいだが、ややこしくなるからとこの先は七香たちから聞いていなかった。

「契約の、主は分かっているかい?」

アランからそう問われた。

「…主と従の関係になるということくらいは…」

「それで充分だ。…もちろん、ボクが力を貸し与えるから主となるのはラクト君だ。」

基本的に、「契約」には対してデメリットというのがないらしいな。

「…契約の解除は主しか行えない。ボクが一方的に君を裏切るという心配はいらないよ。」

俺の懸念していたことを見透かしたかのように、付け加えて説明してくる。

なるほど、確かに悪いことは無いな。ただ、

「…終わったらちゃんと元の場所に帰らせてくれるよな?」

その事だけが心配だった。

「大丈夫さ。長居はさせないよ。」

「…そうか。分かった、お互いに裏切りはなしだぜ?」

「ふふ。もちろん、悪と正義はしっかりと区別されているさ。」

そして、俺たちは互いに手をかざしーーー、


「ーーーここに、契約を交わす。」


俺とアランは「契約」を結んだのだった。






「っーー…ここ、は?」

「あ!絡斗!!」

不意に声が聞こえて振り向くと、七香が走ってやってきた。

「良かった…どこへ行ったのさ?」

「ああ…その話の前に、皆は?」

「そこで一旦休んでいるよ。」

そう言われ、近くの休憩スペースらしきとこへ向かっていった。


あの後、しっかりと元の神像の目の前まで戻してくれた。また神像に触れようとすれば呼んでくれるのだろうか?そのことを聞き忘れたことが、少し後悔している。


「ラクト君。どうだったんだい?」

エルからそう言われ、ミル、ラプラスさん、七香、エルに先程の出来事を簡潔に伝えたのだ。




「…つくづく君はすごいものだ。」

「あんたってホントに人間だっけ。」

「羨ましいですわぁ。私もアランとは会ってみたいのに〜。」

「やるじゃないかラクトよ。やはりお前は面白いな!」

四人全員から、それぞれの感想をもらう。

「まぁ、いいわ。あんた強くなったの?」

「…まだ実感はないな。てか、「弱化魔法」が解かれてないんだが。」

中途半端なやつだな。強化してくれるなら、ついでにデバフを解除してくれてもいいじゃねえか。…次あったら例え神だとしても文句を言ってやる。


「とりあえず、ここへ来た収穫はあったということかな。」

「そうだな。…戻るとするか?」

名残惜しいが、俺たちは元いた『セカイ』に戻らなくてはいけないしな。

「それじゃあまたね、エル。また何かあったら頼ってよぉ?」

「分かった。また、遊びに来るとするさ。」

ラプラスさんと別れを告げ、ミルは…

「…面白そうだな。ミルもついていくぞ。」

「…は?」

俺たち全員は何を言っているんだ?状態となる。

「ミルも暇だったしな。別に構わぬだろ?」

なんて楽観視してやがる。

「また、絡斗の家に居候が増える…」

「やっぱり連れてくとしたら俺の家なんだな…」

今更何も言うまい。ついてくるというならついてこさせればいいものだ。

「構わないよな?」

エルに同意を求める。

「ボクに言われても…君の家の事情なんだから君が決めて構わないさ。」

と、言うことなのでラプラスさんに一時の別れを告げ、ミルも連れて俺たちはこの『セカイ』を去っていった。






ーーーそして、戻ってきたあと、七香は家に帰り俺らも家の中へと入り一日を過ごした。日曜日も何事もなく過ぎ、月曜日に。


「本日からは、実戦向けの練習をしたいと思う。」

二時間目、幸崎先生がそう皆に伝えた。

今いるのは、教室でもなく校庭でもない。

俺と七香は一度足を踏み込んでいるーーー森林エリアの中心にいる。


「この土日、自主練習を宿題にしたのでやってきているはずだ。まずは、今の適性値を測らせてもらう。番号順に手早く行っていくぞ。」

そう言われ、順番に幸崎先生の元へ向かっていく。



「ーーーよし。それでは、これから実戦向けということで、クラス内で一対一の模擬戦闘をしてもらう。」

その瞬間、皆がざわめき始めた。

「もちろん、なるべく、力の近いもの同士を組まさせてもらう。」

そのために、先程適性値を測ったのだろう。

「いきなり、模擬戦闘だなんて驚いたよ。」

雄二が俺にそう言ってくる。そんな雄二は適性値 22 とかなり鍛錬したのだろう。さらには、「風属性」の他に「土属性」を習得し、適性値を 9 まで上げている。中々強くなるかもな。


「場所は、3箇所。ここ森林エリアと渓谷エリア、泉エリアで行う。1箇所には10人。今から別れてもらう。次の映像を見てから移動するように。」

そう言い、幸崎先生は目の前に魔法でモニターのようなものを映し出す。

「絡斗君、あれは?」

隣にいる雄二が聞いてくる。

「あれは《サーチ》だな。」

「視認魔法」の一つだ。おそらく手に持っている紙に書かれているものを《サーチ》によって拡大して俺たちに見せているのだろう。

全員の名前とそれぞれの行くべきエリアが書かれている。

俺は、泉エリアだった。

「僕は渓谷エリアだってさ。」

雄二がそう言ってきた。おそらく渓谷エリアに行くのがこのクラスで上の人たちだろうな。俺は今回の適性値を 18 に設定しておいたのて中くらいだろうな。ちなみに、七香も俺と同じ泉エリアだった。

「各エリアにそれぞれ先生がいる。我々は今回の授業内容を共通認識しているので、エリアに行ったところの先生の指示に従うように。ここ森林エリアは私が見ることになっている。」

とりあえず、皆も移動を始めているので俺も動こうとしよう。



「よっ。」

七香が先に来ていた。

「俺らは中くらいってことかな?」

「そうじゃない?渓谷エリアは結構キツイからね。」

そんな話をしていると、

「はーい。注目〜。ここの担当は私、(みなみ)寧音(ねおん)ちゃん先生が担当よ〜。」

「「……」」

なんとも残念だが…ハズレな先生だな。

男子共は何故か皆嬉しそうにしている。

「はいはーい。時間もないから早速行くよー。2人ずつ戦闘します。10分経過か、敗北宣言、またはこっちの判断により戦闘を終了しますからね〜。」

この模擬戦闘のルール説明をしている。


「それじゃあ、早速…1番目は愛条(あいじょう)さん対倉木(くらき)さんね。こっちにいらっしゃ〜い。」

「んじゃ行ってくるよ。」

「おう。」


模擬戦闘がついに始まった。


登場人物紹介です。


(みなみ)寧音(ねおん)

26歳で誕生日は12月2日、血液型はO型。『異能』は不明。天然で、少し子供らしい素顔が見え隠れしている。というか、ほとんど子供みたいな先生である。こう見えて、スタイルは良く、胸もあり、魔法の実力はピカイチである。



追記

途中、絡斗がアランに星ノ使徒の目的を知っているかとのことを聞いたが、それはアランが現実に干渉する術がなく、現状を知らないのではと思ったからです。

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