5.Maid (侍女)
この前に“異世界”を投稿しています。
まだ読んでいない方には、そちらから読むことを推奨します。
教えられた道に従って進むと、謁見の間と変わらない程の豪華で大きな扉に出迎えられた。
――なんてことはなく、学校などのものより一回りほど大きい扉が葵を迎えた。大きな扉であることに変わりはないが、謁見の間と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
謁見の間の扉と変わらない所と言えば、幾何学模様が刻まれてる点くらいだろうか。
やはり謁見の間は客を迎える部屋だろうから特別なのも当然か、と自虐気味に笑う。扉の前に騎士は居らず、自分でその扉に手を掛けると、相応の反発が返ってきた。
日頃から鍛えているので、苦も無く扉を開け図書室の中を見ると思わず口から感嘆の声が漏れた。
図書室は葵が今まで見たこともないような広さだった。謁見の間と同じかそれ以上の大きさを誇るだろう室内は二階建てで、中央部分が吹き抜けになっている。
吹き抜けの下は読書するスペースのようで、木製の机や椅子が天窓から差し込む陽光で照らされている。
一階の中央の読書スペース以外は、葵の部屋にある本棚の二倍はある高さを持つ本棚が規則正しく並べられており、通り道を残して埋め尽くされていた。
どこかの本棚に隠し扉がありそうだな、とあほらしい考えを抱いた自分に笑ってしまう。
気を取り直し、一先ずこの世界の歴史でも調べるか、と図書室内にいた司書の一人に本の位置を尋ねた。その司書は葵の持っていたイメージと違い若い男性で、葵の質問に本の位置を完璧に把握しているのか迷うことなく答えてくれた。女子なら惚れてしまいそうなくらいの好青年だった。
歴史に関する本を三冊抜き取り、タイトルを見るとそれが日本語で書かれていることに気がついた。そもそも、本棚の縁に書いてある“歴史”という文字が日本語が書かれている時点で、もっと言えば、この世界の人と話が成立した時点で、可能性としては思い付いていた。
やはり、異世界召喚に言語翻訳は付き物らしい。
陽光が差し込む机に持ってきた本を置き、椅子に座ると早速本の内容に目を通す。やはり、内容も日本語で書かれていた。
もし文字が読めない場合は、これから来るであろう常識の教授に来てくれる人に教えて貰おうとしていたが、その手間が省けたことに感謝する。
言語翻訳のお陰で気兼ねなく本が読めるので、無言で歴史本のページを捲っていった。図書室と称されるだけあってとても静かなその空間は、僅か数分で葵は集中を極限にまで達せさせた。
葵が極度の集中力を発揮するときは、大抵の場合意識が周囲の物事から切り離される。周囲の雑音に等しい声などは、完全に遮断されてしまうほどだ。
なので、集中状態に入っている葵を呼ぶなら、肩を叩くなり、視線を遮るなりの物理的な行動に出なければならないから面倒だ、と夏妃から言われたことがある。
既にその集中域に達している葵は、いつもより勝る速さで文を読み、内容を頭に叩き込んでいく。速読は、数多の小説を読んできた葵のとっては朝飯前だ。
厚めの参考書ほどの大きさの歴史本を一時間程度で読み終わると、丁寧に机に置き二冊目を手に取る。一冊目は文字の他に挿絵などがあり、比較的早く読み終わったのだが今回の本は挿絵が全くなく、読み終えるのに、一時間半掛かってしまった。
因みに葵が時間を把握しているのは、図書室に壁掛け時計ならぬ浮遊時計があったからだ。浮遊時計とは文字通り、浮かんでいる時計のことだ。どういった原理か分からないが、魔法のある世界なので宙に浮かせる魔法でも使っているのだろうと考え、そのことは頭の隅に追いやった。
そして三冊目の歴史本を、一時間程で読み終え一息つく。まだ三冊しか読んでいないが、王の話に間違いがないことは分かった。歴史に関する本を選んでいたとき、ちょうど戦争に関する記載があったので、真偽を確かめるべく読んでみたのだ。
だがこれで、何かの陰謀によって召喚された、と言う可能性は随分と薄らいだと思っていいだろう。
他の二冊は各国の成り立ちや、王の名前、大きな出来事があった年などが記載されている程度だった。何はともあれ、この国の歴史や事情は粗方把握できた。
そして、一番驚いたことは、この国の王妃が既に逝去していることだった。四年前に何の前触れもなかった。王妃は国王と同じで国民に優しく、又若かったこともあって、国葬には国民のほぼ全てが参加した。
葵は王妃にあったことはないし、人柄がどうとか言われても「そうだったんだ」程度の認識だが、王女には申し訳ないことをしたと思った。
ソフィアには姉がいるが、母親が旅立ってから二年後に隣国のメリト帝国に嫁いでいる。
それ故に、国に残された唯一の跡取りとしての立場上、塞ぎ込むことも許されなかったはずだ。
母親を亡くしたのが十歳、その二年後姉を奪われた彼女のことを知らなかったとは言え、少し無神経だったと、反省している。
後で改めて謝罪した方が良いかもしれないな、と考えつつ、次の本を取りに行く前に、今読んだ三冊の本を戻そうと椅子から腰を上げた。
一歩を踏み出した葵は、背後に立っていた誰かとぶつかってしまった。
幸い、バランスを保ち本は落とさずに済んだ。没頭すると周りが見えなくなる癖がある葵はすみません、と相手の人の姿を確認する。
そこには、葵がこの世界で一番会いたくない人――腕にヒビを入れた赤髪の男が立っていた。
「調べ物は進んでるか?」
「ええ、まあ。……そちらの女性は?」
男に対し軽い苦手意識があるが、頑張って社交的に挨拶を交わすと、男性の後ろに控えるメイド服姿の女性に目が行った。彼女は葵が視線を向けると、軽く会釈をしてきた。なので、葵も倣って会釈を返す。
「お前さんに常識を教えてくれる、お前付の侍女だ」
「アルテナと申します。以後、よろしくお願い致します」
短めのレディシュの髪が特徴的な女性だ。瞳は明るい蒼色で、服の端から見える肌はとても綺麗な色をしている。歳は12~14くらいだろうか。身長も平均的なように見受けられる。顔立ちも可愛い部類に入るだろう。
やはり異世界は王女といい、この侍女といい、顔面偏差値が高いよなぁと変な関心をする。
だが何故だろう?
可愛い系であるアルテナから嫌悪と言うか敵意と言うか、そう言った負の感情が孕まれた視線を向けられた気がした。と言うより、完全に敵視されている。
初対面のはずだけど、何かしたっけ? と疑問が湧くが、考えていても埒が明かないので挨拶を返すことにした。
「ああ、綾乃葵だ。こちらこそ、よろしく」
アルテナにそう返事をし、男性に聞きたいことがあるので少し待っているよう頼んで、本を戻しに本棚の陰へ消えていった。
その心情は、あの侍女と仲良くして行けるのかと言う不安でいっぱいだった。
「取り合えず、これは何か教えてくれるか?」
戻ってきた葵は、開口一番そう言って自分の右手の甲にある赤色の魔方陣を見せた。本を選ぶときに気がついたのだが、擦っても消えないので、事情を知ってそうな赤髪の男性に残ってもらったのだ。葵の推測は正しく男性は予想だが、と前置きして説明を始めた。
「それは召喚者特有のものだという解答が俺達の中では出ている。他の召喚者達の甲にも、色や形は様々だが手の甲にあったのは確認している」
「そうなのか。……これが何なのか、はっきりとは分からないのか?」
「ああ。魔道師団員が調べてはいるが、結果が出るのはもう少し時間が掛かるだろうな」
「そうか。一応聞くが、害にはならないよな?」
「恐らくはないだろう。……体に異変でも感じるのか?」
「いや、心配性が出ただけだ。気にしないでくれ」
今のところこの魔方陣が何か、答えは出ないらしい。特に異常も見受けられないので一先ずは放置で良いだろう、と思考を切り替える。
「俺はある程度知識を身に付けたらここを出ていこうと思ってるんだが……問題はないか?」
「いや、一週間後に召喚者のことを世間に広めるための催しがある。それが終わるまでは待ってくれないか」
「……構わないけど、それをする意味はあるのか?」
戦争の前触れを国民に知らしめることになるのではないか? とその意図を尋ねる。
「国民は既に魔王が誕生したことを知っているからな。召喚者を喚び、戦力の補強が出来たことで、民をを安心させることが出来る」
「そうか……。ところで質問なんだが、あんたはどういう立場にいる人なんだ?」
何気なく偉い人だと思ってはいたが、国民を安心させようと思っているところや、王女の護衛をしていたことを思いだし、ふと尋ねた。
「ああ、言ってなかったな。俺はオディト王国騎士団団長ルディアンだ。召喚者の訓練を受け持つことになる。よろしくな」
自己紹介をすると、騎士団長ルディアンは豪快に笑った。なるほど騎士団長なら先程の疑問にも合点がいく、と納得する。知らなかったとは言え、かなり地位の高いルディアンに敬語も使っていなかったことに気がつくと、葵はばつが悪そうに言った。
「……ってことは、敬語で話した方がいいの……でしょうか?」
「いや、俺に対しては敬語じゃなくてもいい。俺は平民から成り上がったからな。寧ろ敬語はむず痒いものがある」
「そうか。分かった」
「ああでも、基本的には敬語とかで話すことを進めるぞ。今のお前だと敵を多く作りそうだしな」
ルディアンがラフな話し方をしている理由が何となく分かり納得する。平民から成り上がったのであればルディアンの忠告は今の葵は聞いておいた方がいいのだろう。
もとより、この話し方でいれば敵を作ることは自明だ。敵を作ればそれだけ面倒になりそうだと思い、これを機に変えてみることにした。
下手すれば、もう既にクラスメイトに敵として見られているかもしれないしな、と内心考えつつ、敵を作らない、当たりの強くない言葉遣いが出来るように調整する。
「…………このような話し方がよろしいでしょうか?」
「気味わりぃな。俺とは普通で良いって言ったろ」
「まぁそうですね。でも取り敢えず今日は、これを定着させるためにこれで通しますね」
「……好きにすればいいさ。じゃあ俺はこれで行くぞ。明日からの騎士団の動きを決めなきゃいけないからよ。明日からの大まかな動きはアルテナに教えてるからそれに従ってくれ」
「はい。ありがとうございました」
葵の言葉遣いに「慣れねぇな……」と、苦い表情をして頭を掻きながら図書室を退出するルディアンを見送り、葵の座る椅子の斜め後方で姿勢よく立つアルテナに視線を向ける。
既に彼女から送られる視線に負の感情はなく、対面時のあの視線は嘘だったのではないかと考えてしまう。
「取り敢えず、明日からの予定を教えてくれるかな?」
「はい。まず明日ですが訓練場にてアイデンティティーカードを配布いたします。朝食が終わり次第集まるようにとのことでした」
畏まった言い方で葵にそう告げるアルテナ。敬語で喋られることは滅多にないので、慣れないなと感じつつ、視線で先を促す。
「アイデンティティーカードの配布終了後は、朝食後に座学、昼食後に訓練などを実施するそうです。その後の流れは先程ルディアン様が言っていた通りになっています」
「なるほどね……。質問いいかな?」
「はい。何なりと」
「アイデンティティーカードってどんなの?」
何となく言葉と話し方から、個々人に必要な物なのは把握できたがそれまでなので素直に尋ねる。アルテナは表情一つ変えずにしっかりと質問に答えていく。
「アイデンティティーカード……身分証やカードと称されることが多く、これがそのアイデンティティーカードになります」
アルテナは説明途中でメイド服のポケットから鈍色の金属光沢を放つクレジットカード大のカードを取り出した。それがアイデニティーカードなのだろうとまじまじとそれを見つめる。ただそのカードは両面ともまっさらで、到底身分を証明できそうなものではなかった。
「何も書いていないけど……。これで身分が証明できるのか?」
「はい。個人の情報が記載されているので、通常の状態であると他人には見えない仕様になっております。見るにはこのカードを起動することが必要になります。その為に起動文字と魔力が必要になります。まず最初の起動文字ですが――“オープン”」
カードを手にそう呟くと、ポゥと淡い光でカードが覆われた。恐らくこれは魔法の一種なのだろう。魔法があるのは歴史書を読んでいくと、四属性だ特殊属性だと偉人紹介のような文で読んだので知っていたが、実際目の当たりにするとやはり感嘆の声が漏れる。
そして同時に、今光っているこれが魔力なのだと理解する。今はただ光っているようにしか見えないが、その内使えるようになるのかも、と考えるだけで胸が躍る。
光りが消えていき、元の金属光沢しか放たなくなったカードを此方に差し出した。それを受け取るとカードには文字が刻まれていた。というよりは、カードの上に文字が乗っていると言う表現の方が正しいだろうか。擦ってみてもそこに凹凸はなく、触り心地は元のカードのそれだ。
スマートフォンの画面も文字が映るが、それはしっかりとした原理のもとに成り立っており、詳しくは知らない葵ですら凡その仕組みは理解できる。
対し、このカードの仕組みは理解できそうにもないので置いておき、書かれている文字を読むことにした。
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アルテナ 14 女 種族:人間
職業:分析家 状態:正常
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こう書かれていた。なるほどこれで身分証明証か、と言っていた意味を理解する。確かに個人情報があるからこそ、隠蔽されていることに納得した。そうでなければ、個人情報ダダ漏れになってしまう。
「これで自身の情報を見ることが出来ます。カードの持ち主の同意が無ければ内容を覗くことは不可能ですのでご注意ください。現在、私の名前や年齢、職業などが見えているかと思います。次に私が使える技能をお見せします。起動は“スキル”」
葵の手にあるカードに触れ、アルテナはそう呟くと再びポゥと光だし、カード上の表記が変わっていった。
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固有技能:観察眼
唯一技能:なし
特殊技能:魔力感知{魔力操作・魔力放射・}
普通技能:弓術・家事
加護:なし
耐性:火耐性
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ゲーム的な感じの異世界か、と考えた葵は、恐らくステータスもあるのだろうなと推測する。
「――それにしても、スキルの種類多いな」
葵の呟きに、アルテナはそんなことはないですよ、と口添えする。
これが常識になっているのなら違和感は感じないだろうが、ソシャゲなどで“スキル”という一つの言葉に纏められていることに慣れている葵からすれば、やはりスキルに四種類の分別があるのは多いと感じてしまう。
「因みにこれって、どれくらいの違いがあるの?」
「そうですね。簡単に説明するならば、上から才能によるスキル、世界中で一人しか持たないスキル、多少珍しいスキル、一般的なスキル、と言った具合です。明日の訓練時に詳しい説明があると思いますので、参考程度に留めておいてください」
「なるほど――了解」
字面からある程度の予想はしていたが、アルテナの説明で確信に変わる。全部安直だな、という身も蓋もないことは心の内に留めて置いた。
「次は私の能力値についてお話しします。起動は“ステータス”」
予想を違わない展開に何とも言えない感覚を味わいながら、再三に渡り淡い光を放つカードを眺めた。
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レベル:6
生命力:101/101
魔力:103/103
体力:104/104
筋力:43
知力:48
敏捷性:48
器用さ:56
耐久力:41
精神力:48
最大値:592 素質:12
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さっぱり分からん、とついついぼやきそうになった小言を抑え、今日の趣旨である“丁寧語の定着”のため、言葉遣いを直して疑問を口にした。
「生命力、魔力、体力の三項目をパラメータ、その他の六項目をアトリビュート、省略してアトと、そしてこれら全体を纏め、ステータスと呼称しています」
「なるほど……。他の人と比べて、この数値って高いのか?」
「私の知る限り、素質値は1~3の人が多かったので、私のステータスは平均のステータスよりも高い方だと思われます」
「なるほど、これが高いのね。……最大値ってのは文字通りだろうけど。この素質はどんなものなんだ?」
途中小声で呟いた自己完結を置いて、その隣に光る“素質”の文字に目が行った。最大値は文字通りだとカードを見ている間に計算してわかっていたので、スルーした。
「素質と言うのは、簡単に言えばレベルに応じて上がるステータスの値を示します。私の素質は10。つまり1レベル上昇するごとにパラメータが10、アトが5づつ上昇する仕組みになっています」
「ステがそのままでアトが半分か……レベル上げ以外に数値を上昇させる方法はある?」
「地道なトレーニングで、僅かですが数値は上がります。ですがレベル上げの方が楽ですので、魔物を狩ることが出来る人はその殆どが、魔物狩りでレベル上げをしています」
魔物が居るのか、と驚いたが、よくよく考えてみれば捜索に行くと死ぬと召喚時に断言されたので恐らく、死の要因はこの魔物とやらなのだろう。
魔物についても調べなければな、と決めて、葵は続きを催促する。
「他に、このカードに関することは?」
「魔法適性というものがあります。どの属性の魔法に適性があるのか、また現状どのような魔法が使えるのか、調べることが出来ます。起動は“マジック”」
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適性:水・風
魔法:初級〈水・風〉・中級〈水〉
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表示された内容を見ると、そこには二種の魔法が書かれていた。魔法と言うのが、恐らく今アルテナが行使できる魔法のレベルのようなものなのだろう。
早く自分の適性も知りたくなるが、明日教えて貰えるとのことなので、先に出来ることをやっておく。
「これで、カードの説明は終了になります。基本的に“オープン”、“スキル”、“ステータス”、“マジック”で、自身の情報を見ることが出来ますので、最低限これだけ覚えて頂ければ苦労はしないかと思います」
「分かった。丁寧にありがとう」
葵の礼を以て、アルテナの講座は終了した。気がつけば吹き抜けから差し込む光は僅かに傾いており、先程までのような直射日光は当たっていない。
三冊目を読み終えたのが短針が十二時の辺りを指していたころで、今見てみると短針は一時にまで傾いていた。
こんなに長い間話していたのか、と全く気がつかなかった自分に驚きを覚えつつ、遅めの昼食をとるべくアルテナに説明して、入口に足を向けた。
そのタイミングで葵は思い出したかのように切り出した。
「一つ聞いておきたいんだけど、その喋り方は素なの?」
「いえ、主人には敬語で応対するのが常識と教えられたので、この話し方にしています」
「そうか。無理してるなら、敬語じゃなくても良いからね?」
葵の言葉に、アルテナは目を伏せる。それが了解を示したのか、そんなことはできません、と遠慮したのかは分からないが、今はそれで満足することにして、昼食を取る為に図書室を出た。
明日は秋分の日ですので祝日投稿します。




