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異世界最強の翻訳家  作者: 高田大輝
第一章 召喚と王国捜索
8/38

8.Status (ステータス)

第5話『侍女』のアルテナのステータスの素質値を10から12に変更しました。10/6


 アオイが説教をされている間も、クラスメイト達は訓練を継続していた。


 魔力を感じられてない人は四苦八苦と言った様子で、“魔力感知”を会得をするために今もなお侍女の魔力に当たっている。


 アオイの説教が終わったアンクは、そちらのクラスメイトに優しくアドバイスをしている。先程までの剣呑な雰囲気は何処へやら。


 感情の制御が騎士よりも求められる魔道士故の素質なのか、大人としての常識なのかは分からないが、結愛が行方不明になり、八つ当たりをしてしまった身であるアオイが見習うべき点だろう。


 魔力を感じた組はミキトの指導の元、カードを見るために必要な“魔力操作”の会得に励んでいる。勿論、安全に最大の注意を払って、だ。


 アオイのように怒られたくないようで、その話を聞くクラスメイトの表情は、真剣そのものだ。


 そして図らずとも自らを犠牲にし、反面教師となったアオイは、訓練の邪魔にならない壁際まで移動して、アルテナから聞いていた“ワード”で自分の能力を確認する。


「オープン」


 手に持つカードから淡い光が放たれ、文字が表示されていく。


 ―――――――――――――――――――――――――――――

 綾乃葵 15 男 種族(race):人間

 職業(job):翻訳家 状態(state):抑圧

 ―――――――――――――――――――――――――――――


 一度見た光景だが、自分でそれをしたとなると、やはり響くものがある。だが今はその余韻より、内容を知りたいと言う好奇心が勝ったので、カード上に現れた光の文字を眺めた。


 そして職業の欄を見て、アオイは驚きで少し固まる。それを見逃さなかったのか、アルテナが話しかける。


「どうかなさいましたか?」

「アルテナ、俺の職業の欄に、翻訳家って表記されているんだけど、どういうことか分かる?」

「それは綾乃様に固有(peculiar)技能(skill)があるからです。固有スキルを持っている方は、職業欄が固定されますので」


 アルテナの説明で、何故勝手に職業欄が埋まっているのか? と言う疑問は解消された。同時にアルテナの職業が侍女ではなく、分析家だった理由にも合点がいった。


 となれば、自分がどんなスキルを持っているのかが気になるので、早速「スキル」と呟く。



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 固有(paculiar)技能(skill):翻訳

 唯一(unique)技能(skill):なし

 特殊(extra)技能(skill):成長補正・言語理解

 普通(common)技能(skill):集中・料理・魔力感知{魔力操作・魔力放射}

 加護(protection):ジニアル之加護

 耐性(tolerance):精神恐怖耐性

 ―――――――――――――――――――――――――――――



「予想はしてたけど……やっぱりか」


 自分のスキル全貌は、葵の予想を少し上回る程度だった。


 固有スキルは職業そのままで、エクストラスキルにある“柳心鬼闘流”は葵が通っていた道場の流派の名前だ。


 コモンスキルに料理があるのは、葵が夕食の料理を担当していたからだろう。魔力系の三種は先程獲得したのだろうと予想できる。耐性は、小学校の時の事件が要因だろう。


 だが加護の欄にある“ジニアル之加護”が全く分からない。


「人名……なのか? なぁ、アルテナ」

「はい、なんでしょうか?」

「このジニアル之加護って何か分かる?」

「ジニアル……人名でしょうか?」


 考えていても分からないので、先程葵の疑問を解消してくれたアルテナに尋ねてみた。


 だがアルテナも分からないらしく、アオイと同じ反応を示す。だがそこで終わらないのが、優秀な侍女さんだ。


「よろしければ、加護の表示されている箇所に触れてみては如何でしょうか? 何か分かるかもしれません」

「そうなのか。やってみるよ」


 このまま悩んでいても仕方ないので、アルテナの言う通りにしてみることにした。


 “ジニアル之加護”と表記されている箇所に触れてみる。すると、淡い光がカードを包み込み、書かれている内容が書き換えられていく。


「これは……」


 アオイは書き換えられた内容を目にして、驚きの声を上げる。



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ジニアル之加護

 ※ジニアルによって与えられし加護

 特殊(extra)技能(skill)“成長補正”、“言語理解”を附与

 ―――――――――――――――――――――――――――――



 そこには、“ジニアル之加護”の説明が表示されていた。ざっと読む限り、これが異世界モノでよく見かける【召喚特典】なのだろう。


 “成長補正”は文字通り、成長を促してくれるスキルだろう。そして、“言語理解”も同じだ。


 ただ我が儘を言えば、翻訳があるアオイからすると、この“言語理解”の必要性は、あまり感じられない。この世界の翻訳と、地球での翻訳の意味が違うのであれば話は別だが、きっとそんなことは無いのだろう。


「アルテナ。一応聞くけど、“翻訳”って、自分が使う言語と違う言語で会話をしたり、文字を書いたりすることで間違いないよね?」

「そうですね。私はそう認識しています」


 説明がとてもヘタクソだった自信があるが、その意図を上手く酌んで、回答してくれた。


 その結果、やはりアオイの認識で間違いがないことを知る。自身の能力が今現状において殆ど使い物にならないことを知り、少しばかり落胆する。


 だがこんなところで立ち止まっているわけにはいかないので、直ぐに意識を切り替えて次に進む。


「ステータス」



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 レベル:1

 生命力(hitpoint):63/63

 (magic)(point):98/103

 (stamina)(point):89/89

 筋力(strength):80

 (intelli)(gence):45

 敏捷性(agility):61

 器用さ(dexterity):36

 耐久力(vitality):95

 精神力(mind):64

 最大値(maximum):636 素質(anlage):10

 ―――――――――――――――――――――――――――――



 表示された数値は、やはり平均などを知らないので何とも言えない。だが昨日、アルテナに見せて貰っているので、比較することはできる。


 現状の数値はアルテナより高いが、素質値で負けているので、いつかは追い越されるのは必至だ。


 異世界モノでは、アオイのような召喚者や転生者は強いはずなのだが、それはこの世界では適応されないのだろうか? それともアルテナが一般人より強いのか。


 疑問は解消しないが、いずれ、クラスメイトの素質値も知る機会があると思うので、一先ず置いておく。


 これらの疑問は後でルディアンやアンク達に聞くとして、最後の魔法の欄を確かめることにした。


「マジック」



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 適性(apitude):風

 魔法(magic):なし

 ―――――――――――――――――――――――――――――



「……一属性って」


 表示された文字を見て、アオイは落胆する。


 そして、早計かもしれないが、先程の異世界出身者強い説は、やはりこの世界では適応されないだろうと思い始める。


 素質値と魔法適性の種類の少なさが、その疑念を確信へと至らせた。もしこれが事実なら、今頃この世界のどこかに一人でいるだろう結愛は、危険に晒されている可能性が高い。


 幸いと言うべきか、結愛はアオイと同じで武術の心得があるので多少の魔物なら大丈夫だろう。それに、結愛は葵に会得できなかった『気』をなんとなく理解していたのだ。


 守るべき立場の葵が会得できないものを、守られるはずの結愛が会得できてしまったのは、葵からすると残念だが、結愛自身が強くなれば、葵が守らずともよくなるので、それはそれでいいのかもしれないと、自身を慰めた過去がある。


 ともあれ、そんな結愛だから、きっと大丈夫だろうと考えたところで、ふと、昨日のルディアンの言葉が脳裏をよぎる。


 『外に行けば葵が死ぬ』


 例え“気”を会得できておらずとも、一vs一では結愛に負けなかったアオイが、そう言われたのだ。ならば、いくら多才で他人よりも優秀な結愛でも、厳しモノがあるのではないだろうか? と言う考えに行き着く。


「――まずいかもしれないな……」

「如何なさいましたか?」


 深刻な表情なアオイの口から洩れた言葉は、傍のアルテナの耳には届いた。カードに向けて思案していた視線をアルテナに移し、アオイが感じた懸念を告げる。


「……結愛は、この世界のどこかに放り出されている可能性が高いらしいって話は聞いているよね?」

「はい。ルディアン様から聞き及んでおります」

「もしどこかで保護されているならこの考えは杞憂で済むんだけど、もし町の外にいた場合、俺みたいな低ステータスが召喚者全員に適応されているとしたら、魔物に対抗できないと思って、少し不安になってね」

「見せて頂いても宜しいでしょうか?」


 アオイの言葉に、アルテナは同感の意を示し、アオイのカードを見る。そこに表記されていた“風”単体の適性を見て、驚きで少し目を見開いている。


「ステータスの方はどのようなものでしたか?」

「最大値はアルテナより高かったよ。でも素質値はアルテナより2だけ低かった」

「……それは確かに危険かもしれませんね」


 アルテナも真剣になって考えてくれているのは、一目で分かった。


 もし、このアオイの懸念が的中し、結愛もこの世界の住人と大差ないステータスだったならば、結愛はこの世界で生き抜くことが難しいということになる。


 だが既にアオイではどうしようもない範疇にある以上、結愛が助かっていることを望むことしかできない。


 助かっていると言う希望的観測に一縷の望みをかけて、アオイは今できることを進める。


 このことに意識を囚われていたら、本当に必要な時に、力不足で嘆く結果になりかねないのだから。


「……それは一旦おいておこう。アルテナ、“魔力操作”の練度ってどうあげればいい?」

「スキルを会得したのであれば、意識してスキルを使うだけで練度は上がります。……ですが、綾乃様。練度とはどこでお聞きになったのですか?」

「いや? 誰にも聞いてないよ。ただ生きている中の色々な場面や状況で、慣れとか経験とか、目に見えない練度も存在するだろう? ならスキルにあってもおかしくないだろうと思ってね」


 アオイの何気ない返しにアルテナは呆けた顔になる。


 何かおかしなことを言ったのだろうか? と疑問顔になりてが止まるアオイにアルテナは、何でもないですと“魔力操作”の練度上昇鍛錬の開始を促す。


 不思議な反応に困惑しながらも、アルテナが何でもないと言っていたので切り替え、集中する。


 スキルがあるとないとでは、感覚が違うことに気がついた。スキルが無い時は必死になって暗中模索していたのに対し、スキルがある今は、簡単に“魔力操作”を行使できた。


 スキルの有用性を思わぬところで発見したアオイは、頭にそれを書き留めて、本来の作業を再開する。


 体内の魔力を意図的に動かしたり、体外へと放出してみたりと軽く操作してみたが、やはり先程とは比べ物にならないほど楽になっている。


 ならば、と今度は“魔力放射”で魔力を体外へと放出し、それを手のひらで留めてそれを操作する。


 魔力に形はなく、本人の操作次第で形を変えられる。形を変えるということは、それ自体が操作なので、いい鍛錬になると思ったからだ。


 まずは簡単な形から。


 手のひらに出た紅の魔力を、球体に変形させる。簡単な形だったので、想像から十秒足らずで形成された。


 次は立方体をイメージし、今の球体から変形させる。これも単純な形なので十秒程度で完成する。


 そこからは簡単な形を思い浮かべ、次々と変形させていった。三角錐、円錐、扇形、菱形、正○面体……


 記憶の中にある色々な形を想像し、それに合わせて魔力を変形させた。


 その成果は、アオイの想像よりも早く訪れた。


 最後に作った正十二面体は、想像から生成までに五秒と掛からなかった。最初の球体という単純な形の生成が十秒程度だったので、それよりは複雑な正十二面体の生成が五秒になったのは、成長と言えるだろう。


 それに気を良くしたアオイは、さらに複雑な形の生成へと入る。


 自分の魔力の色を見てから、真っ先にイメージした果物――りんごを頭の中に思い浮かべ、既に掌にある魔力を操作する。


 一番近い形は球体だが、ヘタに近い位置が凹んでいたり、下に近づくと少しシャープになっていたりと、練習にしてはいい形をしている。


 最近りんごを見ていなかったが、それでも幼い頃から知っているので、比較的明確なイメージを持つことが出来た。


 今までと違い複雑な形を作るので、操作に失敗する可能性がある。失敗すれば大変なことになってしまうと聞いていたので、そうはなりたくないと、目を瞑り、今まで以上に集中する。


 手のひらサイズのりんごを作るには今出している魔力の量では足りないので、体内からもう少し魔力を引っ張ってくる。


 体内の魔力の流れに呼吸を合わせ、目を開ける。


 まず最初に行うのは、球体の生成だ。近い形から少しずつ変形させていく手順で、りんごを生成する。


 球体はやはり慣れたのか、数秒でできた。出来た球体の上部に、少し窪みを作る。窪みから一本のヘタを作って上部は完成した。


 次は下の形成だ。若干下に行くと萎んでいたと思うので、球体を少しだけ削り、更にこちらにも窪みを作る。


 そして三十秒程度で、紅の魔力で作られた半透明のりんごが生成された。


 想像していたりんごとは少し違い不格好だったが、それでも初めてにしてはかなり上出来ではなかろうかと、自分で自分を褒める。


 隣でアオイの“魔力操作”を見ていたアルテナも、アオイの生成した物がりんごだと分かってくれたようだ。


「凄いな、それ」

「ん?」


 半透明のりんごを眺めていたアオイに、称賛の声が掛けられる。


 誰かと顔を上げてみれば、翔と日菜子がそこに立っていた。二人とも、アオイの手のひらの上にある半透明のりんごに視線が向いていた。


「二人とも、“魔力操作”の訓練は終わったの?」

「終わったと言うより、俺達はもともと“魔力操作”のスキルを持っていたんだ」


 アオイの疑問に、驚きの答えを提示する翔。後ろの日菜子も頷いていることから、彼の言ったことは正しいのだろう。


 その発言で、アオイの中に一つ仮説が浮かび上がる。それが正しいのかどうかを確認するべく、アオイより多くを知っているであろう翔に問う。


「……もしかして、他の皆も“魔力操作”使えたりする?」


 アオイの立てた仮説とは、“魔力操作”は召喚者全員が使える説だ。


 魔力と言う感覚を知らないので、“魔力感知”を覚える必要があるが、覚えてしまえばあとはとんとん拍子で進むのではないだろうか。


 もしこの説が正しいなら、アオイが“魔力操作”を比較的簡単に会得し応用できたことも、彼らが元から使えたという言い分も納得がいく。


 だから、クラスメイトのことをよく知っているであろう、翔達に聞いた。


「いや、それはないと思うよ。皆、向こうで頑張っているから」


 翔は視線をクラスメイトへと向ける。それに釣られ、アオイも視線を移す。


 そこには、“魔力感知”と“魔力操作”の会得に励んでいる、翔の説明通りの姿があった。


 よくよく考えるまでもなく、今もなお会得に必死になっているのだから、アオイの仮説は前提から間違っていたことに気がつく。


「そっか……そうだよな。すまん、馬鹿なこと聞いた」

「いや、いいよ。それにしても、そんなこと聞くなんて、何かあったの?」


 周囲への注意が散漫になっていたことに気がつき、自らを内心で叱責する。こんな体たらくでは、結愛を探すこともできない。


 そんなアオイの内心を知らず、翔は質問を投げかけてきた。


 それにどう答えるか、数瞬迷う。


 素直に、アオイが感じた危惧を言うか? いや、それを言えば余計な心配を掛ける可能性が高い、か。


 そう結論付けたアオイは、何もなかったかのような表情を作り、答えた。


「いや、二宮の言葉を聞いて、ふと思っただけだよ。深い意味はないさ」

「そっか、なら良いんだ。もし困ったことがあれば、俺でも、日菜でも相談くらい乗るから、遠慮なく言ってくれよ」

「ああ、ありがとう」


 二宮の底なしの人の良さに、呆れに似た感情を抱く。高校入学時からこんな感じで、さらにイケメンときたら、ファンが多いのも頷ける。


 だが今の状況でもそんなことが言えるのは、少し羨ましくもあった。


「ところで、綾乃は何してんだ?」

「これは“魔力操作”の練度を上げる鍛錬だよ。分かり易く言えば、もっと簡単に使えるようにする訓練ってとこかな」


 未だ手のひらに乗っている半透明のりんごを指差して、翔はそう尋ねた。


 簡潔にそれに答えると、二人はそのやり方を教えて欲しいと力強くお願いしてきた。


 特に困ることでもないので、アオイは練度の上げ方をレクチャーする。と言っても、二人は“魔力操作”だけでなく、“魔力放射”まで会得していたので、教えたのは最初の説明だけだ。


 三人で色々な話をしつつ、“魔力操作”の練度を上昇させていく。


「そう言えば、二人ともステータスってどんな感じなの?」


 鍛錬の途中で、ふと気がかりがあったことを思い出し、アオイはそう尋ねた。


 すると二人はそう言えばその為の“魔力操作”、と言わんばかりの反応を示し、おもむろにカードを取り出した。


「これどうやって使うんだ?」

「魔力をカードに流しながら、オープンって呟けば、多分表示されるはずだ」


 アオイの説明に、二人は早速呟いた。もう見慣れたカードが淡い光に包まれる光景に、二人は目を輝かせていた。


 アルテナのカードを見ていたときに自分はこんな感じだったのだろうか、と少し気恥ずかしさを覚える。


「どうだ? 表示されたか?」

「ああ……これ凄いな。どうなってるんだ」


 翔は、カードに多大な興味を示しつつ、アオイにカードを提示してくれた。



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 二宮翔 16 男 種族:人間

 職業:極導師 状態:正常

 ―――――――――――――――――――――――――――――



 翔の極導師という職業。これは明らかに上位に位置する職業だろう。「極」と書いてあるのだから、上位でないはずがないだろう。


 色々と思う所はあるが、取り敢えず翔のステータスを見ていくことにした。



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 固有技能:叡智

 唯一技能:なし

 特殊技能:魔道・成長補正・言語理解

 普通技能:集中

 加護:ジニアル之加護

 耐性:全属性耐性

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 レベル1

 生命力:61/61

 魔力:95/100

 体力:78/78

 筋力:73

 知力:48

 敏捷性:66

 器用さ:54

 耐久力:83

 精神力:58

 最大値:621 素質:18

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 適性:火・水・風・雷・土・闇・光・干渉

 魔法:なし

 ―――――――――――――――――――――――――――――



 一通り翔のステータスを見て、アオイは自分との差に呆然となる。


 まずスキルの強さだ。種類で言えばアオイが勝っているが、恐らく字面から予測する強さ的に言うと、翔の方が圧倒的だろう。


 魔法適性の数など、アオイの比ではなかった。その数、驚異の八種類。きっと極導師と言う職業はこの適性の多さから来ているのだろう。


 唯一勝っていたステータスでさえ、僅か数十の差しかない。


 乾いた笑みを浮かべるアオイの心配をしつつ、日菜子がカードを差し出す。



 ―――――――――――――――――――――――――――――

 小野日菜子 15 女 種族:人間

 職業:治癒術師 状態:正常

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 固有技能:天癒

 唯一技能:なし

 特殊技能:魔道・成長補正・言語理解

 普通技能:演算処理

 加護:ジニアル之加護

 耐性:水・光魔法耐性

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 レベル:1

 生命力:54/54

 魔力:121/121

 体力:49/49

 筋力:46

 知力:70

 敏捷性:55

 器用さ:81

 耐久力:46

 精神力:88

 最大値:610 素質:16

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 適性:水・光・干渉

 魔法:なし

 ―――――――――――――――――――――――――――――



 翔のステータスに続き、日菜子のステータスも十分に凄かった。


 翔と日菜子のスキルの欄に、魔力感知系のスキルが無いのが気になったが、魔道と言うスキルに纏められているのだと解釈すれば、納得できた。


 二人が“魔力操作”を使えたと言うのは、恐らくこのスキルのお陰だろう。


 スキルもそうだが、ステータスで最重要な素質の値が、二人とも高かった。アオイが10なのに対し、翔は18、日菜子は16だ。


 レベルを上げていけば、この二人とは差が開いて行くのは明白だ。


 差が出来ること自体問題ではないが、それで結愛を探せなくなるのはごめんだ。素質が少ないのであれば、地道な鍛錬を重ねていくしかない。


 これからも不眠不休が続きそうだな、と少しだけ溜息交じりに囁いた。


 だがこれは、二人のステータスを見たことで分かった、アオイとの隔絶する予感しかない差は、ある種の希望でもあった。


 アオイのステータスだけが低いのであれば、結愛のステータスはそこまで低くない可能性が出てくる。


 もしそうであれば、先程の危惧や不安も少しは薄れると言うものだ。


 二人が自身のステータスを見せたので、アオイのも見せて欲しいと頼まれたので、順に見せていく。やはり、形容し難い何かがあるのか、二人はオーバーリアクションとも言えるような反応でアオイのステータスを見ていた。


 そんな二人の如何にも異世界を満喫しているような様子に、羨ましさ半分、妬ましさ半分で眺め、感傷に浸っていた。


 もし結愛が行方不明になっていなかったなら、俺も二宮達のように純粋に楽しめたのだろうか。異世界モノの小説を読み、アニメを見ていた葵は、どんな反応を示しただろうか。


 無意味な仮定だ。


 現実はそうではない。今も結愛がどこか別の場所へ召喚され、苦しんでいる可能性がある。


 でも、思わず、そう考えてしまった。


 そんな自分の弱さに呆れ、このままではいけないと、頬を両手で叩く。


 パチンッといい音が鳴り、アオイの両頬はじんわりと赤くなる。


 急に自分の頬を叩いたアオイに、何があったのか尋ねてくる二人に、気を入れ直しただけだとと答える。


 そして、内心静かに、異世界への未練を断ち切っていく。


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