表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

幸せの価値は人それぞれ。シアセの幸せ。月の民と名乗る男の正体。

今から始まる話です。

また、寒い夜がやってきた。娼婦の様に肩や背中を出した格好で湖からくる風に身をよじる。歩けない様に穿かされたヒールと固定された足首。見張りはおらず、ただただ、湖近くの小屋に閉じ込められていた。もう1時間はたったであろうか。足音が聞こえた。見張りだろうか。そして、その足音の正体は見たこともない男だった。


「あんたぁ、ここは、どこだい」


不恰好に伸ばした髪。タレ目に、タレ眉。ほっそりとした骨格。甘い顔に、甘い声。いまいち整っていない身なりだが、いい男だ。


「その前に、あんた、誰よ?」


ここがどこか知らないし、答えてやる義理もない。


「う〜む。月の民だ。と、だけ言っとこうかな。」


月の民。はるか400年前に人類が到達し、移住している民が少し。そしてその言葉は、”身寄りなし”の隠語である。


月の民……ねぇ。


「私は、シアセ。ここがどこか知らないし。私はここから動けない。」


足首を見せて、動けないことをアピールする。


「ふ〜む。動けないことは可哀想だ。」


そう言って無理やり足首を固定してある金具を力技で離す。


「これでいいだろう。」


自慢げの顔でこちらを見ている。


「いいえ、このヒールを脱げない限り自由に歩けない。」


しかめっ面になる男。さすがにヒールを脱がそうとはしない。がっちり固定されているからだ。

……というか、見張りはなぜこないのだろうか?……


「じゃあ、その靴が脱げるまで面倒を見てやる。」


む。む。


「それは、どうもありがとう。」


一体、月の民がどうしてくれるのだろうか。

身寄りなしのくせに。



身体が持ち上げられ、抱きかかえられる。

顔が近づく。キリンの様なまつ毛にグレーの瞳。息がかかる。羞恥心で顔が真っ赤になった。


「なっ!なっ!」


動揺していると、風が一気に吹き込んだ。

扉を開けて、出ると、そこには、倒れこんだ人。人。人。


「これは……」


男を見上げる。きっと自分は間抜けな顔をしているだろう。


「人の敷地で、勝手なことをしていたからだ。」


真顔でそんなことを言う。ほんとに、こいつは、どういうことだろうか。あぁ、わからない。


まだまだです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ