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意外な言葉が返ってきた。
車を傷つけた人間はあと四人いるのに、死ぬのはそのうちの三人だって。
もちろん俺は聞いた。
「三人。ここにいる四人のうちの三人が死ぬということか?」
「そうだよ。あの親子はみんなに直接呪いをかけたわけではなかったんだ。傷つけられた車、自分たちの身体となった車に呪いをかけたんだ。僕の目の前でね。僕にはそれがはっきりとわかった。だからあの真っ赤な車が呪われた車となった。生きた人間を死者へと変える車にね。そういったわけで、四人のうちの三人が死んで、一人は生き残るんだ」
「誰が生き残るんだ?」
「それは僕にもわからないよ。車に聞いてくれってところかな」
あの車が呪いの車となって、俺たちは車に呪われているということか。
それはなんとなくわかった。
しかしまだわからないことがあった。
「おい、どうして死ぬのがあと三人なんだ?」
峰元は俺の目をしばらく見てから言った。
「すでに二人死んでいる。最終的に死ぬのは五人だ。だからあと三人死ぬ。それはどうしてだと思う?」
「……そんなことこの俺にわかるもんか」
「あの車に本人も知らない間に乗せられた者が死ぬんだ。あの親子は車の中にいるが、もはや車と同化していると言っただろう。だからあの親子をのぞいた車の定員分だけの人間が死ぬんだ。そしてあの車は、五人乗りだよ」
峰元はそう言うと、ドアを閉めた。
終




