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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第一章
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4

「さて、俺の法具はこんなもんで良いだろ。

次はそっちの法具について聞かせてくれ」


コクはシロガネをリボン状に戻すと、ノアのマフラーを一瞥した。


「わかりました」


ノアはマフラーをするりと外す、マフラーを軽く握ると、その姿は一本のナイフへと姿形を変える。


「これが私の法具、名をハコブネです。

能力は、ありません」


ノアが淡々とそう語ると、目の前の少年はあからさまに信じられないと言った表情になった。


「能力がないってどういう事だよ、全部の法具には必ず能力があるもんだろ」


「私にもわからないんですよ。

昔からこの法具は能力のない、ただのナイフです。

それでも私にとって大切な物なのです」


ノアは自身の法具を大切そうに見つめる。

コクは雰囲気に耐えられなくなったのか、ばつが悪そうに頬を掻いた。


「あー、悪いな。なんか変な空気にさせた。

能力無しの法具、アイツが聞いたら飛び付きそうだ」


「コクさん。その法具好きの方、よろしければ紹介して──」


ノアが口を開こうとした瞬間。

どこかで女性の大きな悲鳴が上がる。


その瞬間。喧騒に包まれていた街は、時でも止まったかの様に静寂に包まれた。


「なんだ今の!」


「いえ、それよりもなんでしょうかこの気配……!どす黒い、気味の悪い気配が……!」


「とにかく行くぞ!なんか不味い事になってそうだ!」


コクは駆け出し、ノアも紅茶の代金を置いてからコクの後を追う。



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