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「これは丸1日馬車の旅になりそうですね」
「だな、結構道のり遠そうだ」
そう言ってコクは地図を閉じる。
道のりは遠い。
馬車があるとは言えその遠さにノアはげんなりと意気消沈するが、仕方ないと自分に言い聞かせてぎゅっと手綱を握る。
森の中を馬車は音を立てて進む。
時折木々の隙間から鹿やウサギと森の動物達が姿を見せる。
その愛らしさに目を奪われてしまいそうになるが、ノアは頭を振って目の前の事に集中する。
時刻が昼に差し掛かる頃。
ノア達はようやく森を抜けた。
小高い丘と川のせせらぎが耳に届く。
ノアは馬車を川沿いに止め、一旦馬車から降りる。
「ハクさん、レイルさん、お疲れ様です。一旦お昼にしましょう」
「ああ、もうそんな時刻か」
昼食時だと知らせるや否や、ハクは食材の入った麻袋と大きな鍋を取り出して馬車を降りる。
レイルもお腹すいたと呟いてから同じく馬車を降りた。
「レイル、森から薪を集めてきてくれ」
「はいはーい、了解だぜ」
レイルは自身の金の髪からヘアピンを引き抜くと、アルカナロッドを顕現させた。
それに乗り、法力を流すと杖はふわりと空に浮かぶ。
「それじゃちょっと行ってくるぜ」
その言葉と共に杖は大きく飛び上がり、先ほど抜けた森へと入っていった。
「コクは水樽を下ろしてくれ」
「はいよっと」
今度はコクが御者台を降りて、荷台に上がる。
荷台から大きな水樽をおろし、辺りにどすんと大きな音が響いた。




