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「ようこそ白百合亭へ!
馬車はこちらでお預かりしておきます。
お客様はロビーにて手続きをお願いします!」
女性はサーカスの前置きのように明るくそう語ると、宿屋の入り口を指し示した。
ノア達は馬車を降りて、宿屋に入る。
ロビーの受付では年若い男性が笑顔で出迎え、男性は深くお辞儀をした。
ノアは会釈して返し、受付の前に立つ。
「部屋を二部屋、それと馬が二頭いるのですが……」
「お部屋が二部屋に馬二頭ですね、かしこまりました。
それでしたら金額が……、これほど頂きますね。
当宿は前払い制となっております」
男性は代金を計算して紙に金額を書き込む。
ノアがそれを確認すると、そこにはけして安くは無いがこういった宿にしては手頃な金額が書かれていた。
ノアが旅の資金からいくらかを払うと男性は満足そうににこりと笑った──。
──
「これからどうしましょうか」
ちゃり、と預かった部屋の鍵を鳴らしながらノアは呟いた。
案内されたのは二階にある部屋で、ノア達はひとまず部屋へと上がる。
まだ眠るには早い夕暮れ時。四人は一室に集まり、顔を見合わせていた。
部屋の中は片付けられており、ベッドが二つ、小さなテーブルとソファが二つ。
トイレやシャワールームも完備され、必要な機能は最低限揃っていた。




