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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第五話 古神

ーーー『シボラセカイ』。そこは、まるで幻想の世界にでもいるかのような錯覚を味わう。街の中の造り一つ一つが神秘的で、まるで、触れてはいけないかのようにその光沢感に溢れている。


「神とは一概に言っても、種類があるんだぞ。」

「そういうのは俺たち人間と似ているものなのか。」


そんな神秘的な街を隣にいる神ーーーミルに案内されながら歩いていく。俺が仲間とはぐれたということを聞き、その仲間探しを一緒にしてくれるとのこと。そして、そのついでにここ『シボラセカイ』について聞いている真っ(ただ)中である。


古神(こしん)未神(みしん)って知っておるか?」

「詳しくは知らないが、なんとなくは…」

「まぁ、古神と未神の区別はアランの崩壊前かその後で分けられているな。」

「アランの崩壊…?」

『レッドセカイ』へ行った時、ウノさんからも聞いたアランの存在。

「アランが『十二星神』を滅ぼしたのは有名だろ?」

「ああ。それなら知っている。」

『星ノ使徒』の元となっている『十二星神』。その話もウノさんから聞いている。


「そのときの影響でついでに、世界の八割が崩壊しているんだよ。」

「……」

何も言えない。もはや、アランが世界を壊しているではないか。

「そんときに、世界が創りなおされた時に、新しく神が生まれたんだよ。そいつが未神の始祖ってやつだな。…ちなみに、古神の始祖はアランだぞ。」

つまりは、今存在している古神はその崩壊に巻き込まれずに生き延びてきたということか。…そんな化け物とは会いたくないな。と、周りを見て回って気になることが…

「神にも子供のときってあるんだな…」

「ああ、あるぞ。でもそいつらはまともに力を使えないぞ。」

「そうなのか?」

「神が子供のときは、神使(かみつかい)って言われているな。」

「なるほど。」

神とこうして話したことは初めてだが、ミルは意外と人当たりがいいな。すぐに仲良くなれそうだ。





それからしばらく、ある程度の範囲を探したがエルも七香も見つからなかった。

「うーん…どこへ行ったんだ。」

「これだけ探しても見つからないなら、この『セカイ』にはいないかもな…はぁ、疲れた。」

これはまずいな。危険な目にあっていなければいいのだが…

「それじゃあ、あれだ。ラプラスはいるか?」

「ラプラス…?誰だそれは。」

「えっ?」

本気で分からないという顔をしている。

「同じ神の…ラプラスってやつがいるはずなんだけど。」

「聞いたことないな。…少なくとも、この『セカイ』にはいないと思うぞ。」

それは衝撃発言だった。…もしかしたら、転移が成功したのは俺ではなく、七香たちのほうなのか?なぜ俺だけ違う『セカイ』に来てしまったのか。

「これは…?」

ふと、この『シボラセカイ』では珍しい、錆びた神像のような者がそびえ立っていた。

「ああ、これは「アランの神像」だよ。アランが最後に力を使ったのがこの地だったらしくてな…ここに飾られているんだよ。」

「なるほど。」

それにしても、この神像からは何か妙な力を感じるな。

まぁ、今は気にもする必要などないけど…


「こうなったら、隣の『セカイ』へ行くか。」

「隣?」

「ああ。神が住む『セカイ』の中で、ここは端っこに位置してはいるんだが…歩いていけるほど近くにもう一つ『セカイ』があるんだよ。」

「そうなのか。」

ますます、『セカイ』の規模感が分からなくなってくる。『ニホン』…というより『ヒュームセカイ』と『リュームセカイ』が特別大きすぎるのかもしれないな。


「よし、行ってみるか。」

考えても意味がないと、俺はすぐに行動に移す。






「ここが違う『セカイ』か…」

見た感じ、『シボラセカイ』と似てはいるものの、その根本は違く、全くの別物と言っていい場所だ。

「ここは『ドラードセカイ』と言うぞ。」


「おい…」

「っ!?」

背後…いや、真上から声をかけられ上を見上げると、


「…何の用だ?」

上から降ってきて、目の前に着地した謎の人物。


「うげっ…そういやここはお前がいたなぁ…」

隣のミルからは嫌なものを見る目をしている。知り合いなのだろう。


「なんで、ニンゲンが…って、なんだなんだ。居眠り野郎と一緒かよ。」

こちらを見るなり、何か言いたげな顔をしていたが、さらに俺の隣を見ると、顔色が一転、好奇なものを見る目となっていた。


「お前こそ、まだのこのこと生きていたんだな。」

「はっ、神様ってのは長生きだからな。」

会うなり、お互いに挑発をかましている。

「えっと…」

「まぁ、仮にも神と一緒にいるニンゲンだ。下手な態度は取らねえよ。」

俺を認めてくれたのか、先程より穏やかとなっている。

「自己紹介がまだだったなぁ。」

その…男は大きな威圧感のある声で名乗る。

「俺は『戦争と死の神』オーディンだ。よろしくな!」




そいつはオーディンと名乗った。その名前は俺も知っている。…つまるところ、当然古神ということだ。こんなすぐに会うこととなるとは。

それにしても、俺が知っているオーディンは白髪の老人という姿をしていると書物に書いてあったが…


「オーディン…さん?」


目の前の男は、バリバリ青年の格好をしており、髪も紺色だ。

「…また秘薬飲んだのか…」

「別に悪くねえだろうよ。」

ミルがそんな姿のオーディンに呆れるように言った。

「秘薬って…?」

「飲めば若返る薬だよ。身も心も全てがね。」

そんなヤバいものがあるのか。何でもありだなこの世界は。


「で、居眠り野郎よ。何しに来たんだ?…ヤる気になったか?」

「誰が生に縋りつくジジイとやらなきゃいけないんだよ、気持ち悪い。」

なんだか、徐々にヒートアップしてる気が。


「だったら、無理やりその気にさせてやろう。…「フギン」!!」

そう叫ぶと、どこからともなく謎のワタリガラスが飛んでくる。そして、ミル目掛けて突っ込んできた!


「まじかよ!?」

俺は咄嗟にミルから遠くへ離れる。おそらく、二人の戦いが始まるのだろうか。巻き込まれたくないと思い、俺は遠くから見守ることに。

「ミルーー!!」

俺はミルの身を案じ、そう叫んだ。


「安心しろ、ラクトよ。こんな老いぼれに負けることは無いぞ。」

ミルは突っ込んでくるフギンを直前で躱す。無駄のない、完璧な動作で攻撃を避けた。


だが、そこへ反対側から急接近していたオーディンが、

「喰らえーーー!!」

手に持っていた、槍のような武器でミルを突き刺した。


「ーーー!!!」


目の前の出来事に俺は驚いていた。俺たち、人間の戦いとは次元が違うもののように思える。

そしてーーー、


「…はぁ。ほんとつまらん女だな、居眠り野郎よ。」

「お前とは死んでも戦いたくはない。気持ち悪い。」


「ーー!?」

先程、突き刺され、背中まで貫通したはずの槍。その槍には、血が一滴もついておらず、また、ミルの体にはどこにも傷がない。

「また、『異能』頼りかよ。」

「そっちもカラス頼りではないか。そもそも、この『異能』のおかげでクソジジイ対策にもなっているからな。」

あれは、ミルの『異能』なのだろうか。

「これ以上やる気か?」

「いーや、すっかり魔が差しちまったよ。今日も諦めてやるよ。…で、ニンゲンよ、名前は?」

「絡斗…です。」

「ラクトか、なるほどな。まぁいい、ついてきな。何か用事があるんだろ?どっか適当に座れる場所探して、そこで話そうぜ。」

そう言い、オーディンが『セカイ』の中へと歩いていく。

「ラクト、行くぞ。」

「あ、ああ。なぁ、ミル…今のって…」

「ん?あぁ、別にラクトには隠す必要ないからな。特別に教えてやるぞ。」

そう言い、ミルがこちらを振り向いてきた。

「ミルの『異能』はな、「改竄(かいざん)」と言うんだぞ。」

「それは…」

「この『異能』は3つの力が使えるんだよ。「セーブ」、「ロード」、「コピー」だな。」

まるでゲームのような力だな。

「セーブで状態を保存する。ロードでその状態を読み込む。コピーでその状態を他に写す。ってな感じだな。」

「なるほど…」

…なんというか、あれだな。

「さっきのは元々、健康そのもののミルをセーブしておいて、刺されたあとその健康状態をロードしたということだ。あの槍の傷は気持ち悪い力があるからな。すぐに治さないといけないしな。」

…まるでゲームのようなチートだな。実質無敵なのか?

「まぁ、刺されたときは痛いぞ。」

ーーー痛いで済むんだもんなぁ…

槍の力というのも気になるが今は後回し。

「とりあえず、オーディンさんの後をついていくか。」


俺達も後を追って、『ドラードセカイ』の中へ入っていく。





ーーー俺は一通り、今の状況などを事細かく説明した。


「なるほどなぁ。そのラプラスってやつは知ってるぜ。」

「ほ、ほんとですか!?」

ついに、ラプラスの居場所が分かる。先にラプラスに会ってからエルと七香を探そう。

「悪いが、俺も用があるからな。ラプラスのいる場所までの道を書いてやるから、待ってろよ。」

そう言い、オーディンは何やら、紙とペンを取り出し書き始めた。


数分して、

「ほらよ、確かこれで合ってるはずだ。」

「ありがとうございます。」

俺は、その紙をオーディンから受け取った。

「そんじゃ、またどっかで会おうな。」

「はい!」

そうして、ほんの僅かな時間だけだったが、楽しく過ごせたオーディンと別れを告げ、俺とミルはその場を後にした。


「よし、ここがラプラスのいる場所か。」

少し歩き、俺とミルはついに目的の場所にたどり着く。

「緊張するな…」

「何してるんだラクトよ。開けるぞ?」

「ちょっ…!?心の準備が!」

とか、言っているうちにすでに中に入ってしまった。

「よし!」

俺もドアを勢いよく開ける。そして、そこはーーー、


「ちょっと!!それ何とかしてぇ〜〜!?」



中は、3人の人物が慌ただしく四方八方駆け回っており、ものすごく大きな物音を立てていたのだった。

オーディン

年齢は不明、誕生日不明、血液型不明。『異能』は不明。「神族」であり、二つ名は『戦争と死の神』。また古神である。ペットにワタリガラスの「フギン」と「ムニン」がいる。

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