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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第四話 私は神です

「ーーーフレイヤさんの兄ってのは…」

「フレイ…と言います。妖精王として、私たち「エルフ」だけでなく、他の妖精の中でもトップに立っていました。」

妖精…と一括りにしても、「獣人族」のネコ科みたいに妖精の中でもたくさんの種類が存在している。俺が知っているものは、エルフ、ドワーフ、ピクシーくらいだ。


「妖精王フレイ…か。」

確か、約3000年前…アランと呼ばれる神が統治していた頃の妖精王はオベロンと書物には書かれていた。それの直系なのかどうかは定かではないが妖精王が違う者となっているとは思いもしなかった。


「妖精族」は神や天使の次に長生きする存在として知られている。おそらく、そのオベロンも何者かに殺されたのかもしれない。

「フレイヤさんの兄の前の妖精王は知ってるか?」

「はい、兄さんの前はオベロンです。つい、10年くらい前に亡くなっており、兄さんに受け継がれました。」

意外と最近なのだな。


「それで、そのフレイ?って人が殺されたってのは…」

七香が横から質問をした。

「先日…兄さんの部屋を訪ねたのですが、返事がなく、何かあったのかと思いドアを壊して中に入ったのです。」

やる事に躊躇がないのだな…


「すると、一枚の手紙がありました。」

「その内容は?」

「『私は妖精王として生きていけない。次の王はフレイヤとする。また、妖精王改め妖精姫と呼ぶように。』と。」

なるほど。だが、

「これではまるで遺書じゃない?誰かに殺されたってのは…」

七香が最もな疑問を言う。なぜこの手紙だけで自殺ではなく他殺だと思ったのか。

「それは、この子の力です。」

そう言って、肩に止まっているカラスを指す。

「気になっていたけど…それってただのカラスなのか?」

「いえ…この子は「精霊」なんです。」

この短時間でまた新単語だよ。

「えっと、精霊ってのは?」

「え?絡斗知らないの?」

何故か七香は知っているようで不思議に見てくる。

「精霊というのは、この世に無数に存在しています。今この森の中にもたくさん精霊で溢れていますよ。」

俺のために説明してくれるが、生憎と精霊というのを感じない。

「やばいな。よく分からねえ。」

「…あんたは「精霊術」を習得してないものね。仕方ないか。」

「そう、なのですか?」

七香の納得にフレイヤさんが疑問がる。

「人間は「精霊術」を習得する必要性があまりないから。」

「そうなのですね…」


「精霊術」とは、簡単に精霊の力を借りて使う力のことだ。「精霊魔法」と呼ぶこともあるが、「魔法」の概念とは全く違うので区別するためにも「精霊術」と呼んでいる。


ちなみに、精霊は3つの段階に分かれているらしく、一番下の「下位精霊」は「精霊術」の基礎を身につけていないと自力では視認できないらしい。

フレイヤが連れているカラスのようなものは「上位精霊」という、「下位精霊」の1つ上の存在で、普通の者でも認識できるらしい。


「えっと、そのカラス?の力ってのは?」

「はい。簡単に言ってしまえば、ある空間の中の力を感じることができます。」

「…つまり?」

「え、えっと、指定した範囲内の、人物の力を把握できます。」

「なるほど〜。」

つまりその力で、俺たちの本当の力に気づき視線を送っていたのか。

「それで、殺されたっていう確信は?」

「はい、部屋の中をこの子の力で見ました。…私の知らない人物の力を確認したのです。」

なるほど、それで部屋の中にフレイ以外の何者かが侵入したということが分かったのか。


「カラスの力なのに、よく分かったな…」

「あ、それはね、精霊と契約していれば分かるものなのよ。」

「そうなのか?」

「うん。」

七香は意外とこのことについて詳しいらしいな。






ある程度、話を聞き内容を把握した。フレイヤさんの兄が殺され、そして昨日、おそらく同一人物らしき者が、今度はフレイヤを狙ってきたと。

「えっと、フレイヤさんって妖精姫ですよね?『セカイ』から出てきちゃっていいんですか?」

「そのことなら、私の、信頼できる人に言ってきてありますので、大丈夫かと…」

それなら心配はないだろう。

だが、他の心配がある。

「助けてほしいと言われても…今すぐには難しいかもな。」

かなり酷い発言かもしれないが、俺たちは俺たちの目的がある。それが終わるまで他に手をつけるのは難しいだろう。

「いえ、その事ならば…お手数かもしれませんが、家にしばらく泊めて頂くだけで構いません。」

…まじか。

「絡斗の家…人増えてくね。」

「すでに俺の家に泊めるのを確定事項にしないで!?…お前ん家は…」

「残念だけど、おばあちゃんがいるから。絡斗の家は一人暮らしで良かったね!」

「今や一人暮らしとは言えないけどな…」

また居候が増えました。

「えっ、と…どうなのでしょうか?」

「ああ、俺の家でいいならば問題ないですよ。」

そう言ってやると、嬉しそうな顔をしてくれた。

よく見ると、透き通った白がかった金髪ロングに、エルフの象徴である長く尖った耳や、宝石のように輝く金色の瞳…これこそが美少女と呼ばれる存在なのだろうか。


そんなことを思い浸っている俺を、何故か痛い視線で見てくる七香だが気にしないでおこう…


「…まぁ、とりあえず帰るとするか?」

俺はそんな七香に声をかける。

「そうね。一応、私たちのこともある程度話しちゃいな。あと明日忘れないでね。」

「了解。」

そうして、俺たちは学校を出て、家へと向かった。





〜〜〜〜〜





俺の家に着く前に言っておかなくてはいけないことがある。

「俺の家にだな…天使と獣人が住んでいるが…大丈夫か?」

「はい、大丈夫ですよ。…ずいぶんと賑やかなご家庭ですね。」

なんだか微笑ましいと思ったのか、にやにやしていやがる。

「そんなもんじゃないんだがな…」

そして、俺は玄関を開き家の中へと入っていく。



「おかえ…あれ?お客さん?」

カナデが出迎えてくれたが、隣の人物を見て疑問を抱いた。

「そのことなんだが、一応説明したいと思う。」

俺はそう言って、カナデ、フラン、エルを呼んで、フレイヤさんのことについて詳しく説明した。


「なるほど。…この間、ボクにいろんな種族に知人がいるのかと言ってきたが…ラクト君の方が増えるんじゃないか?」

「そう言うなよ。」

このままじゃ、下手したら全種族コンプリートになりそうで怖い。







「それじゃあラクトさんは…明日お出かけになるんですね。」

一通り、フレイヤさんのことを皆に説明したあと、今度は俺たちの状況や目的などをフレイヤさんに説明した。

「私も、何かお役に立てないか、協力致しますね。」

意外とフレイヤさんもノリノリであった。


「それにしても…私よりも幼いのに、私と同じ立場だなんて…お互い苦労しますね。」

「そうですね。私も色々大変なんですよ。」


妖精姫と(おさ)、お互いトップの立場でありながら『セカイ』を飛び出してきていることにどこか他人とは思えないのか、フランとフレイヤさんが思っていたより気が合いずっと話し込んでいた。



1週間の最後、ちょっとした出来事がありつつも、いつも通り平凡にその日を過ごした。そしてーーー、



「よし、準備はできてるぜ。」

俺は朝早く起き、荷物をまとめる。…と言っても荷物なんて大したものはないのだが。


「ラクトさん、お気をつけて。家は、私がなんとか守ってみせます!」

昨日よりかはだいぶ冷静になったのか、ずいぶんと心強いな。

おとなしいのかと思っていたけど…意外と無邪気だな…


「おっは〜。」

「お、来たか。」

七香が家にやってくる。

「それじゃあ、エル、行くぞ。」

「分かった。…《ワープゲート》。」

転移魔法の詠唱により、目の前が真っ白になり、やがてそこはーーー…







「…ここは…って。」

転移は成功した。のだろう。見慣れない景色が周りにはある。だが、

「嘘…だろ?」

ここに転移する予定は俺とエルと七香…

「2人がいない。」

そう、転移したのは俺一人だった。


「え…?」

理解が追いつかない。転移に成功したのなら、3人同じ場所にたどり着くはずだ。何か原因があるのだろうか?

…とりあえず2人を探しつつ、ここがどこなのか知らなくては…

「ーーーおい。」

「っー!!」

誰かに声をかけられた。俺は警戒しつつもそちらへ振り返る。すると、

「ーーーここに何の用だ?ニンゲンよ。」

そこには、獣耳を生やした、謎の少女がいた。





「えっと…?」

「お前は誰なんだみたいな顔だな。こっちのセリフなんだが。」

「お、俺は絡斗って言う。…言います。」

なぜだかこの少女には敬語を使わなくてはいけないと、俺の直感が囁いている。

「ふむ。ラクトと言うのか。私はミルだ。よろしくよ。」

こちらに手を差し出しながらそう答えた。

「よ、よろしく…お願いします。」

その手を俺は握り返す。

「面白いなラクトは。敬語は使わんで良いぞ。普通に話してくれ。」

「良いんです?」

「構わない。私には敬語を使わなくて良い。」

なかなかフレンドリーな人だな。

「えっと、それじゃあ…ミルさんって…」

「ミル、だ。」

「ミ、ミルって誰なんだ?」

「ミルだと言ってるだろ?」

いやそうじゃない。

「えっと、種族は?」

「…まさかここがどこかも知らず来たのか?」

「まぁ、そんなようなものだね…」

「ここは『シボラセカイ』。神の住む『セカイ』の一部だよ。」

エルの友達…ラプラスは「神族」と言っていた。つまり、転移は成功したのだろう。

「俺以外に人はいなかったか?」

「いないぞ?お前だけだったぞ。」

やはり、何か問題があるのだろうか。

「もしかして、はぐれたのか?」

「…そんなものだ。転移の失敗の可能性や何かしらの不都合が起きたのかも。」

「それなら、ミルが探すのを手伝ってやる。」

「ほ、本当か?」

「もちろんだ。」


そう言われ、俺はミルと一緒に行動することとなった。

フレイヤ

年齢は不明、誕生日不明、血液型不明。『異能』は不明。妖精姫の立場にあり、「妖精族」の中でも「エルフ」に属している。


ミル

年齢は不明、誕生日不明、血液型不明。『異能』は不明。「神族」であり、二つ名は『時の番神』。

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