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光の刃
馬車は怪物の口の様に暗い鉱山へと飲み込まれ、それと同時にハクが松明で明かりを灯す。
松明はハクの手からノアの手へと受け渡され、その明かりを頼りに鉱山内を進む。
今や廃坑となっている鉱山には大きな岩や当時使われていた道具等が転がっていた。
コクは馬車がそれらを轢いてしまわないように慎重に避けて通る。
「先、見えませんね」
「ああ、ったくどんだけ長いんだここの鉱山はよ」
先は長く松明がなければ何も見えないほどに周囲も暗い。
出口があれば先に光が見えるはずだがそれすらも見えず、ノアとコクは不安を募らせた。
「お化けでも出そうな雰囲気ですね」
「やめろよ……普通に驚ける自信あるぞ……」
こうも暗いと何かが出そうな気がして仕方がない。
夜や闇はまるで魔法の様に大きな岩を容易く化け物に変えてしまうのだ。
「っ!」
ざわざわと嫌な気配を感じ、ノアは勢いよく後ろを振り返る。
「やめろよノアマジで出たってのかよ」
「違います。コクさん、貴方もわかるはずです」
勢いよく後ろを振り返ったところで荷台のハクとレイルが不思議そうな顔をしているだけだった。
先の見えない暗い闇の向こう、何かを引きずる音だけが聞こえてくる。
「!、この気配……!」
「ハクさん、そちらでも明かりを!」




