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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

喪失

作者: 桐和

残酷な描写は出来るだけ軽い描写にしたつもりです。ですが無いわけでは無いのでご了承下さい。他の小説に比べれば比較的軽いと思っていますが、やはり主観でしかありませんのでお気を付け下さい。

俺の名前はジン、今回A級魔獣の討伐遠征に参加した冒険家だ。


冒険家とは冒険者ギルドに加入する義勇兵のような傭兵なような存在だ。


彼らは騎士や憲兵に混じり魔獣の討伐を行う。


まあ、A級冒険家は結構な実力者揃いだ。


嫁のユンと一緒に遠征に出た。A級冒険家にとってA級魔獣は単独で討伐できるが流石に一般人や子供には倒せない。A級は凄い強いって訳だ。8人位の人数での討伐だ。普通は3、4人で十分なんだが、イレギュラーが起きた時のための増援の様なもんだ。


ユンもA級だぜ。ユンは弓使いだが俺より実力がある。弓だからこそ俺より上なんだがな。俺は弓はからっきしだかんな。剣しか使えない。


少し性格が男寄りで男勝りだ。まあ子供の時から遠慮なく思いっきり馬鹿やってた仲だからな。強気な性格も頷ける。


けど、女として扱われる事に慣れてねえから、女扱いすると照れたり怒ったりすんだよ。可愛いぜ。


黒髪のサラサラロングで、体型は細く、スタイルは良い方だ。ていうか、俺の好みバッチリなんだよ。手に収まる感じの膨よかな胸に決して小さく無い背丈。足も細くて綺麗でな、肌も白に近い肌色できめ細かいんだ。スルスルの肌感だ。美人でも美少女でも美女でもある顔付きに美少女と美人の間にあるようなちょうど175ある俺の目んとこにユンのデコがある位の近い背。決して弱くないけど見た目折れそうな細い腕も腰もバランスの良い身体つきをしてんだ。そのせいかなんの違和感も無い


まあ要するに俺の好みバッチリな超絶美少女だ。


「ん?何よ?」


ユンは俺の視線に気付いてか俺に仏頂面で反応した。


「んー、いや〜ユンは可愛いなーって」


ユンは俺の一言に一瞬で顔を赤くした。


「バッ、な何言ってんの!馬鹿!」

「照れてる可愛い」

「んなっ!ジンのばかっ!んもう!」


照れて赤い顔を逸らすユン。やはり可愛い。しかし嬉しいのか手先をモジモジさせている。可愛い。


「ユンはホント可愛いなー」

「イッ、いい加減にして!ジン!」

「怒ってるユンも可愛いぞー」

「あんた馬鹿じゃないの!?」


そろそろ怒気が含み始めたユンの声に俺は一先ずユン弄りを止めた。


少し笑いが込み上げて来た。


「ククッ」

「もうもうもう………ふふ」


ユンも笑いが込み上げたらしい。


「お前ら夫婦は仲が良いなー」


とA級冒険家仲間であるドンがガハハと笑いながら言ってきた。


「ッ〜〜!」


ユンが顔を赤くした。それに対し俺は爽やかな笑顔をドンに向けた。


「おう、ありがとな」


とここでユンを抱き寄せる。「ん」てユンが身を捩る。


「んでお前はまだ独り身か?」

「ガハハ、こんな漢そうそう居ねえだろうよ!」

「はっ、確かにおめえのような暑苦しい奴は少し遠慮するだろうな」


ドンとの馬鹿話をしながらユンを弄りながら俺達ははA級魔獣の情報を提供してくれると言う村を目指して馬車の中で揺すられた。


その間ユンは俺に抱き寄せられたままだった。さぞかし身悶えた事だろう。



あの後、俺達は村へ到着して馬車を降りた。


そこで情報を更新やらなんじゃらしたあと、A級魔獣の討伐-と言う予定だった。


「よし、この地帯の魔獣は狂熊(バーサークベアー)だけだ」


ドンが再確認を行い危険性の判断を下した。3人を村の周囲の警戒に残し俺、ユン、ドンを含めた5人で出発した。


………

……



「ふう、楽勝だったな」

「だな」


俺の一声にドンが同意を示す。俺達は村を出て1日のうちに魔獣を討伐した。


「直ぐに見つかったのは運が良いな」


本来は足跡などの痕跡から始める為もっと掛かるんだが、ユンの言った通り運が良いのだ。魔獣は直ぐに見つかり討伐出来た。


「帰り血が付いちまった」


とはドンの事だ。


「さて、帰還するか」


俺達は帰路へ足を動かした。


照る日の光が沈み暗くなり、あたりは雰囲気の悪そうな空気をしていた。


そして、俺らの横をなにかが掠めた。それは地を焼き木々を貫いてった。


「?なんだ?今の?」


後ろを振り返ると、上半身が消えている鎧の姿が、


「ギルバート…!!やられたぞ!!」


ドンは誰か直ぐにわかったようだ。仲間が一人やられた。


「おいおい、ギルバートも結構強えんだぞ?」


もう一人の騎士が口を開き、事の危険性を暗に知らせている。


「あれは…まさか…」


ユンが戸惑いを、焦りを隠せないほどに驚愕していた。


俺達が視界に収めたのは、


駿足一眼巨人(エギル・サイクロプス)…」


エギルサイクロプス…それはその巨体に似合わない素早さで、生物を刈る一眼巨人である。その体からは、信じられない程の速さで生物を蹂躙し、更に本来一眼巨人族には無い魔法を使う故に圧倒的に順応性が高いのだ。どんな状況にも対応出来る強さを持つ。一番の問題は、生き物を快楽の為に殺す為、非常に危険なのである。更にその逸脱した強さはA級に収まらず、S級魔獣として認定されている。その身体は通常の白いサイクロプスと違い魔力を帯びた肉体を持ち黒く滲んでいるのである。


「逃げるしか無い!」


もう一人の騎士は即座に撤退の判断を行い逃げるように走り出した。


それにはドンは頷き後退りした。


サイクロプスの目に光が溜まり直ぐに危険と判断した俺は直感に任せて、もう一人の騎士、ハーバルトに向かって声を上げた。


「ハーバルト避けろ!!」


ハーバルトは聴こえたのか、横っ跳びに跳躍をした。感が当たり、サイクロプスの目から閃光が走る。


「あっぶね!くそっ」


急な回避の為ハーバルトは武器を閃光に焼かれたようだ。


ユンはその隙に目眩しに閃光爆弾をサイクロプスに向けて投げた。


辺り一面を白く塗り替え俺達は走り出した。


「ぐはあっっ!」


ドンの声が聞こえた。


「ドン!?」


ドンがやられた不味い。ならせめてユンでも逃すべきと俺は判断した。


「ユン!逃げろ!ハーバルトも!」


ハーバルトを忘れそうになったが。ついでに逃げるよう指示を出した。俺は声の聞こえた方へと駆け出し剣を振り抜いた。


脳に警鈴が響き咄嗟に嫌な感じの左側に剣を添える。すると突然剣を伝って重い衝撃が伝わり、俺は宙を舞った。


「ガッ、グハッ」


地面からなんとか直ぐに立ち上がる頃には光は収まった。ユンは逃げていなかった。


「逃げろユン!」

「嫌だ!」


くそっ、ユンが逃げてくれない事に悪態をつくとドンの雄叫びが。


「ぬおおおおおおおおおお!!!」


ズガン!

とドンの大剣が


フツ

とハーバルトの投げナイフが投げこまれた。


「俺が殿になる!おめえらは逃げろ!!」

「無理だドン!!一人じゃ殿にならないドン!!」

「馬鹿言ってんじゃねーよハーバルト!冗談言ってる場合じゃねー!!」


冗談言ってる場合かよこいつ、実は余裕なんじゃねーか?てか生きてるし。


「しまった!」


ハーバルトに気を取られた隙に接近を許してしまった。上から剛腕が向かう。矢が刺さるのが見えた、ユンが援護のために射ったんだろう。しかし、俺が気づくのが遅すぎた。剣を盾に掲げたが俺は叩き潰された。


「ガフェッ」


……

………


「ゔっ」


意識が朦朧と浮上してくる。


(俺は…確か…っ!)


腕に力を入れてみるが動かない。首だけを回して見上げる。少し距離の空いた場所に赤い塊が。


「ユン!」


焦って俺は目を開くが自分の声が聞こえない。

よく見るとユンではない。


(あの軽装鎧…くっ、ハーバルトか)


更に見渡すと灰色の巨体が。そして相対しているユンが。


「ユン!」


自分の声が届くのかは分からないが意思とは無関係に口を開いた。


するとユンの視線が一瞬此方を向いたのが見えた。


(聞こえるのか……助けないと、ユンを)


腕に力を入れるが先程と同様に動かない。


「うおおあああああああ!!」


(動け!動くんだ!!)


体が持ち上がる。更に力を込めて立ち上がるために、死力を尽くして、


(立つんだ!!俺!!)


自分を振るい立たせ俺はこの身を持ち上げ…


「ぐっ」


落ちた。


息が荒くなる。


今俺は、また地面と接触している。ユンが、危ない。


想像するだけで息が…見上げる。ホットする。生きてる…ユンが生きてる。


「ふぐぐぎ…っ…ッハ、ユン!逃げろー!!」


苦しい、胸の感覚で肋が折れてるのが予想つく。


「逃げてくれ!逃げるんだ!!」


ユンを逃す為に、


(動けーーーーーー!!)


左腕が崩れる、ブランと垂れ下がる。外れてるか。右腕に激痛が、肋からギギギと衝動が伝わる、


「うっ…くっ、かはっ、ぐふっ、がああああ!!」


身体が悲鳴をあげる、軋む。


「ううっ」


歯を食いしばって呻く。


「ユン!」


考えるより先に声が、


見えた光景はユンが木にもたれ掛かっている姿。

そして、ユンに接近する巨体。


…ふざけるな…ユン…


「ユーーーーン!!!にげろーーーー!!!」


(動け!動いてくれ!頼む、頼む、頼むから!動いてくれ!動けよ!!)


動かない身体に鞭を、


「ユン!嫌だ!死ぬな!逃げてくれ!頼む!」


俺の必死の叫びにユンは此方を見つめながら…


『ごめん』


聞こえなかった。けど、口を見て分かった。その一言が分かった、分かってしまった。


「ユン、ユ、ン…やめ…やめてくれ…」


視界が歪み、滲んでいく。

ゆっくりと、死が近づくと音を連想させるようにゆっくりと巨体がユンに迫る。


「やめ、ユン、やめろ、やめてくれ、ヤメルンダ」


ヤツが腕を振るう姿を思い浮かべ、喉から悲鳴が、


「やめろー!!!」


もつれる身体を持ち上げようと叫ぶ


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


伸びないはずの左手が伸びる。外れているのは分かる、けど気づく必要も余裕もない。あれが俺に向けば、向いてくれれば。


「や゛め゛ろ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」


そして、血が四散した。


「あ……あ…ユン?」


ユンが見えない。ユンは何処にいる?


「ユ…ン?…あ…あ、ああ、う、ウウウウウ、ああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


ユンは、ユンが、しんだ。しんだのか?ああああああ、ユン、どうして。俺が、弱いから、俺が…あのサイクロプスが…


「あああああああああ!!!」


走る、雄叫びを、何故動くのかは分からない。だが俺の手にあるのは武器で俺は巨体目掛けて突進している。


「シイイイイイイイイイネエエエエエエエエ!!!」


剣を振るう。


そして…


バンッ!

身体が折れた。

横に俺は消し飛んだ。


土を跳ね、地面を削り草を潰し…そして岩に突撃した


ズルリと身体が落下した。視界が赤い、血が身体を伝って流れる。


動くことも出来ずに、俺の意識は泥に沈んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ピクッ


指先が反応を示す。


「あ?」


か細い声で、しかし、確かに男の声で。


俺は目を覚ました。


…………


俺は歩いていた。


意識も何も無いのに、人形の様に何処かへ向かう。


そして


「ユン?」


その名を口にした。


「ユン…ユン…」


名を繰り出す度に人形は早く道を進んだ。


少し開けた場所にたどり着いた。


土に広がる、紅色の何か。


記憶に無い(・・・・・)、大きな斧の近くに転がる赤い水溜り。


けどそれよりも、木に飛び散る薔薇へとそも人形は足を向けた。


そして、崩れ落ちた。自然と嗚咽も漏れ出る。


「う…ああ、うわあああああああああはああああああああああああああああああ、あ、あぐ、あああああああああああああ、ふぐ…うああああああうううううああああああ」





凄く読み辛かったかも知れません。それと、考えてる時と、描いてる時とで内容を強引に変えているので少し伝わりずらいかもでした。出来れば自分が鬱にならない様に書いていたので少し薄っぺらい内容かと思いますが、読んで頂き誠に有難う御座います。あとアドバイスとかたくさんください。


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