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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第2章 『神の契約』
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第二話 属性魔法の適性値

ーーー私は昔から魔法の「水属性」に適性を持っていない。もちろん、過去に起きたある出来事のせいだ。


私の家庭はとにかく「水」による不幸が多すぎた。

…私の祖父は川に出かけた日、不運にも豪雨の影響で川が氾濫し、そのまま呑み込まれてしまった。

…私の父は水属性系統の能力者との戦いに敗れ命を落とした。

…私の母は父の戦いに巻き込まれかけ、逃げるように近くにあった川に飛び込んだという。だが、その川の表面全体を魔法で凍らせられたことにより、能力者ではなかった母は水面から上がれず溺死してしまった。


そして、その出来事の全てを私は自分の目で見ていた。


その場にいながらも助けることができなかった。

そんなことを思いながら、例の…『あの場所』へ通うこととなった。


それから、ある程度能力が使えるようになり、私も戦うことの出来る人間となったのだ。

ただ、ーーー唯一、「水属性」の適性が 0 だったことを除いて。


私はおそらく、あの日から「水」に対する苦手意識を持っていたのだろう。お風呂に入る時だって、ほんの少しの恐怖感を味わってしまう。

私の家は、私と祖母の二人暮し。一応何か起きても問題ないように細心の注意を払っている。…祖母によると、私の方が色々と心配な部分が多いらしい。

まぁ、何かあればすぐ近くに絡斗の家があるから問題ないだろう。


そういえば、私は昔から何かある事に絡斗に頼りっきりな部分がある。…なんでだろう。たぶん、私に足りないものがあるからかな。そうだよ、きっと、そう。

私は「水属性」の適性が無い。だけど、絡斗は「水属性」の適性が 80 あったはず。そう、だから、私に出来ないことは絡斗が出来ると思っているから絡斗を一番に頼っている。

もちろん、家が近いというのもあるだろう。これは、決して恋愛感情的なものでは無い。

「でも…」

そう、今の絡斗は治癒魔法が使えない。それはつまり、自分自身を守る手段の一つが使えないということと同じ。そんな絡斗を、私は守らなくてはいけないかもしれないのだ。

「ーーーいつかは、頼ってばっかりはいられないよな。」

私はそんなことを呟いていた。






〜〜〜〜〜






「絡斗君。…どうすればいいの?」

「…」

幸崎先生に属性魔法のやり方を説明され、言われた通り皆が思い思いに試している。俺と七香はすでにできるため、練習している素振りを見せながら雄二にやり方を教えている。…のだが、

「さっきから魔法をただ放出してるだけじゃん。」

七香の言う通り、雄二は魔法をただ放出しているだけ。

これでは、蛇口を全開にしている状態。水が強い勢いで流れ続けているようなものだ。

「雄二は…言われたことちゃんとやってるのか?」

「やっているはずだけど?」

先程、しっかりと説明+手本において魔法の放出の仕方を教えてもらったはず。というか、これくらいはほとんどの皆ができるはずなのだが…

「雄二ってこれまで魔法使ったことないっしょ?」

「もちろん。使う場面がないからね。」

七香の疑問に雄二は即肯定。

「仕方ない。いいか?…」


それから、10分程、魔法の放出の仕方を教える。






「ふぅ。ひとまず休憩したいな。」

「分かった。休憩するか。」

あれから、なんとか魔法の放出の適量というのを覚えた雄二。吸収速度は中々に早くて感心するなあ。

「…そうだ、二人の属性魔法を見せてよ。実際に見ればイメージが掴みやすいかも。」

「…確かにな。」

イメージというのは大事だからな。雄二の意見には賛成できる。

「そもそも雄二はまず、何の属性を使いたいの?それからじゃね?」

七香の言う通り、使いたいと思っている属性を俺たちが見せた方がよりイメージしやすいだろう。

「うーん…その前にさ、属性の適性値?ってやつはいつ分かるんだい?」

雄二がそんなことを聞いてきた。

「授業の最後とか、先生が測ってくれるんじゃないのか?もしくは自分から聞きに行くとか。」

「最初の頃は、属性の適性値ってのはいくつなんだい?」

「 0 だぞ。」

俺はそう答える。

「え?それって…使えないの?」

「違うよ。そこから、自分で努力して適性値を上げるのよ。」

七香から補足が入る。

「ちなみに最大値は?」

「 100 だ。%みたいなものだな。」

…ちなみに、この世に、7属性全ての適性値が 100 の存在がいるらしい。ちなみにそいつは『マギ』と呼ばれているみたいだが詳しくは知らない。


「僕は…そうだな。「水属性」が使えるようになってみたいね。」

「……」

「!!あ、えっと、なんでだ?」

「なんで?っていうのは理由が必要なの?」

雄二は知らない。だから、この発言には悪意はない。だが、それでも七香は反応してしまう。

「いや、理由とかがあれば、それを習得したいっていう強い思いがでるからだよ?そ、そう、本当に習得したいものを思い浮かべてみなよ。」

「…なるほど。確かにそうだね。絡斗君に言われた通り、実際のところは「風属性」が使ってみたいんだ。一度でいいから空を飛んでみたい。」

「お、おお!いい理由だと思うぞ。そうだな、まずは風を習得するか!」

なんとか誤魔化せたか?とりあえず、七香の反応を見る。

「…うん、そうだね。風は私より絡斗のほうが上手かな?」

なんとか大丈夫なようだ。そこはなんとか助かった。

「そうか?七香は風の適性は?」

「今は分かんないけど…先月くらいに測ったときは 59 かな?」

「絡斗君はどうなんだい?」

「俺は…前測ったときは 72 だな。」

「絡斗って、全部が平均より高いからなんかウザイよね。」

「急に罵倒すんなや。」

とりあえず、自分の右手に集中し、風属性の魔法を纏ってみせる。

「おお!!」

雄二はかなり興奮しているな。

「ちなみに、この状態は「元素」って言うんだ。ここから、色んな属性魔法に派生させるんだ。まずは、この元素を出す練習だな。」

魔法の基礎と言っても過言ではない属性魔法…ここから、「攻撃魔法」でも「転移魔法」でも…いろいろな応用ができるようになる。これができてようやく能力者と言って良いようなものだ。

「よおし、こっからは厳しくしていくよ〜!」

さっきのことも忘れ、意外と教える側の楽しみを知った七香がやる気宣言を言い出す。

「お、お手柔らかにね、愛条さん?」






「…では、ここで一度、全員の属性魔法の適性値を測ってみたいと思う。全く練習していない属性は 0 と表示される。最大値としては 100 となる。以下のことをふまえて一人ずつ、出席番号順に測定していくぞ。」


二時間目から四時間目までの基礎練習の中、三時間目の終わり際に先生がそう言った。

ここまでで、どのくらいかを見たいということか。

「これも手加減ね?」

「そうだな。」

もちろん、ここでも手加減をする。だが、他の者がどのくらい習得したのかを参考にしないと、変に注目を浴びることになるな。

「そういえば七香って出席番号は…」

「2番だよ。」

「あれ、てっきり1番かと。」

1番だったら周りを参考にはできない。俺はクラスの名前をあまり把握していないので、詳しく知らなかった。

ちなみに俺は26番だ。

「あ、次私のようね。」

「1番の子に聞いてから行った方がいいぞ。」

「りょー。」

軽く答え、1番の哀川(あいかわ)さんが戻ってきたタイミングで七香は測定場所へ向かった。


「この間も練習を怠るなよ?」

「分かってるさ。」

雄二も自分の番が来るまで練習に励んでいる。雄二は15番と、丁度真ん中の位置だな。




「ただいま。」

「おかえり。どれくらいの数値だ?」

七香が数分もかからず戻ってきた。

(みのり)ちゃんが適性値 6 って言ってたから私は 5 くらいにしておいたよ。ちなみに「火属性」にした。」

「ほぉー…」

……

「あ、実ちゃんは1番の子ね?」

「なるほど、そういう名前なのか。」

「名前…知らなかったのね。」

あまり…というか、話したことがないからな。

「でも、この短時間で 6 も適性値があるのは中々じゃないのか?」

「たぶん、そうだよね。」

すでに、複数人終わっているが、聞くに、まだ習得できず 0 だったという人や、 1 や、 2 くらいの人が多くいる。

「ちなみに、自分の習得したかもっていう属性をいくつ測定してもいいらしいよ。」

「とは言っても、まだ1つくらいが普通じゃないのか?」

2つ以上練習していれば 0 という者が多くなることもあるだろう。


「やっと終わったよ。」

「おお、どうだった?」

雄二が測定から戻ってきた。

「僕はもちろん、風属性を測定したんだけどね、適性値は 7 だったよ。」

「「おお〜!」」

俺たちは素直に感心した。最初はまともに魔法を放出できなかったのに。

「さすがは雄二だね。このまま行けば、私たちと同じくらい強くなれるよ。」

「さすがにそれは厳しいんじゃないかな〜。」

雄二が謙遜する。と、

「俺の番らしい。」

1個前の番号の子が俺を呼びに来た。

「 5 くらいって結構難しいからね。」

「おう。」

七香からそう言われ、俺は測定場所へ向かった。






「次は日向か。やり方は分かるか?」

目の前には《マナチェック》とは違う魔法陣があった。

「はい、他の人にある程度は聞いたので。」

もちろん、聞いてはいないがこの《タイプチェック》のことは俺も知っている。

「それじゃあ、やっていいぞ。」


俺は魔法陣に手をかざし、そこに魔法を集めるようにイメージし、集中する。ただの魔法ならこれで問題ないが、今は属性魔法の「元素」なるものを生み出す必要がある。その属性に合ったイメージを持つことが重要だ。

「……」

俺は、自分の中で一番上手く扱える…「火属性」を測定しようとした。この前の測定では火属性は確か 91 だったはずだ。細く操る自信がある。

俺は手から火が出る…そんなイメージをし、集中しきる。

そして、ゆっくりと目の前に火の「元素」が生み出される。それにより、《タイプチェック》が反応し、数値が出される。もちろん手加減をしているため、ここでの数値は…


「…ふむ。適性値は 6 か。中々頑張ったようだな。次を呼んできてくれ。」

「分かりました、ありがとうございます。」


俺は、測定場所を離れ、次の人を呼びに行った。




「おかえり。火属性にしたの?」

「よくご存知で。」

戻るなり、七香にそう言われた。さすが分かってらっしゃる。

「このあとはまだ練習の続きかな?」

「そうだろうな。」

何も言われてないし、それで問題ないだろう。と、

「七香?」

七香がある方向をずっと見ている。そして…

「ーーー。」

「…気づいた?」

俺は遅れてその意味に気づく。

「ああ。」

「なになに、二人ともどうしたの?」

「雄二はここで一人、もしくは誰か他と練習していてくれないか?」

「えっ?ま、まぁ良いけど。」

俺はそう雄二に言い、そして、

「七香、行くか?」

「うん。」


俺は七香と二人で、ある一つの方向…ずっと、こちらに向けられる視線の先を目指して走り出した。

ここしばらくは学園ものが続くので、戦闘シーンなどは少し少なくなるかと思います。

ちなみに、今回の会話の中だけの登場である哀川(あいかわ)さんや、前回ほんの少しでてきた風野(かざの)さんなどの、クラスメイトの紹介は後ほどしたいと思います。

今回の紹介はなしです。

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