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「頑張ってくれよ?」
コクが馬に向けてそう呟いた。
馬は少し辛そうになりながらも、どうにか丘を登りきる。
そこから少し進むと、また森へと入った。
枝をリスが駆け抜け、深い深い森の中を馬車は音を立てて進んでいく。
変わらない景色の中、ノアは満腹ということもあり、眠りに落ちそうにこっくりこっくりと船を漕いでいた。
「寝ても構わねぇぞ」
「いえ、そう言う訳にも……、ふぁ」
ノアが小さなあくびを漏らすと、コクが忍び笑いを漏らした。
「別に構わねぇよ。地図ならさっき見てたし。暇だろ」
「ですがそれはコクさんに、悪、い……」
こっくりこっくりと船を漕いでいたノアはかくんと力無く頭を垂れる。
ノアが眠りに落ちてしまい、コクは一人馬車を進めていった。
──
──がたがたと馬車が揺れる。
その揺れでノアは目を覚ました。
一体どれ程時間が経っていたのかわからないが、それほど時間は過ぎていないらしく、空はまだ抜けるように青かった。
「ん……」
目を覚ますとまだ森の中だが少し荒れた道に出ており、何か掘り起こしたのか土の色が目立ち、小さな崖が出来ていた。
今は崖の下を目指しており、その先には坑道が見える。
「ノア、起きたか。見えてきたぞ」
コクがその坑道を指差す。
ノアは眠い目をこすってその先を見つめた。
「クァルトゥス鉱山だ」
その鉱山の入り口は先の見えない暗い闇に覆われており、ノア達を飲み込まんとする怪物の口の様に思えた。
第十一章「クァルトゥス鉱山」終了




