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「ずいぶん賑やかな街ですねぇ」
ノアは御者台にひょっこりと顔を出し、辺りを見回す。
イニティウムよりもずいぶんと大きな街で、辺りには店が軒を連ねており、呼び込みの声も賑やかなものだった。
「んん、なんだもうついたのか?」
馬車の中で静かに眠っていたコクがのそりと起きてノアの隣に来る。
大きなあくびを一つ漏らし、まだ少し眠そうだった。
「賑やかな街だな。今日はおせーし宿でも探すのか?」
「そのつもりだ。どこかに宿は……おっと」
ハクが周囲をぐるりと見回していると馬車の目の前に人影が見え、ハクは急いで馬車を停止させた。
「そこのお姉さん!
宿をお探しならうちの宿はいかがですか?
馬小屋もございますので馬の管理もばっちりですよ!」
そう笑顔で捲し立てるのはどこかの宿の呼び込みの女性だった。
輝かしいばかりの営業スマイルでにこにこと微笑んでいる。
「ふむ、ならばそこにしよう。異論は無いか?」
ハクはさっさと決めてしまい、その場の面々に確認をとる。
皆は首をふって答え、呼び込みの女性は満足そうに笑うと、馬を誘導させて何処かへと連れて行く。
人混みをかき分け、たどり着いた先は一軒の宿。




