表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第1章 『セカイの構造』
13/82

第十一話 消えた『レッドセカイ』

来週から、週1、2回の投稿となります。

ーーーーーーーーあれから、数分経っただろうか。



今では、カナデもメイも落ち着きを取り戻したようだ。

「ご、ごめんねラクト。もう大丈夫だから。」

カナデが泣き止んだ声で言ってくる。

「あ、あぁ。そ、そうだ…他の皆は……」

すると、エルがふと、

「あ…ラクト、他の皆なら大丈夫だと思う。」

「え?それはどういう事だ?」

エルの一言に俺は立ち止まり、耳を傾けた。

「負傷者たちを役場まで連れていったときに、どうやら置き手紙があったようでね。」

「置き手紙?」

「あぁ。ジャイ二のものだった。ボクたちの誰かに渡してほしいと書いてあったらしくてね。役場で渡されたのさ。」

「ジャイ二さんが…内容は?」

「もし私の身に何か起きていたり危険な状況になっていたら全員、『セカイ』から避難させてほしい。とね。」

何も、考えなしに挑んだ訳ではなかったのか。だとしても、自分を犠牲にするようなやり方は好ましくないだろうに。

「ということは、皆はどこに?」

「おそらく、この山の(ふもと)にいるだろう。」

「そうか。それじゃあ、ゆっくり降りていくとするか。」

俺たちは、ゆっくりと山を降りていった。







ーーー下に着くと、「討伐隊」の皆がいた。

「良かった。助かったんだな。」

パウロがそう声をかけてきた。

「なんとか…他の人たちは?」

「ああ、ちゃんといるぞ。」

そう言って、もう少し先に進んだ。

「お爺ちゃん!!」

最初に居たのは、ウノさんだった。

「おお、カナデよ。無事で良かった。」

「ウノさんも無事で何よりです。」

「ラクト様。あなたも無事で良かった。」

確かに、エルの言う通り、戦いに参加していない、村の皆は無事のようだ。ただ、

「……」

「何してんのよ、絡斗。」

「な、七香…話しかけづらいんだが…」

少し遠くに、ジャイ二さんの孫娘…フランがいた。

「何情けないこと言ってんのよ。さっさと行ってきなさい!」

「痛っ!?」

俺は背中を押され、フランのもとへ行った。

「……」

フランがこっちを見てくる。

ーーーたぶん、ジャイ二さんのことは聞かされているだろうな。フランだけでなく、村の皆も少し暗い顔をしている。

「あ、あぁー。えっと…だな。」

「ラクト…さん。でしたよね?」

「えっ?あ、あぁ。」

フランが真っ直ぐ俺を見てくる。

「もう、大丈夫です。私は覚悟を決めました。」

「えっ?」

「私になんて声をかけようか迷っていたんですよね?」

「ま、まぁ…」

「でも大丈夫です。ラクトさんがここへ来るまでに私は、けじめをつけました。」

「……。」

「それに、おじ様はもう長くはなかった。ですから、遅かれ早かれこうなっていたんです。」

「……。」

「心配してくださってありがとうございます。」

「そうか。強いんだな、フランは。」

「そんなこと、ないですよ。」

何故か、褒めたらそっぽを向かれてしまった。

「そ、それと…ラクトさんにお願いが。」

「ん?俺にお願い?」

「ええ。この後の式が終わったあと、私もついて行って良いですか?」

「え?式?」

「はい。おじ様がいなくなったので、おそらく新しい(おさ)を決めることになると思うので。」

「聞くのもおこがましいことなんだが、それは『セカイ』がなくてもやるのか?」

「やると思います。式というかは伝統的な儀式みたいなものですね。」

「なるほどな…。それで、ついていくとは?」

「私も旅をしたいのです。」

「えぇ!?いやいや、危険だろ。それに、たぶん次の(おさ)ってフランだよな?」

「そうだと思います。ですが、問題ありません。」

「いやいや、問題ないって…」

「それに…仇討ちがしたいのです!」

「…分かった。」

「ありがとうございます。」

俺たちの会話が終わったところに、

「わ、私も一緒について行きたい!!」

カナデが割り込んできた。

「え?お前もか?」

「うん!もっと強くならないといけないって実感したからね!お爺ちゃんにももう言ってあるし。」

「行動早いな!?ま、まぁ…別に構わないけど。」

「やった〜♪」

あれ…この流れ、もしかしたら…

「ん?」

俺はカナデの近くにいたメイを見る。

「あはは〜。流石に私は行かないよ。皆をまとめないといけないしさ。」

「そうか。」

メイも一緒についてくるということはなかった。






少し経ったあと、どうやらフランが言う「式」というものの準備が始まった。俺たちも、一緒に見ていくことにした。

「ちょっといいかい?」

エルから声をかけられた。

「できれば他の皆は連れてこないで欲しい。」

「わ、分かった。」

俺はエルについて行った。

「ラクト?どこ行くのー?」

カナデに声をかけられる。

「あぁ。ちょっとな。ここにいてもやれることはないし。」

「そっか。準備が終わったらRineするね♪」

「おう。」






「話ってなんだ…って七香もいるのか。」

「そうさ。ボクたち3人で話がしたいんだ。」

「それで、何よ話って。」

「七香も聞いてないのか?」

「私もあんたと同じで連れて来られた側よ。」

エルからの話…しかも俺たちだけというのは真剣な話なのだろう。

「実はだな…。『黒纏壁(こくてんへき)』の能力者について、少し情報が入った。」

「えっ!?」

「何!?」

『黒纏壁』…それは、ここへ来る前俺たちを襲ってきた謎の人物が使っていた『異能』だ。元々の持ち主は昔倒したはずのルード・エメルデンなのだが。

「もしかして、生きていたの!?」

「いや、それはない。ルードはしっかりと滅んだはずだ。」

「それじゃあ、誰が?」

「落ち着いて聞いて欲しいんだが…ボクはある一つの仮定を立てた。」

「仮定?」

「そうさ。まず、『異能』というのはその者ただ一人に渡された「力」。他のものが操ることはできない。これは前提条件として誰もが知っている。」

「あぁ。」

他人の『異能』をコピーする『異能』というのがあるなら話は別だが。

「それでだ。仮定というのはルードの『異能』が『黒纏壁』ではなかった。というものだ。」

「は?」

七香が不思議そうに声を漏らす。

「いやいや、だってルードが『黒纏壁』使っているのを見たんでしょ?」

「もちろん。だが、その能力者が別にいたら?」

「どういうことだ?」

「自分または他人の『異能』をほかの者に貸すという『異能』がある。」

「「え?」」

俺たちは声を揃えて不思議に思う。そんな『異能』があるのか?

「今あるって断言したけど…」

「ボクの仲間…というより、友達かな?そいつは物知りでね。色々と聞いてみたんだ。」

「それで?」

「神に、「自身または他者の『異能』を自身または他者に貸し与える」というのを持ってる能力者がいるらしい。」

「神に?」

神…「神族」と呼ばれる者が存在している。詳しいことは何も知らないが「未神」と「古神」というのがいるらしい。

「その神はなんて言うんだ?」

「確か、『未来を見通す神』ノステアだったはず。」

初めて聞く名前だな。

「そこで、少し提案があるんだが。」

「なんだ?」

「ラクト、それにナナカには、ボクの友達に会ってほしい。」

「えっと、私は別に構わないけど…」

「俺もいいけど、でもなんでまた急に?」

エルから友達の話をされたのは初めてだ。それにいきなり会ってほしいというのも不思議に思ってしまう。

「別に深く考える必要はないさ。実際に会って話を聞いて欲しいのさ。それに、気になることとか質問すれば何でも答えるだろうし。」

「なるほどな。」

エルの友達か…。

「やっぱり、お前と同じ「天使族」なんだよな?」

「ーーーいや。今回の話の友達は「天使族」ではないよ。」

「えっ、そうなの?」

七香が少し意外という風に驚いた。

「お前、知り合いが幅広いな…まさか、全種族にいたりすんのか?」

「いやいや、流石に全部はいないさ。」

「それで、その友達さんは何族なわけ?まさか私たちと同じ?」

「いや、それも違う。君たちに会って欲しいのは「神族」さ。」

「「…は?」」

こいつは何を言っている。いや、

「まぁ理解はできる。同じ種族の者の『異能』を知っていることとかよくあるしな。…お前「神族」とも知り合いなの?」

神と呼ばれるものはこの地に住まう者たちと親しくならないものだと、長年言われてきたのだが…

「まあ、ボクたち「天使族」はどちらかと言えば神よりだからね。」

「そ、そうか…」

「それで、その神様の名前は何なの?」

「ああ、ラプラスだ。」

「ラプラス…?」

また初めて聞く名前だった。

「どういう異名あるの?」

七香がエルに聞く。

「ラプラスは『因果律を司る女神』という。」

「因果律?」

「ああ。簡単に言ってしまえば、全ての物事の起源が分かるみたいなものだな。」

「その「力」で他者の『異能』が分かったのか?」

「いや、それとは別だろう。ラプラスは知識欲が高すぎるからな。一年中何らかの方法で知識を得ようとしているからそのおかげかもしれない。」

今の話を聞くとだいぶヤバい存在な気がしてきた。

「まぁ、今度の土日とか休みの日に会いに行くとするか。」

「そうね。」

俺と七香はエルに同意する形で話を締めくくった。

「分かった。今度の土曜日行くとしよう。」

ブブッー。

俺のスマホから音がした。

「カナデが準備が終わったって。」

「あんたカナデちゃんと連絡先交換してたんだ。」

「ああ。」

「ラクトのスマホから音が鳴るのは初めて聞いたな。」

「……」

エルが触れてはいけないものに触れやがった。

「ま、まあ俺の友達とは学校で話してるし?わざわざ連絡する事とかないし?」

「あ…私、絡斗と連絡先交換してから一度もメール送ったことないわ。」

「……」

「ま、まあ、あんたが今言ったようなものだから、ね?わざわざ連絡することがなかっただけだよ?学校で話してるよね?ね?」

七香は、俺を慰めるかのように次々と言葉を発していく。

「まあいいよ…とりあえず「式」の会場のほうへ行くか。」


生贄さんです。今回は新しい人物の紹介をしたいと思います。


ノステア

???歳。誕生日不明、血液型不明。「神族」であり、二つ名は『未来を見通す神』。『異能』は「絶対円環(ぜったいえんかん)」。容姿は灰色の髪に青い瞳を持ち、筋肉質な体型をしている。


ラプラス

???歳。誕生日不明、血液型不明。「神族」であり、二つ名は『因果律を司る女神』。『異能』は不明。容姿は青いロングヘアーで碧眼。知識に対する欲が強い。エルとは昔からの知り合いである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ