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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第1章 『セカイの構造』
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第九話 実力差

ーーー「《エアロ・ウェアー》!!」

俺は自身に…いや、自身の右手に「風属性」の魔法を付与した。

「面白いね。右半分を「風」、左半分を「火」か。なかなか魔法の扱いが上手なんだな。」

「ちっーー!!」

2つの属性を上手く組み合わせて接近するが、ほとんど当たることなく躱されてしまう。

「君は、いくつの属性が使えるんだい?」

「…答えるつもりはない!」

まるで遊ばれてるようだ。これほどまで実力差があるのか?

「君も…おとなしくしてもらおう。《プリズムレイン》!」

「くっーーー!!?」

咄嗟に避けようとするが、少しくらってしまい吹っ飛ばされる。いや、それよりも《プリズムレイン》だと?

ーーー何故この「魔法」が使えるんだ?

「君はこの魔法を知っているのか。なんで私が使えるのかって顔をしてるね。だけど、これについてはまだ教えられないな〜。」

《プリズムレイン》は失われた「古代魔法」の一つだったはず。使える者がいなくなり、やがて消えた魔法だと俺は聞いていたが…

「そろそろあきらめてほしいね。」

「それはこっちのセリフだ!」

俺は再び接近するーーー。

「なかなかいい動きだが、何度やっても変わらないさ。」

俺の攻撃が次々躱される。そろそろ、「付与魔法」を持続できなくなってくる。

「ーーーどうして、『異能』を使わないんだい?」

その一言を聞き、俺は一瞬動きが止まる。

「っーー!!?」

背後にまわられ、手刀を受ける寸前、ギリギリ避けた。

「それは…お前も同じことだろ。」

「答える気はなしか…。気になるんだけどね。」

わざわざ、敵に情報を話す必要がない。

「さっさと決着をつけないのか?」

俺は挑発をする。

「どういうことだい?こっちはそこそこ本気なんだけど〜。」

「『継承』…とかいうやつは使わないのか?」

「残念だけど、浄化対象は選べないのさ。君にダメージを与える代わりに、その弱体化まで解除することになっちゃうし。」

なるほど、あまり欠点といえるほどではないな。

「ーーーだけど、決着はつけさせてもうよ。少し、ここで待っててねーーー…」

「ーーーっ…しまった!!?」

その言葉のすぐ後、

「ーーー《プリズムレイン》」

真上から降ってくる魔法に俺は対処できず、まともに受けてしまう。

「ぐっーーー!!」

ついには、俺も地面に倒れてしまう。動こうとするも、傷が深い。さらには、「治癒魔法」が使えない今、動けるようになるまで時間がかかるだろう。

「ーーーおやおや、もう人質はいらないようだ。」

意味がありげな一言を放った後、何かと連絡をする素振りをみせた。そしてユノは、俺とほぼ瀕死のジャイ二さんにとどめは刺さず、他の戦いの場に向かって歩いていった。






ーーーーー。

「なんとか、こっちは終わったわ。パウロのほうは?」

「大丈夫だ。これで下っ端共は片付けたか?」

かなりの接戦の末、なんとか「討伐隊」側が勝利した。

「こっちの怪我人は6人だ。ライニのほうは?」

「私たちのほうは、軽傷で済んだのが4人よ。他はかなりの重傷。それに、そのうちの2人は意識不明よ。」

「くそっ…下っ端かと思っていたが、かなり手強かったな。」

ほとんど傷を負わずに済んだのは、6人だけだった。

ライニが軽傷で済んだとは言っているが、傷は多く、血もまだ流れ続けている。それで軽傷なのだから、重傷を負ったものはかなり危ないかもしれない。

「とにかく、動けるもので先に回復してまわろう。」

「えぇ、分かったわ。」

早く傷を癒し、ジャイ二様たちのほうへ向かわなくては。

「ーーー流石だよ。」

「「!!?」」

咄嗟に声のする方を見る。そこにはーーー……

「な、なんで…ここに…」

それは、ジャイ二様の敗北を意味するかのように、

「…どうしたのかな?」

ジャイ二様とラクトが戦っていたはずの…



星ノ使徒が立っていた。






ーーー少し、時間を遡り…

「うりゃああー!!」

黒服の3人はかなり押されており、反撃もままならない状況だった。

「カナデ、あんまり飛ばすと危険だからね。」

「ーー分かってるよ!エルちゃん!」

カナデは『異能』の「崩拳(ほうけん)」を駆使して、かなり攻め込んでいる。

「これは、いけるわ!」

ナナカも上手く「魔法」を使い、相手を牽制している。

これならば勝てるーーー…と、思っていた時、

「あ、あれ?逃げてくよ?」

カナデが押せ押せで戦っていたが、急に敵3人がこの場を去っていく。

「…妙だな。」

ラーチスが不思議だと言いたげな顔をする。

「人質たちも置いて行っちゃったよ?…どうする?」

メイがそう聞いてくる。

「そうだな…メイとカナデとナナカは人質になってた皆を助けてくれ。戻ってくるかもしれないから慎重に。」

「わ、分かったけど…エルは?」

「ボクはラクトのところへ向かう。」

「俺はどうすればいい?」

「ラーチスは、下っ端らしき者たちと戦ってる「討伐隊」のところへ向かって手助けをしてくれ。」

「分かった。」

そう言い、ラーチスはすぐに走っていった。

「…何も起きていなければいいのだけど。」

ボクは不安な気持ちになりながらも、メイ、カナデ、ナナカの3人をこの場に残して、ラクトたちの方へ向かう。






ーーーはっきり言って、不安は的中していた。



「ーーーくっ…」

駄目だ。まだ、動けそうにない。早くみんなのもとへ向かわないと…

そう、思っていたところに誰かがやってくる。

「ーー!!酷い有様じゃないか!」

この声は、エルだ。俺に近づいてきた。

「傷も深いな。《リバイブ》!」

《ヒール》よりもさらに強力な「治癒魔法」、《リバイブ》を使い即座に傷を癒してくれた。

「ーーーなんか、いつもお前に助けられているな。」

「そうだね。あとできちんと借りは返させてもらうよ。」

治癒が終え、体を起こす。そして、

「ジャイ二さん!」

ジャイ二さんのもとへ向かった。

「ーーーはやく、ジャイ二さんも治癒してくれ!」

「……」

エルは何も話さない。

「おい、どうしたんだよ…」

それに、見ればジャイ二さんのほうが酷い傷を負っていたはず。俺の方が、親密だとしても、普通はジャイ二さんを優先するだろうが…どうして、俺を癒したのか。ユノは、ジャイ二さんがまだ生きていると言っていたのだ。

「まだ、生きてるだろ…?」

「……」

エルに聞くが、答えない。

「お、おい…」

「すまない…ここへ来た時にはもう…」

その先に続く言葉を俺はなんとく察してしまった。



「ーーーとっくに亡くなっていたさ。」



分かっていたことだ。あれからそこそこ時間も経っていたし、直前のジャイ二さんの喰らった攻撃。あれは、威力が尋常ではなかった。それを喰らって、それでも数分ほど生きていたジャイ二さんはとても強かったのだ。


「そう…だよな。」

短い付き合いだが、それでも目の前で知り合った人物が死ぬのはなんとも悲しい出来事だ。

「ーーーフランにどういう顔をして会えばいいかな。」

フランにとって、ジャイ二さんは唯一の肉親だった。その人が亡くなったと聞けば、俺以上に悲しく思うだろう。

「それは…これが終わったら考えよう。」

エルが冷静にそう判断した。

「ーーーそう、だな。ーーーお前がここに来たってことは…」

「…ああ。黒服の3人は途中でどこかへ去ってしまったさ。」

「なに?」

戦いを途中でやめた?妙だな。

「それなら、人質に取られていた人たちは?」

「置いていったよ。まるで、もう人質が必要ないかのように。」

人質が必要ない…確か、

「っ!!そうか、ユノの命令だ!」

「どういうことだい?」

俺はある一つの答えにたどり着く。

「ユノが去り際に、もう人質はいらないって言っていたんだ。それをあいつらに命令して、他の行動にでるかもしれない!」

「まさか!?」

エルは俺の答えに疑問を覚えるが…

「だが、確かにそれが一番納得できるな。」

「エルはもう一度、人質に取られていた者たちのところへ戻ってくれ。そいつらを連れて遠くへ離れてくれ!」

「ラクトはどうする気だ!?」

「俺は、ユノが向かったところ…おそらく「討伐隊」の皆のところだろう。そこへ向かう!」

「わ、分かった!カナデたちにもそっちへ向かうよう伝えておく!」

「助かる!」

そう、俺たちは短く会話をして、この場を後にする。






ーーー何故、ここに星ノ使徒が…

「ジャ、ジャイ二様たちは!?」

ライニがそう問いかける。

「さあ?止めは刺してないから、運が良ければ生きてるんじゃないの?」

星ノ使徒が、そう軽く答える。

「くっ!!《ライトニング》!!」

光の魔法、《ライトニング》を星ノ使徒めがけて放った。

「ふふっ。無駄だよ!」

だが、簡単に魔法を躱し、一気にライニへ接近していた。

「しまったーーー!?」

「もらったわ!」


「うぉおおお!」

ーーーバンッ!!

咄嗟にライニの元へ行き、自分の持つ盾で攻撃を受け止める。

「パ、パウロ!?」

「安心しろ!接近戦は俺がなんとかする!」

「いいね、2人とも。でも、ここで私と戦っても意味ないよ?」

「意味ならある!お前を倒すことが目的だ!!」

俺は盾で、攻撃をなぎ払い、片手剣で胸めがけて斬り下ろすーー!!

「ぐ、ぐはっっ!!?」

「駄目だね〜。ちゃんと傷は癒してから戦わないと。」

ーーー何をされた!?急に、自分の負っていた傷がさらに抉れたかのような激痛が走った。

「ぐっーー!!」

俺はその場に膝をつく。痛みを感じたところに視線を向けるとーーー、

傷が癒えていた。

「どういう、ことだ?…ぐっ!?」

ごほっ、と、血の塊を口から吐き出した。確かに、先の戦いで負っていた傷は癒えたが…ほかの部分に傷を負ったように思える。


「ーーー危ない!」


ライニが後ろから叫ぶ。すぐ目の前を見れば、星ノ使徒が手を振りかぶり、下ろそうとしていた!!


ーーー避けれない!!






「《ランド・ウェアー》!!」

「ふふっ。」


土属性を腕に付与し、敵の攻撃を防いだ。

「き、君は!?」

咄嗟に声をかけられる。


「いやいや、ほんとに君は素晴らしいよ。」


俺は、ーーー絡斗は、再び、ユノと交戦した。


どうも生贄さんです。今回は新しい登場人物がいないので、今まで出た「魔法」をある程度紹介します。「魔法」につきましては、第2章において詳しく説明することとします。

「治癒魔法」

・《ヒール》…光と水の「複合魔法」

・《リバイブ》…《ヒール》より強力。光と水の「複合」

「弱化魔法」

…デバフと言われる、対象者に対して色々な制限をつける魔法


今回はこの2種類です。

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