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そんな話をしていると、俺はあることに気付いた。
――いや馬鹿な。そんなことがあるわけがない。
しかし一度その思いに囚われると、そいつは俺を捕らえて離さなかった。
「おい、どうしたんだ?」
俺の不安と恐怖は、顔に出ていたのだろう。
気付けば全員が俺の顔を見ていた。
話そうかどうしようか迷ったが、結局口に出した。
「いや、確信があるわけじゃないんだけど、二人が死んだのは、あの家で車にいたずらしたからじゃないのかと思って」
その場が水を打ったかのように静かになった。
しかし一人が反論し始めると、残りもそれに乗ってきた。
「そんなわけあるか」
「あの家とか車とか、関係ないさ」
「たまたまだよ。たまたま」
「呪いとかたたりだなんて……」
「そうだ。そんなものがあるわけがない」
いいたいことを言って、みなが静かになったとき、俺は言った。
「ほんとにそうか」
返事はなかった。
もう一度言った。
「本当に関係ないと、絶対の自信を持って言い切れるのか?」




