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「どうして死んだのか。何か知っているのか」
「僕のところに来たと言うことは、そっちでもだいたいわかっているんじゃないのか」
「だからそれを詳しく知りたい」
元は大きく息をつくと言った。
「いたんだよ、あそこに」
「幽霊かなにかがか」
「そう。殺された母親と娘がね。最初は家の中にいたんだが、みんなが車にらくがきしだしたら、車の中に入って来た。運転席に母親。そして助手席に女の子が座っていた。最後は車と一体化していたよ」
「車と一体化してたって?」
「ああ、幽霊は肉体を持たないからね。生きた人間に出来ないことができるんだ」
「でもどうして車と一体化なんて……」
「それは僕にもわからない。僕の霊感と言うのはその場の怪しいものを見たり感じ取ったりはするけども、それだけだから。幽霊の細かい思考や心理までは、さすがにわからないよ」
「それでそいつが沖田と相場を殺したのか」
「そうだと思うよ。殺されるところを見たわけじゃないけどね。とにかく半端なくやばいやつだから」
「そんないやばいのか、そいつは」
峰元はもう一度深く息をついた。
「ああ、めちゃめちゃやばいよ。最初見たときから、その目に極めて強力な憎悪を宿していた。殺された恨みだろうね。それが車を傷つけられたとき、憎悪が殺意に変わるのがはっきりとわかった」
「……」




