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吸血彼女のお願い  作者: ひろゆき
5/57

 一 ~  そんなのできるわけがないだろっ  ~ (5)

 そんなに後悔すること?

 別に酷いことなんかしてないんだから。

            3



 そういえば、小学校のころ、やたらと怖がりな友達がいたな。

 そいつは、幽霊や化け物といった類が大嫌いで、よくテレビなどで心霊番組があった次の日、誰かしらその話で盛り上がっていても、絶対に話の輪に入ろうとせず、自分の席で耳を塞ぐように、そっぽを向いていたな。

 だからこそ、みんなしてそいつをからかって、わざとそいつの席の前でホラーの話をしていた。

 僕も面白がって話していた。そいつは、ゲームですら怖がってしまい、ホラーゲームを勧めても、絶対にやらなかったな。

 でも、そいつも変わっていて、ホラーが嫌いだと騒いでいたはずなのに、一つだけ、平気なものがあった。

 それが吸血鬼、ドラキュラの類であった。

 なんで、そんなに偏った怖がりだったのだろう。

「あ~。最悪だ……」

 白いシャツに広がったオレンジ色の染みを睨み、ハンカチで叩いて染みを拭き取ろうと苦戦しているなか、唐突に、昔の友人のことを思い返していた。

 そいつは今、何をしているんだろう、と。

 そいつは小学校五年生のとき、引っ越してしまい、それからは音信不通となっていた。

 ふと、思い出したそいつに、僕は言いたい。

 僕は今、染みと戦っていると。

 


 保健室には、僕ら以外誰もいなかった。養護教諭もいない。

 僕たちとは、僕と今田姫香のことである。

 僕はちょっと疲れてしまい、丸椅子に座って背中を丸め、胸の辺りにできた染みに参っていた。

 彼女、いや、ここは怒りも込めて名前で呼ばせてもらう。今さらではあるのだが。

 姫香は保健室のベッドに眠っているのである。

 それも穏やかに、スヤスヤと快眠なのである。憎らしいほどに。

 さて、僕たち二人しか保健室にいない。教諭もおらず、そこに可愛い女の子が無防備にベッドに眠っているのである。

 邪な考え、欲望に駆られてしまうと姫香を……。

 はたして、それは本能なのか、健全なのかはさておき、僕は断言しようではないか。

 僕は絶対にこいつを襲ったりなんかしない。

 絶対にそれはないっ。

 なぜなら、僕がこいつに襲われ、命を奪われそうだったから。

「……吸血鬼、ドラキュラ? なんだよ、それっ」

 まったく。なんなんだ。

 って、思い出したくもないわっ。

 変なことするつもり?

 何かするつもり?

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