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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十章
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8


「大切にする。ありがとう」


ハクは少し気はずかしそうに笑みを浮かべ、ノアもどこか恥ずかしさを覚えながら笑みをこぼした──。


ハクと別れ、宿の大浴場。

ノアは服を脱いで籠に入れ、大浴場へと足を向ける。

扉をあけると硫黄のにおいがふわりと湯気に混じって広がる。


シャワーの並ぶ屋内の風呂に加えて、さらに奥には露天風呂まであった。

この時間は人がいないのか広い大浴場にノア一人しかいない。


「貸し切りですね」


そういって石畳の床を滑ってしまわないように慎重に歩く。

ノアは露天風呂を選び、広い浴槽の湯を桶ですくう。


かけ湯をしてから湯に足をつけた。

少し熱い湯が肌に絡み付き、ノアは肩までお湯に入る。


最初こそ熱かったが次第に身体は馴れ、その心地よさにノアは一息こぼした。


「良いお湯ですねぇ。ハクさんもこちらにいらしたらよかったのに」


隣は男湯と繋がっているようで、静かな女湯とは違い誰かの話し声が聞こえる。


「おい、ここで泳ぐな!」


「だーって誰もいないんだぜ~」


その話し声はずいぶんと聞き覚えのある声だった。


「もしかしてコクさん、レイルさんですかー?」


「お!多分紫ちゃんだぜ!壁越しにやっほー」


「ようノア、そっちも来てたのか」


やはりコクとレイルのようで、壁越しに声をかける。

ノアは壁の近くまでよると、そのまま壁に背を預けた。



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