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それに気づいたのかはわからないが、コクはけらけらと笑う。
「どうだろうなぁ。
レイルがおもしれーもん連れて帰ってくるとだけいっとくわ」
コクはそれだけしか答えず、ノアはふてくされた子供の様にむっとした顔になる。
「レイルさんに詳しく聞けば良かったですね」
そう呟いてそっぽ向く。
またコクの笑い声が聞こえた。
もうとっくにレイルの姿の見えなくなった空を見上げる。
雲はただ流れるばかりで、ノアの不安を吹き飛ばしてくれそうにもない。
ノアは静かに動き続ける馬車に乗ってレイルの帰りを待つのみだった──。
──馬車から少し離れた空の上。
レイルは先ほどの大きな馬車を見下ろし、ゆったりと飛んでいた。
大きな馬車は特に目立った動きもなく、先にある森を目指して進んでいた。
「クロスケめー、気づいてるのに無視するなんて冷たいヤツなんだぜ」
レイルは空を飛びながらむぅと口を尖らせた。
「さっきの馬車、檻は見えて鳴き声もした。
これだけだったら中に動物がいるのは明白なのに、"動物の臭いが全く無い"んだぜ。
これは事件の臭いがぷんぷんするんだぜー!おーっと……?」
馬車が森に入る。
レイルは徐々に高度を落とし、森の中を這う様に尾行を続ける。
馬車が開けた場所に出ると、御者台に上がっていた男はおり、幌の中から二人の男が姿を見せる。




