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「さて、俺の法具はこんなもんで良いだろ。
次はそっちの法具について聞かせてくれ」
コクはシロガネをリボン状に戻すと、ノアのマフラーを一瞥した。
「わかりました」
ノアはマフラーをするりと外す、マフラーを軽く握ると、その姿は一本のナイフへと姿形を変える。
「これが私の法具、名をハコブネです。
能力は、ありません」
ノアが淡々とそう語ると、目の前の少年はあからさまに信じられないと言った表情になった。
「能力がないってどういう事だよ、全部の法具には必ず能力があるもんだろ」
「私にもわからないんですよ。
昔からこの法具は能力のない、ただのナイフです。
それでも私にとって大切な物なのです」
ノアは自身の法具を大切そうに見つめる。
コクは雰囲気に耐えられなくなったのか、ばつが悪そうに頬を掻いた。
「あー、悪いな。なんか変な空気にさせた。
能力無しの法具、アイツが聞いたら飛び付きそうだ」
「コクさん。その法具好きの方、よろしければ紹介して──」
ノアが口を開こうとした瞬間。
どこかで女性の大きな悲鳴が上がる。
その瞬間。喧騒に包まれていた街は、時でも止まったかの様に静寂に包まれた。
「なんだ今の!」
「いえ、それよりもなんでしょうかこの気配……!どす黒い、気味の悪い気配が……!」
「とにかく行くぞ!なんか不味い事になってそうだ!」
コクは駆け出し、ノアも紅茶の代金を置いてからコクの後を追う。




